放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

東日本大震災~TheLife Eater21

2011年05月13日 12時22分21秒 | 東日本大震災
 「恐慌」のさなか、乳製品の競争倍率は高かった。
 行列に並んで買わなければならなかった頃は言わずもがな、物資が流通するようになってもまだまだ乳製品は貴重品だった。
 来る日も来る日も牛乳コーナーとかヨーグルトのコーナーはからっぽ。そこにまるでからかうように「お一人さま限定1個」と書かれている。
 買占めを制限したのに早々に売り切れる。そのくらいみんなカルシウム源の乳製品を求めていたのだ。
 (それでも、どこのお店も便乗値上げをしていないのはエライなぁと思いました)
 
 乳製品が品薄になった理由は、パッケージ業者の回復が遅れたためだと言われている。
 (ほかにも原発のこととか、いろいろあると思うけど・・・。)

 そんななか、職場の人が牧場の人に直接頼み込んで、生乳を分けてもらえた。

 夕方近く、牧場の人がトラックで来て、なにやら重そうなものを降ろしている。
 
 それは、牧場で搾乳した生乳を出荷するときに使う大きなタンクだった。

 ・・・でかっ。

 「ホントにナマだかんね。すぐに加熱殺菌しないと飲めないよ。」
 へえええ。

 「わざわざありがとう。」
 職場の人は生乳をもらうと(お金はらったのかどうかは不明)、すぐに電気ポットに詰めはじめた。
 なるほどね。電気ポットで加熱するのか。
 「これね、難しいんだよ。沸騰させるわけにいかないからね。」
 あ、そっか!

 しばらくして、加熱したての牛乳を飲ませてもらえた。
  - あまぁーい・・・。 ―
 とろぉりとしている。生乳100%だからだ。
 どこか不思議な香りがする。
 ・・・なんというか、ナッツを焦がしたような、 
  ・・・または、お日様にあてたシーツのような
   ・・・真夏にかじる夏野菜のような。
 うーん、なんだろう?

 「みんなでペットボトルに詰めてお持ち帰りにしよう。」
 賛成!
 
 ちょうどその日は、BELAちゃんが「慰問」の打ち合わせをウチでする日だ。(「The Life Eater17」を参照)
 こんなおいしい牛乳をコーヒーに入れたらサイコーだよ!

 さっそく放菴へ持って帰った。

 ビーカーに入れて暖める。
 これを、みんなが集まっているテーブルの真ん中にそのまんまドンと置いた。
 
 この「恐慌」のさなか、牛乳でっせ!しかも生乳100%でっせ!
 ビーカーは子供たちを中心に早くに空っぽになった。

 
 あとで聞いた話だけど、牧場ではこの牛乳は捨てていたという。
 業者が取りに来てくれないからだ。生産者が健全でも、流通とパッケージングにダメージがあると、こういう勿体ない話になってしまう。

 あれ、おいしかったな。
 また飲みたいな。

 あ、そうだ! あの香り。
 あれは、「干し草」の香りだ!
  牛さんが食べていたものがそのまま香りになっていたんだ。

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