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労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

【メモ】障害者雇用率は2.7%に(令和8年(2025年)7月から)

2023-04-28 | 書記長社労士 法改正 労働関係

1.新たな雇用率の設定について
▶令和5年度からの障害者雇用率は、2.7%とする。
 ただし、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、令和5年度においては2.3 %で据え置き、令和6年度から2.5%、令和8年度から2.7%と段階的に引き上げることとする。
▶国及び地方公共団体等については、3.0%(教育委員会は2.9%)とする。段階的な引上げに係る対応は民間事業主と同様とする。


※障害者雇用率の引き上げにより、障害者を一人以上雇用する義務が生じるのは、令和6年(2024年)4月以降が40人以上、令和8年(2026年)7月以降が37.5人以上の労働者を雇用する企業となる。
※自社の法定雇用障害者数(障害者の雇用義務数)=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率
(小数点以下の端数は切り捨て)


2.除外率の引下げ時期について
▶除外率を10ポイント引き下げる時期について は、昨年6月にとりまとめられた障害者雇用分科会の意見書も踏まえ、 雇用率の引上げの施行と重ならないよう、令和7年4月とする。



1 障害者雇用促進法では、障害者の職業の安定のため、法定雇用率を設定している。
2 一方、機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度(障害者の雇用義務を軽減)を設けていた。
 除外率は、それぞれの業種における障害者の就業が一般的に困難であると認められる職務の割合に応じて決められていた。
3 この除外率制度は、ノーマライゼーションの観点から、平成14年法改正により、平成16年4月に廃止した。
 経過措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされている(法律附則)。


3.障害者雇用における障害者の算定方法が変更となる。
▶精神障害者の算定特例の延長(令和5年4月以降)。⇦※の部分
 週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく、1カウントとして算定できるようになる。
▶一部の週所定労働時間20時間未満の方の雇用率への算定(令和6年4月以降)。
 週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、雇用率上、0.5カウントとして算定できるようになる。



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【お勧めしているわけではないが…のメモ】資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について

2023-03-30 | 書記長社労士 法改正 労働関係
デジタル給与、ペイペイが参入 政府解禁、4月上旬に申請へ」 2023年3月27日 19時41分 (共同通信)
 スマートフォン決済アプリのPayPay(ペイペイ)が、給与をデジタルマネーで支払う「デジタル給与」事業に参入する方針を固めたことが27日、分かった。政府が2023年度に解禁するのに合わせ、4月上旬にも厚生労働相の指定を申請する。キャッシュレス化が進展する中、アプリの使い勝手を良くすることで利用客の囲い込みを図る狙い。
 政府は成長戦略でキャッシュレス決済の普及を目指しており、デジタル給与の解禁はその一環。企業がデジタル給与を導入するには従業員側と労使協定を結び、各従業員の同意を個別に得る必要があり、どの程度導入が進むかが注目される。


 賃金の支払方法については、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等によることができることとされているが、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることも踏まえるとして、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることとなった。
ただし、現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払は認められない点に注意。⇒厚生労働省 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について


〇資金移動業者の口座へ賃金支払の制度の概要(骨子)
(1)使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について(2)の方法によることができるものとする。
 ※銀行口座への振込、一定の要件を満たす証券総合口座への払込は、引き続き可能。
 ※資金移動業者の口座への賃金支払について、使用者が労働者に強制しないことが前提。
(2)次の①~⑦の全ての要件を満たすものとして、厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座への資金移動
(指定の要件)
①破産等により資金移動業者の債務の履行が困難となったときに、労働者に対して負担する債務を速やかに労働者に保証する仕組みを有していること 。
②口座残高上限額を100万円以下に設定又は100万円を超えた場合でも速やかに100万円以下にするための措置を講じていること。
 ※口座残高100万円超の場合に資金を滞留させない体制整備が資金決済法に基づき資金移動業者に求められていることや、①の資金保全スキームにおいて速やかに労働者に保証できる額は最大100万円と想定していることを踏まえ、破綻時にも口座残高が全額保証されることを担保するための要件。
③労働者に対して負担する債務について、当該労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰すことができない理由により当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること。
④最後に口座残高が変動した日から少なくとも10年は口座残高が有効であること。
⑤現金自動支払機(ATM)を利用すること等により口座への資金移動に係る額(1円単位)の 受取ができ、かつ、少なくとも毎月1回 は手数料を負担することなく受取ができること。また、口座への資金移動が1円単位でできること。
⑥賃金 の支払に関する業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること 。
⑦① ~⑥のほか、賃金の支払に関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。
(3)厚生労働大臣の指定を受けようとする資金移動業者は、①~⑦の要件を満たすことを示す申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。厚生労働大臣は、指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)が①~⑦の要件を満たさなくなった場合には、指定を取り消すことができる。

〇いつから賃金のデジタル払いが可能になるのか。
❶2023年(令和5年)4月1日から、資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請を行う。
❷申請を受け付けた後、厚生労働省で審査を行い、基準を満たしている場合にはその事業者を指定。この審査には、数か月かかることが見込まれる。
❸その後、各事業場で、賃金のデジタル払いを行う場合には、利用する指定資金移動業者などを内容とする労使協定を締結する。
❹その上で、労働者は賃金のデジタル払いの留意事項を説明を聞き、理解した上で、賃金のデジタル払いを希望する場合には、使用者に同意書を提出することが必要。この同意書に記載する支払開始希望時期以降、賃金を資金移動業者の口座で受け取ることができるようになる。


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2023年(令和5年)4月以降の雇用調整助成金、これまでの感染症による特例措置等は、原則、すべて通常制度に戻ることになる。

2023-02-27 | 書記長社労士 法改正 労働関係
 本日、第191回労働政策審議会職業安定分科会が開催され、オンラインで出席。
①労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)、②雇用調整助成金の助成内容(案)について、③2022年度の年度目標に係る中間評価について、が議題だった。


 2023年(令和5年)4月以降の雇用調整助成金については、これまでの感染症による特例措置等は、原則、すべて通常制度に戻ることになる。
ただし支給限度日数については、コロナ特例中(令和2年1月24日~令和4年11月30日)の日数は支給限度日数にカウントしない。
また生産指標要件については、コロナ前比較は不可となることに注意が必要。
正式には、次回の職業安定分科会で省令改正案が諮問される。



 分科会に出された参考資料。
雇用調整助成金の支給決定件数・支給決定額の推移、雇用調整助成金の支給状況推移、雇用調整助成金の支給決定額(業種別(大分類別))、雇用調整助成金の支給決定額(業種別(中分類別))。
〇雇用調整助成金の支給決定件数・支給決定額は、緊急事態宣言期間等には増加したものの、概ね減少傾向。
<令和5年1月末時点の累計>
・支給決定件数:602.1 万件
・支給決定額:5 兆 8,905 億円(うち大企業: 9,360 億円、中小企業: 4 兆 8,614 億円)
※ 企業規模不明が一定数存在する。
※ 令和 5 年 1 月末時点の数値で集計
〇雇用調整助成金の活用が多い産業にヒアリング・アンケートを行った。
・宿泊業:人手不足が顕著になっている。外資系の参入により人材の引き抜きも多くなっている。
・飲食業:人手不足が顕著になっている。
・タクシー業:人手不足が深刻でタクシー車両の稼働ができない。運賃改定により賃金は改善している。
・バス業:低賃金のため人手不足が深刻。二種免許が必要なため在籍出向の受け入れも難しい。
・航空業:グランドハンドリング・保安部門で職員不足が懸念となっている。 など



