渦を巻き、堤防を越えて、濁流となって
濁音のような夕暮れを見ながら思考の中に潜り込んだ、目を覆いたくなるようなおぞましい景色...
coincidentia oppositorum
散らかったイメージを一瞬の構成の中に誘い、ひとつの体系を生み出す、その時の真実、その時のリアル―俺は思考がまだ信号の段階である時にキャッチして変換する、脳味噌はその作業をするには遅...
心が騒ぐままに
靴の泥を掃って玄関に揃え、浴室に籠ってシャワーを浴び続けた、筋肉が完全に弛緩するまでじっとして、それから全身を洗い、髭を剃った、手のひらで感触を確かめ、まあいいと片付けた、それでよ...
それだけじゃ片付かない何かの為に
夢を見ながらなにかを叫んでいたような気がする、喉の痛みが冬のせいなのか夢のせいなのかわからなかった、ベッドに腰をかけて夢の続きを探していた、そんなものはどこにも無いのだと気付けるほ...
世迷言トゥルース
反故になった約束が呪いに変わり、天井の隅で焦げ付いたような臭いを放つ、だからなんだとい...
真夜中には哀歌を、不吉な目覚めには朝の光を
金属パイプで冷たい床を叩いているような音がどこかから…それがどこからなのか知りたいという思いがあったけれど、その一方で、これは現...
真夜中のゲーム
深夜、コインランドリーで、小説を読みながら機械が止まるのを待っている女、彼女がどんな気...
bottomless swamp
呪詛のような蔦に巻かれ、痩せ細る夢を見た転寝の午後、少しずつ窓を駆逐せんとする強い西日...
パーフェクト・ワールドはなにもかも未定
割れた鏡の破片を踏みつけた朝、床中に広がる、真赤な俺の血液、足首をきつく縛って、軟膏を塗り込む、幸い破片は表面に浅く残っていただけだった、鋭い痛み、何をするにも億劫、特別な予定も無...
異変
目覚めの景色は死蝋を思わせた、ベルベット・アンダーグラウンドが小さな音で流れていた、それは右手に握られていた俺の携帯から聞こえているのだった、ここがどこなのか思い出せなかった、が、...