放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

岩手葉桜紀行(6)小岩井農場2

2015年09月02日 01時11分42秒 | あんなこと、こんなこと、やっちゃいました
 翌朝、早朝に少し散歩。
 朝もやの中で見る小岩井。人けのない白樺林と、どこまでもつづく一本みち。
 高原らしい冷たい風が吹いて、すこしシャツが濡れたようになります。ここらの風には少しだけ雲が隠れているのです。
 白樺やヒバの林は、この湿った風を吸い込んで、青白い樹皮を潤していました。そこへヤマトアリやらカナブンブンやらがやってきて、夏の一日に耐えうるようにと樹皮に顔を突っ込んで樹水をなめているようなのです。
 
 林をぬけて、やわらかい道を踏みしめながら歩いていると、だんだん水の音がしてきます。畑のわきに白樺の小さな一列があって、そこにはただ土を掻いただけの水路がありました。水量が多く、ころころと木琴のような音が水辺に低く広がってゆきます。きっとこれは岩手山の雪解け水でしょう。とても澄み切っていて冷たいのです。

 ふと珈琲が飲みたくなりました。そう、今回の旅で物足りないのは、おいしい珈琲と、おいしい麦酒。
 実際、寄ろうにも寄れなかったし、意を決してお店に入ってもお目当てのものがなかったりでした。

 けれどもほんとうの理由はきっと、ゆっくり時間を用意していなかったこと。

 昨年夏に銀河高原ビールと感動的な再会をしたのを思い出すと、やはりじっくり向き合える余裕がないと楽しみというものは損なわれてゆきます。ぱっと行ってぱっと出てくるようでは初めから素通りしても大して変らないのではないかとさえ思えるのです。
 
 お宿へもどると暖かい朝食が用意されていました。
 今考えると、小岩井でゆっくり散歩&朝食できたのは、貴重な時間だったかもしれません。たとえ贅沢な珈琲でなくても・・・。
 
 この時、盛岡から小岩井への一本道は、もう観光客が列を成して押し寄せていたのです。
 僕らもゆっくりしていられなくなりました。
 遠くから来る人よりも、小岩井のペンションにいるほうが有利、だなんてタカをくくっていましたが、アトラクションのある小岩井まきば園ではもう開店前から第二、第三駐車場と、ずらり埋まるくらいなのです。

 それでも暢気に一本(葉)桜の前で記念撮影。
 道を通る車も次々と停車して、やはり一本桜を写真に撮ってゆきます。
 これ、葉桜の季節だからコノ位だろうけど、開花シーズンにはどれだけ押し寄せてくるものやら。想像も付かない。

 結局、観光バスに追い立てられるように退散しました。小岩井の朝はどんどんせわしなくなってゆきます。小岩井農場のまきば園の混み具合が心配です。
 
 僕達は小岩井農場の奥にあるペンションに泊まったので、一本道を盛岡方面へ進みます。いっぽう、これから小岩井まきば園へ向かう人は、反対方向からぞろぞろやってくるのです。かなりの車の量です。案の定、駐車場前は大渋滞で、舗装されていない草地に誘導されました。うわぁエントランスからかなり遠いなぁ。でも仕方がありません。それでも早く来た部類なのです。あとから来る人は、もっとずうっと遠くに車を停めることになるのですから。
 
 エントランスをくぐり、やっとまきば園に入場。
 ここは確かにアトラクションがあるし、動物とも触れ合える、ショッピングも充実です。けれど何よりの値打ちは、雄大な岩手山を背景としたすばらしいロケーションだと思います。日本とは思えないくらいの雄大なパノラマ。日本とは思えないくらいの大自然。日本とは思えないくらいの広い空。これだけで来た甲斐があるのです。もろもろのアトラクションはどうせ行列ができていてなかなか番がまわって来ないようですし。って負け惜しみじゃないですけどね。
 それでもアーチェリー体験はおもしろかった。なかなかプレートの的(まと)に矢がとどかないもので、さんざんやっていて、やっと的にあたるようになったと思ったら、お隣さんの的だったりして。

 それでもお別れの刻はやってくるのでして、両手にはいつのまにかショップのお土産でいっぱい。その両手をなんとか都合つけて一眼レフを構えます。構えた先には岩手山。ありがとう。いっぱいいっぱいパワーもらいました。
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