終戦記念日
わたしは古めかしい歩兵銃を抱えて焼け野原に立っていた。敵と味方の死骸がアザラシのようにそこらに転がって膨らんでおり、鼻腔の奥や喉に針金を突っ込まれて掻き回されているかのような...
秋のホーム
秋の三連休が明けた月曜日、その日の仕事を片付けて帰りの電車に乗ろうとしたら駅は酷い人込み。ああ、またかと思った。人身事故のため遅れております、とやっぱりの表示。駄目もと...
どうか咲いていて
その日、ボロアパートの一室に帰って来ると、玄関のドアを開けてすぐに、花が一輪投げ捨ててあるのを見つけた。俺は一人暮らしで、花などには興味がない。従ってこれがなんという花なのか...
自由形のパレード
サーカスが過ぎ去った後で、俺の網膜に刻まれた鮮やかな灯りの記憶、操り人形の、唯一糸のいうことをきかない、閉じて固まった指先の―指し示す空虚、薄れてゆく黄昏の中に目まぐる...
幽霊は死なない
泥にまみれた古い金貨を 拾い上げて水溜りで洗った 鈍い輝きは人々が はるか昔から同じ夢を見ているのだと歌う ...
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