議事次第
【資料1-1】労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱
【資料1-2】労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案概要
【資料2】雇用調整助成金の助成内容案について
【資料3-1】2022年度 職業安定分科会における年度目標の中間評価について(案)
【資料3-2】2022年度中間評価 評価シート

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2024年(令和6年)4月1日以降の自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の改正内容について厚生労働省から告知されています

2023-01-20 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部を改正する件」(令和4年厚生労働省告示第367号)により2022年(令和4年)12月23日に改正され、2024年(令和6年)4月1日から適用されます。
今更ながらで恐縮ですが、2024年(令和6年)4月1日以降の自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の改正内容について厚生労働省から告知されています。⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html

 改善基準告示(令和6年4月1日以降)
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部を改正する件(厚生労働省告示第367号・令和4年12月23日公布)⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035031.pdf
(改正後全文)自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号)⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035032.pdf

 通達(令和6年4月1日以降)
令和4年12月23日付け基発1223第3号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について」⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035158.pdf


 各種リーフレット(令和6年4月1日以降)
タクシー・ハイヤー運転者の改善基準告示が改正されます!⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035026.pdf
トラック運転者の改善基準告示が改正されます!⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035028.pdf
バス運転者の改善基準告示が改正されます!⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035029.pdf

 自分自身、労働政策審議会(労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126973_00001.html)の労働者代表としての委員であったが、議論の結論から後退した通達になった部分があって、誠に遺憾ながら…💢
とりあえず、この内容で、来年4月1日の施行に向けて、労使でしっかりと議論をし、対応をしてくださいね。
内容について、講演のご依頼はどしどし受け付けております😊


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【メモ】産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した場合に支給される「出生時育児休業給付金」

2022-11-21 | 書記長社労士 法改正 労働関係
 改正育児休業法のうち2022(令和4)年10月1日施行された「男性の育児休業取得促進のため、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設」にともない、雇用保険法も改正され「出生時育児休業給付金」(第61条の8)が新設された。

(1) 支給要件
①子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間 を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。

出生時育児休業給付金の対象は、以下のア及びイいずれにも該当する休業です。
ア 被保険者が初日と末日を明らかにして行った申出に基づき、事業主が取得を認めた休業。
イ 「出生日または出産予定日のうち早い日」から「出生日または出産予定日のうち遅い日から8週間を経過する日の翌日まで」の期間内に4週間(28日)までの範囲で取得されたもの。
・産後休業(出生日の翌日から8週間)は出生時育児休業給付金の対象外です。
・出生時育児休業給付金の対象となるには、出生時育児休業の初日から末日まで被保険者である必要があります。
・男性が出生時育児休業を取得する場合は、配偶者の出産予定日または子の出生日のいずれか早い日から出生時育児休業給付金の対象となります。⇒ 例1、2参照
・ 被保険者とは、一般被保険者と高年齢被保険者をいいます。


②休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。
③休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間) 以下であること。

「最大」は、28日間の休業を取得した場合の日数・時間です。
休業期間が28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなります。
(期間を定めて雇用される方の場合)
④子の出生日※1から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、その労働契約の期間※2が満了することが明らかでないこと。
※1 出産予定日前に子が出生した場合は、出産予定日
※2 労働契約が更新される場合は更新後のもの


休業中の就業可能日数/時間数の取扱い
 出生時育児休業給付金の支給対象期間中、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)まで就業することが可能です。
休業期間が28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなります。⇒ 例5・6参照
例:14日間の休業 ⇒ 最大5日(5日を超える場合は40時間)
10日間の休業 ⇒ 最大4日(4日を超える場合は約28.57時間)
[10日×10/28≒3.57(端数切り上げ)⇒4日、80時間×10/28≒28.57時間(端数処理なし)]
出生時育児休業期間中に就業した時間を合計した際に生じた分単位の端数は切り捨てます。
また、出生時育児休業を分割して取得する場合は、それぞれの期間ごとに端数処理を行います。



(2) 支給申請期間
 子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から申請可能となり、当該日から2か月を経過する日の属する月の末日までに「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書」を提出する必要があります。

• 出生時育児休業は、同一の子について2回に分割して取得できますが、申請は1回にまとめて行います。

(3) 支給額
支給額 = 休業開始時賃金日額※ × 休業期間の日数(28日が上限)× 67%



休業開始時賃金日額の上限額
休業開始時賃金日額の上限額は15,190円となります(令和5年7月31日までの額)。
出生時育児休業給付金の支給上限額(休業28日):15,190円×28日×67%=284,964円
例:休業開始時の賃金日額は7,000円で、14日間の出生時育児休業を取得
この期間に賃金が支払われていない場合
支給額=7,000円×14日×67%=65,660円 =78,400円
この期間に3日就労して賃金21,000円が支払われた場合(支払われた賃金が休業開始時賃金日額×休業期間の日数の13%~80%)。
支給額=78,400円-21,000円=57,400円

出生時育児休業期間を対象とした賃金の取扱い
「出生時育児休業期間を対象として事業主から支払われた賃金」とは、出生時育児休業期間を含む 賃金月分として支払われた賃金のうち、次の額をいいます。
〇出生時育児休業期間に就労等した日数・時間に応じて支払われた額。
就労した場合の賃金のほか、出生時育児休業期間に応じて支払われる手当等を含みます。なお、通勤手当、家族手当、資格等に応じた手当等が、就労等した日数・時間にかかわらず一定額が支払われている場合は含みません。
〇就業規則等で月給制となっており、出生時育児休業期間を対象とした日数・時間が特定できない 場合は、日割計算(※)をして得られた額(小数点以下切り捨て)。
(※)「支払われた賃金額」×(「出生時育児休業取得日数」÷「出生時育児休業期間を含む賃金月の 賃金支払対象期間の日数(賃金支払基礎日数)」)

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今年3月31日発行のうちの機関誌に寄稿した「育児・介護休業法改正ポイント」をこっちにも転載しとこ

2022-10-26 | 書記長社労士 法改正 労働関係

これまでの経過
 2021年6月に改正した「改正育児・介護休業法」。今回の育児・介護休業法改正の大きな盗聴は、主に、男性に対する育児休業取得の促進を念頭に、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みが取り入れられた点だ。これは「男性へのポジティブアクション」と位置付けられている。
 妊娠・出産を経て働き続ける女性の割合は増え続けている。しかし、女性の育児休業取得率が八割を超えて推移しているのに対し、男性の育児休業取得率は、近年僅かずつでも上昇しているものの12.65%(2020年度)にとどまっている。また、男性正社員の約4割が育児休業の利用を希望していたが利用できなかったという調査結果もある。


