![]() | 食道楽(上) (岩波文庫) |
村井 弦斎 | |
岩波書店 |
明治期新聞小説の第一人者村井弦斎(1863―1927)の代表作。物語のヒロインお登和が料理し蘊蓄を傾ける和洋中華六百数十種の料理を盛り込んだこの「奇書」は、明治36年1月から1年間『報知新聞』に連載され熱狂的な人気を博し、単行本として刊行されるや空前の大ベストセラーとなった。(解説=黒岩比佐子)(全2冊)
まさに元祖「美味しんぼ」!
明治36年(1903年)から書かれた、世に食の大切さを説いた本で、和食、中国料理、西洋料理などのレシピの紹介がメインだが、食材の買い方、台所のあるべき環境、和食の欠陥、食育なども掘り下げており、さらに当時の風習、それだけにとどまらず文化論や道徳論など読み応えのある啓蒙書となっている。

平塚に髙久製パン(株)って会社があって、ここで製造されているカレーパンが「弦斎カレーパン」。
このカレーパンは、「食道楽」に出てくるカレーのレシピで作られた弦斎カレーとパンを融合させて開発されたカレーパンなんだ!
「パン生地の中にお米を混ぜることで、カレーライスのようなカレーパンにし、また具の中にはカレーに欠かせない福神漬けを入れ、歯ごたえを良く」していて、「歴史を背景に湘南平塚から発祥したカレーパン」というのが売り。
美味しいよ、工場では直売もされていて、タイミングが良ければ、あつあつ、揚げたてが食べられる。
このカレーパンを食べて、「食道楽(上) (岩波文庫)」を読んでみたくなってん。
なお、村井弦斎は、大隈重信の従兄弟の娘である妻を主人公「お登和」のモデルとしてこの食道楽を執筆し、この食道楽で得た莫大な収入によって、平塚市八重咲町に2万64百坪の広大な土地を購入し、1904年から63歳で死去する1927年までを過ごしたそうだ。
やはり平塚には強い由縁があるのだな。(平塚駅の南に「村井弦斎公園」があり、村井弦斎の遺徳を偲ぶ行事として、村井弦斎祭りが秋分の日の頃に毎年開催されてるそうだ、知らなかった!)
しかし上巻を読み終わって問題が発生。
上巻は定価で新品を購入することが出来たが、食道楽 (下) (岩波文庫)は欠品になっているようで、アマゾンで見ていると¥1,186より中古品の出品、¥8,889より新品、¥18,900よりコレクター商品の出品となっている!
しかも、上巻にはまだ弦斎カレーが登場しないので、このまま上巻のみで終わるわけにはいかないねん。
ところでこの本の表記は、旧字・旧仮名は現代仮名遣いになされており漢字も新字体に改められているものの、漢字自体の読み方や意味は原文のままであり、1つの賞の中では一切改行がなく、文字もとっても小さいので、集中力を切らすと、どこを読んでいるのか、この漢字はなんて読むのか、さっぱりわからなくなってしまって、ひじょうに読み進めるのがしんどいの…。
しかし今とは違う文字使いや、漢字の当て方、読み方によって、漢字一文字一文字のそもそもの意味がとっても理解することが出来て、すごく勉強になっている。
ちなみに、読みやすくコンパクトな現代語抄訳になっている「食道楽 (中公文庫)」ってのもあるが、これは最後の手段に取っておこう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます