『大正、昭和の建築物を訪ねて』その9。神田編②、旧万世橋駅周辺の建物を巡ったあと靖国通りを歩道橋でわたり、多町大通りを歩く。渡ると神田青果市場跡の碑の前を通り、左側に『庄之助最中』の本店がある。
第22代木村庄之助のご子孫が始めた最中が有名な和菓子屋さんだが、よく見るとかなり古い建物で前からわからなかったが銅板貼りである。
その先には『サカエヤ』、栄屋ミルクホールという名前の食堂で側面は真っ赤に錆、正面は銅板貼り。昭和20年創業、今はラーメンメインの店となっている。
続いて『松本家』、昭和6年築木造3階建のいわゆる震災復興町家で元青果物問屋を営んでいた。切妻面には窓が少ない防火に配慮した構造となっている。
角地に建つのは『青果店の塩栄』、元は昭和2年創業の青果店。鮮やかな緑のテントがよく目立つ。
通りを挟んで反対側にある『サカエヤクリーニング店』。両方とも廃業はしているが、かつての風情をよく残している。
多町2丁目交差点を左に曲がる。次の路地の奥には松尾神社。松尾様というと酒の神かとおもったが、元は松尾稲荷と言ったらしく、青果関係者の信仰を集めていた神社である。
元まで戻ると左側には『八ツ手屋』。天ぷら・天丼の名店で創業は大正3年、中に入っても渋い造り。天丼は今も680円でこれだけのボリュームかと驚くほど。
すぐ近くにある『秀美堂』という印刷屋さん。木造2階建の威風堂々とした造りでこちらも現役。
神田の居酒屋と言って忘れてはならないのが『みますや』。創業は明治38年、建物も関東大震災で焼失後立て直されたものだが、築98年になる。現在はコロナウィルスの影響で休業中だが、早く復活してあの焼き鳥や馬刺しをつまみに飲みたいものである。