 なぜ今、男性への育休が必要なのだろうか。
 まず一つ目の理由として、核家族化や親の高齢化などの理由で、里帰り出産を選ばない(選べない)夫婦が増えていることがある。産褥期(=出産後の身体が元の状態に戻るまでのおよそ6~8週間の期間)を出産直後の女性が一人で乗り切ることは現実的ではなく、産後鬱のリスクも高まるため、この時期の妻を支えるために夫が育休を取得する必要がある。
 二つ目の理由は、年代が若くなるほど家事も家計も夫婦で分かち合うものという感覚が強いことである。
 三つ目の理由は、国際的に見て日本の男性の平均家事育児参画時間は極めて短いが、夫の家事育児参画時間が長いと第二子以降の出生率が高まる傾向がある。
 法定の育児休業は、1927年の勤労婦人福祉法において、女性労働者への便宜供与として、事業主の努力義務とされたのが出発点だ。その後、雇用機会均等法に同様の考え方で継承されたことを経て、1991年に育児休業法において、男女平等に、同社個人の権利として付与されることとなった。ただし、2010年の育児・介護休業法の改正まで、配偶者が専業主婦(夫)である場合、過半数代表との労使協定により育児休業を不可とすることが出来、多くの企業がこの労使協定を締結していた実態があった。
 今回の改正で新たに設けられる「子の出生直後の時期における柔軟な育児休業」は、明示的に対象を男性に限定するものではない。しかし出産した女性にとっては労働基準法に定める産後休業の期間に重なるため、主な取得者は男性が想定されることになる。この点で実質的に男性に対するポジティブアクションととらえられている。


改正のポイント
[2022年4月1日施行](全企業対象)
①育児休業の申し出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置の義務付け
②妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対して、事業主から個別の制度周知と休業の取得意向の確認のための措置の義務付け
③有期雇用労働者の育児休業と介護休業の取得要件の緩和
※雇用環境整備の選択的措置事項、個別周知しなければならない事項などを省令で定められた。


[2022年10月1日施行](全企業対象)
①男性の育児休業取得促進のため、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
②育児休業を分割して2回まで取得可能に
※産後パパ育休の申し出事項、産後パパ育休の申し出期限を1か月前にする場合に労使協定で定める事項、産後パパ育休中の就業の上限・手続き、一歳以降の再度の育児休業が可能な事由などを省令で定められた。

 ①の「産後パパ育休」については、従来の育児休業とは別に、主に男性を念頭に置いた「子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み」の創設である。男性の休業取得のニーズが高いと考えられる、子の出生直後、具体的には出生後8週間以内の期間(女性の産後休暇期間中)に限定して、その間、4週間まで(2回まで分割取得が可能)取得可能な、新しい休業の仕組み。これは従来からの育児休業と組み合わせての取得も可能となっている。さらに、労使協定の締結を前提に、休業中に一定の範囲内の就業も認められるなど、柔軟な仕組みを持っている。具体的な手続きの流れは、
❶労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
❷事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)
❸労働者が同意
❹事業主が通知
となっている。なお、就業可能日等には上限がある(休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分、休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満)。
 育児休業の申し出は、原則休業の1か月前までとなっているが、産後パパ育休については、原則休業の2週間前までとされる。

 ②の「育児休業の分割取得」については、これまで、ママの出産後八週間以内の期間内に、パパが育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度、パパが育児休業を取得できる「パパ休暇」という制度はあったが、従来からの育児休業は原則、分割取得ができなかった。しかし、今回の改正で2回まで、父母ともに分割取得が可能となる。①の制度と合わせると、男性の場合、最大4回に分割して、育児休業を取得できるようになる。なお、現行のパパ休暇は、産後パパ育休実施に伴い廃止となる。
 また、保育所などに入所できない場合に取得できる、子の1歳時、1歳6か月時の育児休業については、これまで開始時点が1歳または1歳6か月時点に限定されていたため、父母が途中で交代できなかったが、今回の改正で、開始時点を柔軟化することとなったので、父母が育休を途中交代できる制度となる。

[2023年4月1日施行](従業員1000人超企業対象)
①常時雇用する労働者数が1000人超の事業主に対し、育児休業の取得の状況について公表の義務付け
 
 それぞれの制度について、制度導入に向け、早期に労使協議を始める必要がある。また制度を利用する組合員にとって分かりやすい周知を求めると同時に、上司の理解を進め、雇用環境の整備も必要となる。

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【メモ】2024年4月からの医師の時間外労働規制の概要

2022-10-20 | 書記長社労士 法改正 労働関係

【A水準】一般的な診療に従事する医師の時間外労働の上限水準
〇原則は、1ヵ月について「45時間」、1年について「360時間」。
〇臨時的な必要がある場合に限り(36協定の特別条項)、1ヵ月について「100時間未満」かつ「1年について960時間」。
※時間外・休日労働が1ヵ月について100時間以上となることが見込まれる者については、36協定に面接指導を行うこと等を定めた場合に1年について960時間とする。
〇一般労働者について一定の時間を超えて労働させる場合に求められている健康福祉確保措置に加えて、厚生労働大臣が定める要件に該当する面接指導を行うこと等を36協定に定める。

【B水準・連携B水準】地域医療体制確保のために暫定的に認められる特例水準
〇36協定に定めることのできる時間外・休日労働の上限時間を、1ヵ月「100時間未満」1年「1,860時間」とする。
※連携B水準の指定のみを受けた医療機関の時間外労働上限は「年960時間」
※時間外・休日労働が1ヵ月について100時間以上となることが見込まれる者については、36協定に面接指導を行うこと等を定めた場合に1年について1,860時間とする。
〇一般労働者について一定の時間を超えて労働させる場合に求められている健康福祉確保措置に加えて、面接指導を行うことや連続勤務時間制限と勤務間インターバルの確保等を36協定に定めることとする。
*特例適用は2035年3月31日まで。以降はA水準適用とすることを目標に施行後3年ごとに見直しを行う。

B水準
●3次救急医療機関
●2次救急医療機関のうち、
・年間救急車受入台数1000台以上または年間の夜間・休日・時間外入院件数500件以上かつ、
・医療計画で5疾病5事業確保のために必要と位置付けられた医療機関
●在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
など、地域医療確保のための必要な医療機関のうち、「労働時間短縮に十分に取り組んでいる」「労働法令違反がない」などと認められる医療機関に限定。

連携B水準
大学病院や地域医療支援病院等のうち、医師の派遣を通じて、地域の医療提供体制を確保するために必要な役割を担う医療機関を指し、指定を受けた医療機関で対象業務に従事する医師は、派遣先(副業・兼業先)との通算で「年1860時間」の上限が適用される。(個々の医療機関における時間外・休日労働の上限は年960時間以下である必要がある)

【C水準】集中的技能向上水準
初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医や高度技能獲得を目指す医師
C-1水準⇒臨床研修医や専門研修中の医師が、研修プログラムに沿って基礎的な技術や能力を習得するために設定⇒研修プログラムの設定の調整が求められる。
C-2水準⇒高度な技能を有する医師を育成するために設定⇒個々の医師が「高度技能育成計画」を作成・提出することが求められる。

〇36協定に定めることのできる時間外・休日労働の上限時間を、1ヵ月「100時間未満」1年「1,860時間」とする。
※時間外・休日労働が1ヵ月について100時間以上となることが見込まれる者については、36協定に面接指導を行うこと等を定めた場合に1年について1,860時間とする。
〇一般労働者について一定の時間を超えて労働させる場合に求められている健康福祉確保措置に加えて、面接指導を行うことや連続勤務時間制限と勤務間インターバルの確保等を36協定に定めることとする。

【医師労働時間短縮計画】
A水準以外の特例水準の適用を受けるためには、一定の要件を満たすとともに、医療機関が「医師労働時間短縮計画」を策定した上で、評価を受け、都道府県知事の指定を受けることが必要。

【面接指導の要件】
〇管理者が、事前に面接指導の対象となる医師(以下「面接指導対象医師」)の睡眠の状況等を確認した上で、1ヵ月について時間外・休日労働時間が100時間に達するまでの間に行われること。
※ただし、A水準の対象となる医師については、疲労の蓄積が認められない場合は、時間外・休日労働時間が100時間に達するまでの間、100時間以上となった後に遅滞なく行われること。
〇面接指導を実施する医師(以下「面接指導実施医師」)が一定の講習を受講していること等の要件に該当すること。
〇面接指導実施医師が、管理者から、面接指導対象医師の労働時間に関する情報その他の面接指導を適切に行うために必要な情報の速やかな提供を受けていること。
〇面接指導実施医師が面接指導対象医師の勤務の状況等について確認を行うものであること。


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7月以降の雇用調整助成金・休業支援金の取り扱いについて、現行の特例措置すべて、2022年9月末まで単純延長する方向で議論はまとまった。

2022-05-31 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 第180回職業安定分科会・第171回雇用保険部会 合同会議が本日開催され(オンライン)、「7月以降の雇用調整助成金・休業支援金の取り扱いについて」について議論のみをおこなった。


 で、結論として、職業安定分科会・雇用保険部会は、現行の特例措置について、すべて、2022年9月末まで単純延長することとした。


 「政府の骨太方針では、雇用調整助成金などについて、あり方も含めて検討するということになっているが、足下では、人手不足感が強まっている業種もある、長期な休業は勤労意欲の低下になっている、成長分野への労働移動が促進されていないなどの課題もある。
これまで原則的な特例措置については段階的に見直してきているが、蔓延防止等措置が3月に解除されたこともあって、需給状況について減少傾向にある。


 また、原油価格高騰や物価の上昇など経済状況の変化と、雇用情勢への影響も検討していくことも必要で、また、事業者の一定程度の期間の予見も必要と判断し、3ヶ月の期間の投句例措置の単純延長をしたいと考えている。
一方で、4月以降には毎月業況を確認していること、不正受給対策を強化している対応を行っている。」



 との説明があって、その後、議論となった。
それぞれ労使の委員からは、特例措置の単純延長はありがたいという意見が多かったが、各論として、コロナによる業績が厳しいことと、現在の原油高や、資源高の影響が一致するわけでないのでその影響を見極める必要あがあること、支給状況に変動はあってもしかし必要な業種があることは明らかで真に必要な業種への支給が重要であること、雇用維持に在籍出向をさらに推進する必要があること、財源の検証がさらに必要であること、などの意見があった。

 5月28日に厚生労働省からの事前説明の際には「8月までの単純延長」であったが、今日の合同会議で「9月まで」という議論をした。
7月以降の雇調金について、「雇調金特例9月末まで延長」という共同通信の記事が出ていたようだが、政府内の議論をリークしたようだ。
あくまでも、この会議を経てからの報道発表ということが公式なのだが。⇒厚生労働省報道発表「令和4年7月以降の雇用調整助成金の特例措置等について
なお、「事業主の皆様に政府としての方針を表明したものです。施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点での予定となります。」の通り、今後の審議会などでの省令の改正手続きの後に決定する。

第181回労働政策審議会職業安定分科会 及び 第171回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料
議事次第
【資料1】雇用調整助成金等・休業支援金等の助成内容(案)について
【参考資料】

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臨時の医療施設への看護師等の労働者派遣について 第174回労働政策審議会職業安定分科会の議案ながら渋々「おおむね妥当」

2022-01-31 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 2022年1月21日に開催された第174回労働政策審議会職業安定分科会の議案は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」だった。

1.現行制度の概要
○ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令(昭和61年政令第95号)第2条第1項の規定により、病院、診療所等の医療機関において行われる看護師及び准看護師の医療関連業務については、チーム医療へ支障が生じるおそれがあることから、労働者派遣は原則禁止とされている。
○ 一方、同項第1号の規定により、病院又は診療所のうち厚生労働省令で定めるものが派遣就業の場所となる場合は、労働者派遣が認められている。

2.改正の概要
○ 看護師及び准看護師が行う医療関連業務(新型コロナウイルス感染症に係る業務に限る。)に関し、労働者派遣が認められる病院等として厚生労働省令で定めるものについて、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第20号)第1条第2項に規定するもののほか、令和5年3月31日までの間に限り、新型インフルエンザ等対策特別措置法第31条の2第1項に規定する臨時の医療施設とする旨の規定を同令附則に新設する。

3.根拠規定
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令第2条第1項第1号
4.施行期日等
・公 布 日:令和4年1月中(予定)
・施行期日:公布日


 2021年2月5日に開催された第160回安定分科会の際に、「令和3年4月1日から、へき地の医療機関に限り、看護師等の労働者派遣が可能」とする特例を認めたが、その際ももちろんしぶしぶであったのだが、それ以降、コロナ禍のなかで、ワクチン接種会場への看護師派遣の特例を含め、度重なる特例によって、本来禁止されている労働者派遣が実質的に拡大されていることに強い懸念を持っている。
そして、日本労働弁護団からも2021年4月2日付で以下の声明をもって、めっちゃ怒られている…😱 ⇒看護師等の労働者派遣を拡大する労働者派遣法施行令の改正に反対する声明

看護師等の労働者派遣を拡大する労働者派遣法施行令の改正に反対する声明
2021年4月2日
日本労働弁護団
幹事長 水野英樹

1 2021年2月25日、菅内閣は、看護師、准看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師のへき地にある病院等への労働者派遣、看護師の社会福祉施設等への日雇派遣を可能とする「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令の一部を改正する政令」を公布し、この改正は同年4月1日から施行となった。今回の改正の主な理由は、地域によって看護師等の確保が困難であること、社会福祉施設等における看護師を確保することにあるとされる。

