ハード・レインを待ってる
錆び色に暮れかけた綻びた路上に抱かれて、お前は静かに雨を待っていたんだ、記憶や宿命、そんなものに纏わるすべてを穴だらけにして排水溝に飲み込んでもらうために...
ああ、次の波がもしも爪先にやって来たら
海の彼方で揺らめいていた狐火がいつの間にか消えていたので、千枚通しで手のひらの真ん中を思い切り貫いた、その刹那、激しい火柱が世界を二つに分け、それからそれまでと同じ暗闇...
Transit Time
錆色の夕陽が世界を、血の雨の跡のように見せる頃、ゴム底に画鋲がひとつ刺さったスニーカーを履いて、ぼくは巨大な工場が立ち並ぶ海の近くの道を歩いていた―なぜ画鋲を抜かないの...
この夢のどこかに
蝋細工の、人間の形をした名前の無い紛い物が、夏の温度によって次第に溶け瘦せ衰えていくさまを記録した短いムービーが、失われたシアターでリフレインされていた、それにはBGM...
白んだ月
烙印が穿たれたあとの血肉は消炭のように砕けた 枯れた谷底の川底を舐めながら、ひととき 黄色く発光する月を見上げて 撃ち落としたいと望んだ 薄い靴底は尖った岩を踏...
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