切手シリーズ その4。日本の記念切手は(一般の)記念切手と特殊切手に分類される。記念切手と特殊切手の違いは初日カバー用のハト印が用意されてるか否かで決まるため、趣味週間や文通週間などはシリーズ化され、毎年発行されるが、これは特殊切手ではない。最初の特殊切手に分類されるのは昭和11年発行の年賀切手で、戦前は第一次国立公園シリーズのみである。(ちなみに国立公園シリーズは戦後、昭和31年発行の西海国立公園まで継続した。)
戦後初めての特殊切手は昭和24年~27年まで18回にわたり発行された文化人シリーズである。このシリーズはすべて凹版の一色刷りでデザイン的にも大変レベルが高く、大好きな切手である。
第1回は昭和24年11月3日の文化の日に『野口英世』のデザインが発行された。因みにこの切手はタイプⅠとタイプⅡがあり、印刷の横幅が少し長いタイプⅡの方が珍しい。
また、最後の『寺田寅彦』『岡倉天心』が発行されたのも昭和27年11月3日である。
切手を集めていた頃は知らない人もかなり多かったが、のちにお札となったのが、『野口英世』『樋口一葉』『新渡戸稲造』『福沢諭吉』と4人もいる。
また、当時不思議だったのは13番目の『西 周(にし あまね)』の価格が飛び抜けて高いことである。これは人物とは関係ないことで、その前の『菱田春草』が発行されたのが、昭和26年9月21日、そして昭和26年11月1日から封書の郵便料金が8円から10円に引き上げられた。そして『西周』が昭和27年1月31日に発行され、かなり実逓で使われたため、前後と発行量が変わらないのにこの切手だけが高い価格で取引されている。さらに昭和27年4月からは銭単位から円単位(1.00円→1円)に変更されたため、この切手のみ、額面10円にも関わらず、銭単位である。もちろん、哲学者の西周先生には何の関係もないことであるが。
ところで、よく知っている人も多い反面、『梅謙二郎』『菱田春草』『西周』など何をしたのかを知らない人も、少なくとも小生には、多い。是非、一度この文化人シリーズの人々の偉業をじっくり研究することも考えたい。