2 しかしながら、日本労働弁護団は、労働者派遣を拡大する上記の労働者派遣法施行令の改正に反対する。
 日本全国で必要な人に必要な看護等が提供できるように看護師等の人手不足を解消することは国が果たすべき役割であるが、その方法が労働者派遣の拡大によるものであってはならない。労働者派遣には、間接雇用として雇用管理の責任の所在が不明確となり、中間搾取により待遇も劣悪となりやすく、雇用も著しく不安定であるなどの重大な問題がある。日本労働弁護団の「非正規雇用の「入口規制」と「不利益取扱い禁止」に関する立法提言骨子案」(2016年10月7日)でも示したように、必要なことは上記のような重大な弊害のある労働者派遣を利用できる場合を限定する「入口規制」であって、労働者派遣の拡大では決してない。

3 特に、日雇派遣は、雇用がより一層不安定で、派遣元・派遣先の双方で必要な雇用管理が行われない、教育訓練が不十分で労働災害が発生する危険が高いなどの様々な重大な問題があることから、労働者派遣法35条の4で原則禁止としているのであって、看護師を社会福祉法人等へ日雇派遣することを可能にする上記改正は、看護師に多大な不利益を負わせるものである。
 実際、厚生労働省の「福祉及び介護施設における看護師の日雇派遣に関するニーズ等の実態調査集計結果」(令和2年3月)においても、「看護師等の派遣労働者として働く上で感じた雇用管理上の課題」として、「契約の範囲外の業務や、想定外の業務の実施」(24.1%)、「指揮命令系統が不明確」(20.4%)、「不適切な労働時間管理(就業日・就業時間・休憩時間・時間外労働・休暇)」(14.8%)、「労働者の安全・衛生面の確保」(14.8%)など、派遣労働者としての就業経験がある看護師等の57.4%が雇用管理上の課題を挙げている。
 また、同調査の「看護師等の派遣労働者として短期就業する場合の懸念点」として、「派遣先にすぐに順応できない」(43.1%)、「契約が細切れで収入が安定しない」(33.4%)、「業務の遂行により事故が生じた場合に、十分な補償が受けられるか心配」(24.7%)「複数の職場で働くため健康が心配」(16.0%)など、派遣労働者としての就業経験がある看護師等の84.2%が派遣労働者として短期就業する場合の懸念点を挙げている。

4 さらに、へき地の病院等への看護師等の派遣は、チーム医療に支障が生じる等により、労働者派遣法4条1項3号、同施行令1項各号により原則禁止としてきたものであって、これを解禁することによって医療の質の低下が懸念されるところである。
 社会福祉施設等への看護師の日雇派遣についても、チームケアの実現を困難にすることなどから、サービスの質の低下にもつながるおそれがある。上記調査の「看護師等の派遣労働者として働く上で感じた医療安全上の課題」においても、「どのような体制で、医療安全管理が行われているかがわからない」(39.8%)、「利用者の情報収集をする時間が不十分」(35.2%)、「医療安全に関するマニュアルを把握する機会がない」(27.8%)、「起こりやすい医療事故等について、把握する機会(研修等)がない」(25.0%)、「医療安全を推進する上で、同僚とのコミュニケーションが不足している」(24.1%)など、派遣労働者としての就業経験がある看護師等の74.1%が医療安全上の課題を挙げている。

5 以上のとおり、労働者派遣の拡大は、看護師等に多大な不利益を負わせ、さらには、医療等の質を低下させるものであって、人手不足の解消の手段として不合理である。看護師等の人手不足の解消は、直接雇用で、かつ、待遇を改善することにより実現すべきことであって、このような観点から、国は、賃金の原資となる診療報酬や介護報酬の適切な改定、一人当たりの労働の負荷を軽減するために人員配置基準を引き上げて人員の増加などを行うべきである。


 ほんとうにもっともなご指摘であって、我々、同様の危機感を持っている労働側委員からは、
〇この間、ワクチン接種会場への看護師派遣の特例を含め、度重なる特例によって、本来禁止されている労働者派遣が実質的に拡大されていることに強い懸念を持っている。
〇本来、この問題は医療政策上の課題であり、医療政策において検討し、解決すべきものだと考えている。
〇今般の感染急拡大とそれを踏まえた知事会からの要望を踏まえれば、臨時の医療施設への看護師派遣については、期間を区切った特例であることを前提としてやむを得ないと考えるが、派遣は最後の手段であって、まずは直接雇用にて人材確保手段を尽くしていただくこと、医療の安全性確保の観点からも事前研修含めて必要な措置を実施していただくこと、および、派遣法の趣旨についてしっかり自治体に周知し、助言していただきたい。
と意見させて戴いたが、とにかく今の政府は、コロナ禍の中で、どさくさに紛れて、とんでもない政策を紛れ込ませてくるから注意が必要だ。

議事次第
【資料1-1】労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱
【資料1-2】労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案概要
【参考資料1】新型コロナウイルス感染症に係る臨時の医療施設における人材確保について
【参考資料2】新型コロナウイルス感染症に係る臨時の医療施設への看護師等の労働者派遣について

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「業況特例、地域特例について、3月末まで 現行の日額上限・助成率の特例を継続」令和4年1月以降の雇用調整助成金の特例措置等について

2021-11-22 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 11月19日(金)、第169回労働政策審議会職業安定分科会 及び 第160回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(オンライン会議)が合同開催され、その後、厚生労働省より、令和4年1月以降の雇用調整助成金の特例措置等について報道発表された。⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/r401cohotokurei_00001.html
業況特例、地域特例について、3月末まで現行の日額上限(15,000円)・助成率(4/5(10/10))の特例を継続する。
その他については、3月末まで現行の助成率の特例を継続しつつ、日額上限は段階的に見直す(1・2月11,000円、3月9,000円)という内容だ。

 なお、幾つか変更点があって、
業況特例について、生産指標が最近3か月の月平均で前年、前々年又は3年前同期比30%以上減少の全国の事業主となり、令和3年12月までに業況の確認を行っている事業主は、令和4年1月1日以降に判定基礎期間の初日を迎えるものについては、その段階で業況を再確認することとなる。
また、令和4年1月からは、原則的な措置、地域・業況特例のいずれについても、令和3年1月8日以降の解雇等の有無で適用する助成率を判断する。
ところで、原則的な措置について1・2月は11,000円となって、産業雇用安定助成金の上限額12,000円を下回ることになるが、これは企業に、休業よりも、積極的な在籍型出向の検討を促す意向が反映されているようだ。

