その日その時 写真で見る歳時記

気ままに写した写真に気ままな言葉たちの集まり

小さい「つ」はどうやって見つかったのか 2

2008年12月09日 | Weblog

 

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五十音村の住人たち

小さい「つ」は どうやって見つかったのか

その2

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子供たちが 小さい「つ」の帰りを

見つけて報告したころ

小さいつ」が集会場につくと みんな勢ぞろいして

そして 「おかえり」と大きな声で温かく迎えた

みんな とても幸せだった

男性の文字さんたちは うれしさのあまり大笑いをし

女性の文字さんたちはうれし泣きをし そして

一週間ぶりにもどってきた 小さい「つ」は

友達でもある子供の文字さんたちと

輪になって楽しそうに遊び始めたのだった

大人の文字さんたちは いそいそと家に帰ったかと思うと

料理の支度を始めた どの家の煙突からも

煙がもくもくと元気よく上がり

集会場の机はあっという間に小さい「つ」の

大好物で埋め尽くされた

これは小さい「つ」のお帰りパーティーだね

みんながわいわい楽しんでいる中

お父さんの大きい「つ」は 側によってぎゅっと抱きしめた

その隣では「み」さんが涙を流していた

パーティーが盛り上がったころ 「あ」さんが立ち上がり

「ちょっと静かにしてくれ ひとついいたいことがあるんだ・・・」

と 大きな声で叫んだ みんなが静かになるとこう叫んだ

『小さい「つ」が消えて色々問題が起こり みんなに迷惑が掛かったのは

どう考えても私のせいだな『自分が五十音でもアルファベットでも

一番最初に来る文字だから 一番偉いんだ!』と言い出さなければ

喧嘩にもならなかったし 小さい「つ」も消えることはなかったんだ

こんな風にみんなに迷惑かけて 君を傷つけて

辛い思いをさせてしまってごめんな』 文字さんたちに頭を下げ

さらに小さい「つ」に向かって頭を下げた

「あ」さんのいままで見たことのない真面目な姿に

みんなシーンとなって聞いていた

『自分が一番』と競い合っていた文字さんたちの間の

わだかまりがすっと解けた瞬間だった

村一番の長老で 一番賢い「こ」さんがそこで立ち上がり

満面の笑みでみんなに意見を求めた

「ひとつ提案があるんじゃが・・・ 小さい「つ」が

帰ってきたことを記念して 明日は一日休み

みんなで温泉に行ってすこしゆっくりしたらどうかな?」

 

つづく

・・・

三修社発行

「小さい つ が消えた日」

ステファノ・フォン・ロー著から抜粋

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温かく迎えられた小さな「つ」は・・

みんなと温泉に行くこととなったが・・

文字たちが一斉に休むと・・

どうなるか・・いよいよラストです。

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今日の写真

ポインセチア

花言葉は 祝福

12月もクリスマス装飾一色になると

花屋さんの店先に一斉に並びます

赤い色が目に飛び込むと

もうすっかりクリスマス気分?