 11月19日に、財政支出は過去最大の55・7兆円となる新たな経済対策が閣議決定された。
その中の、雇用調整助成金などに関係するところは次の通り。

「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」について
第3章
Ⅰ.新型コロナウイルス感染症の拡大防止
2.感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援
(2)生活・暮らしへの支援(抄)
 雇用調整助成金の特例措置等は、特に業況が厳しい企業等に配慮しつつ、令和4年3月まで延長する。具体的には、業況特例、地域特例について、3月末まで現行の日額上限・助成率の特例を継続する。その他については、3月末まで現行の助成率の特例を継続しつつ、日額上限は段階的に見直す。
 同時に、成長分野等へ労働者が円滑に移動できる環境整備等を図るため、需要減少で人手が過剰な企業から人手不足の企業への在籍型出向を助成金でしっかりと支援するほか、職業訓練と再就職支援を組み合わせて、労働者のスキルアップや労働移動を図る事業の強化を行う。
 また、当面の雇用調整助成金等の財源確保及び雇用保険財政の安定を図るため、雇用保険臨時特例法に基づき、一般会計から労働保険特別会計雇用勘定に任意繰入を行う。これを含め、雇用調整助成金等の支給や雇用保険財政の安定のため多額の国庫負担を行っていることも踏まえ、労使の負担感も考慮しつつ、保険料率や雇用情勢及び雇用保険の財政運営状況に応じた国の責任の在り方を含め、令和4年度以降の雇用保険制度の安定的な財政運営の在り方を検討し、次期通常国会に法案を提出する。


 この1段落目は、今回の雇用調整助成金の特例措置について。
 2段落目は、労働移動に関して書かれている。
雇用調整助成金が労働移動を阻害しているとの意見があるが、そもそも雇用調整助成金は、「事業の再開を見据えてスキルを持った労働者を雇用し続けたい」という企業側の意向と、「現在の仕事を続けたい」という労働者側の意向がマッチした際の雇用維持を後押しするものであって、転職の意思がない労働者を、一時的なコロナ禍を理由に他の産業に移動させるとするのは、いかがなものかと思う。
一方で、労働者の意向が「会社に戻ることができるならば一時的に出向してもよい」ということであるならば、企業は産業雇用安定助成金を活用するなどして在籍型出向を通じて雇用を維持することも視野に入れるべきであり、厚生労働省には改めて制度の利用促進をおこなうべきだ。
 3段落目は、財源の問題だ。
雇用保険臨時特例法に基づき、一般会計から労働保険特別会計雇用勘定に任意繰入を行い、令和4年度以降の雇用保険制度の安定的な財政運営の在り方を検討し、次期通常国会に法案を提出するとしている。
2007年度以降、国庫負担については、当分の間の措置として本来の負担額の55%に引き下げられており、2017年度以降は時限的に本来の負担額の10%に引き下げられているが、まずは、次年度に本則に戻すべきである。
また、労働者のこれまでの賃金や一時金への影響も考えれば、「弾力条項に基づく4/1000の引き下げがなくなることによる雇用保険料率の上昇」と「時限的に2/1000を引き下げ措置が期限を迎えることによる雇用保険料率の上昇」の両方を受け入れられる状況には到底ないし、現行の時限的な引き下げについては、現行の2/1000の引き下げを最低限として、継続すべきである。
そのうえで、仮に年度内に第6波の感染拡大が来た場合においても、現状の助成金の水準を維持できる分の財源を一般会計から十分に確保したうえで、雇用情勢などに応じて機動的な対応ができるよう制度整備を検討すべきである。

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令和4年1月1日から65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー 制度」が施行

2021-10-27 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 令和4年1月1日から65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が施行される。

「雇用保険マルチジョブホルダー制度」とは
 従来の雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みなどの適用要件を満たす場合に適用される。
 これに対して、「雇用保険マルチジョブホルダー制度」は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度。

「マルチ高年齢被保険者」の申出は任意で、マルチ高年齢被保険者となった後の取扱いは通常の雇用保険の被保険者と同様で、任意脱退はできない。

[適用要件]
 以下の要件をすべて満たすことが必要。
・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

[失業した場合の給付]
 「マルチ高年齢被保険者」であった方が失業した場合には、一定の要件を満たせば高年齢求職者給付金を一時金で受給することができる。

[申請の際の注意点]
・通常、雇用保険資格の取得・喪失手続は事業主が行いますが、この制度では「マルチ高年齢被保険者」としての適用を希望する本人が手続を行う必要がある(郵送または代理人の申請も可能)。
・手続に必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)は、本人から事業主に記載を依頼して、適用を受ける2社の必要書類を揃えてハローワークに申出る必要がある。(本制度の運営に当たっては、事業主の協力が必要不可欠。従業員に本制度の周知をいただくとともに、従業員から手続に必要な証明を求められた場合は、速やかなご対応をお願いしたい。)
・「マルチ高年齢被保険者」の資格を取得した日から雇用保険料の納付義務が発生する。
・手続は、本人の住所または居所を管轄するハローワークで行う。(管轄については、下記の「お問い合わせ」に掲載しているリンク先を参照。)

【制度の概要はこちら】
・「雇用保険マルチジョブホルダー制度」を新設します(労働者向けリーフレット) https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=9&n=152  

・「雇用保険マルチジョブホルダー制度」を新設します(事業主向けリーフレット) https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=10&n=152
  
【申請手続きなど詳細はこちら】
雇用保険マルチジョブホルダー制度の申請パンフレット https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=11&n=152

【Q&Aはこちら】
Q&A~雇用保険マルチジョブホルダー制度~ https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=12&n=152 

【お問い合わせ】
全国のハローワークの所在案内 https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=13&n=152
※ご不明点は最寄りのハローワーク(公共職業安定所)の雇用保険窓口にお尋ねください(平日8:30~17:15)。


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「改正育児・介護休業法」の省令・指針を公布、告示⇒法改正に追いついていない現場が大きな課題やねん…

2021-10-26 | 書記長社労士 法改正 労働関係
 今年6月に改正した「改正育児・介護休業法」の省令・指針を公布、告示された。~令和4年4月と10月施行分~

 改正のポイントは以下の通り。


[令和4年4月1日施行](全企業対象)
・育児休業の申し出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置の義務付け
・妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対して、事業主から個別の制度周知と休業の取得意向の確認のための措置の義務付け
・有期雇用労働者の育児休業と介護休業の取得要件の緩和
※雇用環境整備の選択的措置事項、個別周知しなければならない事項などを省令で定められた。

[令和4年10月1日施行](全企業対象)
・男性の育児休業取得促進のため、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
・育児休業を分割して2回まで取得可能に
※産後パパ育休の申し出事項、産後パパ育休の申し出期限を1か月前にする場合に労使協定で定める事項、産後パパ育休中の就業の上限・手続き、1歳以降の再度の育児休業が可能な事由などを省令で定められた。


[令和5年4月1日施行](従業員1,000人超企業対象)
・常時雇用する労働者数が1,000人超の事業主に対し、育児休業の取得の状況について公表の義務付け
 ※詳細は、追って省令で定める予定。


【改正ポイントの詳細はこちら】
 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(リーフレット)https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=3&n=152 

【「育児・介護休業法」の詳細はこちら】
 育児・介護休業法について(厚生労働省ホームページ)https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=4&n=152

 前回の改正でさえ、現場ではまだまだ理解と実践が追いついていない、ほぼほぼ周回遅れなのが実態。
一生懸命、周知しなければ!

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第168回労働政策審議会職業安定分科会がオンラインで開催された(雇用調整助成金の特例措置の11月末までの延長など)

2021-09-14 | 書記長社労士 法改正 労働関係


第168回労働政策審議会職業安定分科会がオンラインで開催されたが、議題については以下の通り。
(1)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3)2020年度の評価及び2021年度目標の設定について
(4)令和2年度のハローワークのマッチング機能に関する業務の評価・改善の取組について
(5)その他

 議題(1)については、雇用調整助成金制度の特例措置の延長、(2)については、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の対象となる休業の期限の延長だ。

 雇用調整助成金制度の特例措置の延長については、
① 新型コロナウイルス感染症関係事業主が行った休業等について、1日当たり支給上限額を13,500 円、助成率を2/3(中小企業にあっては4/5)(令和2年1月24 日以降解雇等を行っていない場合には、助成率を3/4(中小企業にあっては9/10))とする特例措置の期間を令和3年11 月30 日まで延長する。
② 新型コロナウイルス感染症関係事業主が行った休業等について、地域特例(※1)及び業況特例(※2)の対象となる期間を令和3年11 月30 日まで延長する。
なお、(※1)及び(※2)の助成率は以下のとおり。
・1日当たり支給上限額:15,000 円
・助成率 : 4/5(令和3年1月8日以降解雇等を行っていない場合10/10)
③ 継続して雇用された期間が6か月未満の雇用保険被保険者についても助成することとする等の措置の適用対象を雇用調整助成金の対象期間の初日が令和2年1月24 日から令和3年11 月30 日までの間にある場合に変更する。
④ 新型コロナウイルス感染症関係事業主が行った休業等について、支給上限日数に加えて支給を受けることができることと等とする期間を令和2年4月1日から令和3年11 月30 日までに変更する。


 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の対象となる休業の期限の延長については、
○ 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の対象となる休業の期限を令和3年9月30 日から同年11 月30 日まで延長する。
○ また、まん延防止等重点措置実施地域又は緊急事態措置実施地域については、令和3年5月1日から同年9月30 日までの間の休業を対象に、一日当たりの支給上限額を11,000 円とする地域特例を実施しているところ、この期間延長と併せて、当該地域特例の対象となる休業の期限についても同年11 月30 日まで延長することとする。


 これらについては、財源の枯渇が問題になっているが、労働者側委員から、
「〇諮問内容自体は妥当であり、コロナ禍の収束が未だ見通せない状況にあることから、12月以降も当面は現行措置を継続すべきである。
〇 今回の措置内容を踏まえて現場では勤務や休業の計画の策定をすることになる。予算上の都合があることは承知しているが、12月以降の措置に関する審議と方針の発表については、遅くとも10月中に行っていただきたい。
〇 雇用保険二事業の今年度予算が枯渇寸前である中、当面の財源の確保に向けてどのような対応が予定されているのか。最新の状況を伺いたい。
〇 今後、当分科会において、雇用保険制度および財源の確保措置、雇調金の特例措置などについて議論することになるが、その議論結果をもとに法改正や制度改正につなげるべきである。財政当局との調整も必要であることは承知をしているが、当分科会における公労使の意見が十分に尊重された法改正とすべきである。」
と意見をし、使用者側からの各委員からも同様の意見が合ったことを受け、本日の職業安定分科会としては、以下の意見を伏して「おおむね妥当」として、答申した。

1 厚生労働省は、今後の雇用保険制度の在り方の検討に当たり、以下の点を踏まえるべきである。
(1) 本年7月27日の答申にも記載されたとおり、雇用調整助成金の特例措置の取扱いについては、本来、収入確保策と同時に議論する必要があり、一般財源の投入強化をはじめ収入確保策の具体化に向け一層取り組むべきである。
(2) 加えて、新型コロナ対応が長期化する中で、
・ 雇用保険制度の一環として実施している雇用調整助成金の特例措置や休業支援金等の在り方
・ 今般の新型コロナ対応で雇用保険財政が急速に逼迫したことも教訓に、このような緊急事態が今後生ずることも念頭に置いた雇用保険財政の在り方
について、当分科会においてしっかりと議論し、必要な法改正につなげていくべきである。
2 厚生労働省においてこうした意見をしっかりと踏まえることを前提として、厚生労働省案は、おおむね妥当と認める。


 議題(3)については、自分は、9月の新学期を迎えて「小学校休業等対応助成金・支援金」が再開される旨の厚労省のプレスリリースがあったことも踏まえて、「子育て中の女性への支援」について意見を行った。
⇒厚労省プレスリリース2021年9月7日「小学校休業等に伴う保護者の休暇取得支援について ~小学校休業等対応助成金・支援金を再開します~」

 議題(5)その他については「雇用保険制度について」。
雇用保険制度の見直しについて、今後、雇用保険部会で議論される論点について説明があった。
○ 財政運営(保険料率、国庫負担等)
○ 給付の暫定措置等の在り方
○ 新型コロナウイルス感染症への対応
○ その他として、基本手当、求職者支援制度その他各種給付の在り方 等
ちなみに給付の暫定措置等の在り方については、一般求職者給付(基本手当等)の特定理由離職者の所定給付日数、地域延長給付、教育訓練支援給付金、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例などが検討されるそうだ。

議事次第
資料1-1:雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱(雇用調整助成金の特例)
資料1-2:雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(雇用調整助成金の特例)
資料2-1:新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱
資料2-2:新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案概要
資料3-1:雇用情勢について
資料3-2:2020年度評価報告書
資料3-3:2020年度評価シート
資料3-4:2021年度の年度目標
資料4:令和2年度のハローワークのマッチング機能に関する業務の評価・改善の取組について
資料5-1:雇用保険制度の概要
資料5-2:雇用保険制度の主要指標
資料5-3:雇用保険制度の財政運営
資料5-4:雇用保険制度の主な論点(案)

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次の厚生労働省労働政策審議会職業安定分科会の議題ではなく、9月の案件になるが、昨日、雇用調整助成金の特例措置の延長がプレスリリースされた。

2021-08-18 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 次の厚生労働省労働政策審議会職業安定分科会の議題ではなく、9月の案件になるが、昨日、雇用調整助成金の特例措置の延長がプレスリリースされた。⇒10月以降の雇用調整助成金の特例措置等について https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000819708.pdf


10月以降の雇用調整助成金の特例措置等について

(注)以下は、事業主の皆様に政府としての方針を表明したものです。施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点での予定となります。

 新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の特例措置については、今般、緊急事態措置区域として7府県が追加されるとともに、緊急事態措置を実施すべき期間が延長されたこと等を踏まえ、9月末までとしている現在の助成内容を11月末まで継続することとする予定です(別紙)。
 12月以降の取扱いについては、「経済財政運営と改革の基本方針2021(令和3年6月18日閣議決定)」に基づき、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業に配慮しつつ、雇用情勢を見極めながら段階的に縮減していくこととし、具体的な助成内容を検討の上、10月中に改めてお知らせします。
(なお、雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金については、本年7月30日公表のとおり、年末までは、特に業況の厳しい企業への配慮を継続するとともに、助成率については原則的な措置を含めてリーマンショック時(中小企業:4/5[9/10]、大企業:2/3[3/4](※1))以上を確保する予定です。)(※1)[ ]内は、解雇等を行わない場合。
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第166回労働政策審議会職業安定分科会オンラインで開催(雇用調整助成金の特例措置の9月までの延長と、産業雇用安定助成金の要件緩和など)

2021-07-27 | 書記長社労士 法改正 労働関係
 第166回労働政策審議会職業安定分科会(令和3年7月27日(木)17:15~ オンライン開催)の議題は
(1)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)


雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について(概要)
1.趣旨
新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由により、急激に事業活動の縮小を余儀なくされた事業主(以下「新型コロナウイルス感染症関係事業主」という。)に対し、雇用維持の支援を図るため、雇用調整助成金制度の特例措置を講ずるとともに、産業雇用安定助成金制度の特例措置を講ずることを内容とする雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)の改正を行う。

2.改正の概要
(1)雇用調整助成金関係
① 新型コロナウイルス感染症関係事業主が行った休業等について、1日当たり支給上限額を13,500 円、助成率を2/3(中小企業にあっては4/5)(令和2年1月24 日以降解雇等を行っていない場合には、助成率を3/4(中小企業にあっては9/10))とする特例措置の期間を令和3年9月30 日まで延長する。
② 新型コロナウイルス感染症関係事業主が行った休業等について、地域特例(※1)及び業況特例(※2)の対象となる期間を令和3年9月30 日まで延長する。
(※1)緊急事態措置を実施すべき区域、まん延防止等重点措置を実施すべき区域において、知事による、新型インフルエンザ等対策特別措置法第18 条に規定する基本的対処方針に沿った要請を受けて同法施行令第11 条に定める施設における営業時間の短縮等に協力する事業主に対する特例※ まん延防止等重点措置を実施すべき区域においては、知事が定める区域・業態に係る事業主が対象
※ 各区域における緊急事態措置又はまん延防止等重点措置の実施期間の末日の属する月の翌月末までの休業等(令和3年9月30 日までに行ったものに限る。)に適用
(※2)特に業況が悪化しているものとして職業安定局長の定める要件に該当する事業主に対する特例
なお、(※1)及び(※2)の助成率は以下のとおり。
・1日当たり支給上限額:15,000 円
・助成率 : 4/5
(令和3年1月8日以降解雇等を行っていない場合10/10)
③ 継続して雇用された期間が6か月未満の雇用保険被保険者についても助成することとする等の措置の適用対象を雇用調整助成金の対象期間の初日が令和2年1月24 日から令和3年9月30 日までの間にある場合に変更する。
④ 新型コロナウイルス感染症関係事業主が行った休業等について、支給上限日数に加えて支給を受けることができることと等とする期間を令和2年4月1日から令和3年9月30 日までとする。


 なお、7/21(水)夕刻の経済財政諮問会議において、田村厚生労働大臣が以下2点に言及したようだ。

(1)雇用調整助成金の特例措置について
 最低賃金の引き上げに関連して、与党から中小企業等への支援策強化の提言があり、以下を進める予定。
 ①業況特例を年末まで継続
 ②リーマンショック時(中小企業:最大9/10)以上の助成率を年末まで確保
 ③業況特例等の対象となる中小企業が、事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げる場合、10月から年末まで休業規模要件を問わず支給
(2)産業雇用安定助成金について
 特例として、企業グループ内での在籍型出向により雇用維持を図る企業についても助成対象とする予定。


(1)は、先日の日経新聞にも出ていた内容だが、助成額上限については特段何も決まっていないそうだ。
(1)③の「事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げる場合」の一定は、地域最賃の引き上げ額以上らしい。
休業規模要件は、中小企業は原則1/20だが、今のコロナ特例では1/40。
(2)については、以下の通り


(2)産業雇用安定助成金関係
① 資本関係、取引関係、人的関係等において密接な関係性を有する事業主間で行う出向のうち、職業安定局長が定める要件を満たすもの(以下「企業グループ内出向」という。)について、産業雇用安定助成金制度の助成対象とすることとする。
(ア) 企業グループ内出向に係る出向運営経費助成(※1)の助成率は、大企業1/2、中小企業2/3 とする。ただし、出向元事業主が解雇等を行っていない場合の助成率の上乗せは行わないこととする。
(※1)出向運営経費助成
出向元事業主及び出向先事業主に対して、賃金、教育訓練及び労務管理に関する調整経費等、出向中に要する経費の一部を助成するもの。企業グループ内出向以外の出向について、助成率は、大企業2/3(出向元事業主が解雇等を行っていない場合3/4)、中小企業4/5(出向元事業主が解雇等を行っていない場合9/10)
(イ) 企業グループ内出向については、出向初期経費助成の対象としない。
② 公益の目的のために、大量の被保険者を出向させる必要があると職業安定局長が認める出向については、出向運営経費助成及び出向初期経費助成について、1事業所につき1000 人まで助成の対象とすることができることとする。ただし、出向運営経費助成は3ヶ月までの支給に限る。
3.根拠法令
雇用保険法(昭和49 年法律第116 号)第62 条第1項第1号及び第2項
4.施行期日等
公布日:令和3年7月下旬(予定)
施行期日:公布日。(2)については、令和3年8月1日から適用。


 ポイントを整理すると、
①出資比率50%超のグループ内企業間の出向も助成対象とする。
②助成率は、中小2/3・大1/2。 ※雇調金の在籍型出向メニューと同様
③上限額は、12,000円/一日一人あたり。 ※グループ外出向と同様
④出向初期経費は、助成なし。
⑤一事業所あたり上限人数は、グループ内外合計で500人。 ※特に緩和なし
 ただし、公益ニーズによる短期・大量の出向(例:オリパラやワクチンの対応)は外枠扱いで1,000人まで。 ※労働者側の要請と関係なく緩和
⑥申請時の計画届と出向協定書の様式が少し変更となる。
⑦施行日は、2021年8月1日(時期を遡っての適用はしない)。予算増額は行わない(申請増に耐えられる想定)。

 この現行の「産業雇用安定助成金」では、「出向元と出向先が、親会社と子会社の間の出向でないことや代表取締役が同一人物である企業間の出向でないことなど、資本的・経済的・組織的関連性などからみて独立性が認められること」という要件がある。
具体的には

出向元事業主について、
(ロ) 次のいずれかに該当する場合その他の資本的、経済的、組織的関連性等からみて、助成金の支給において出向先事業主との独立性を認めることが適当でないと判断される事業主でないこと。
a 他の事業主の総株主又は総社員の議決権の過半数を有する事業主を親会社、当該他の事業主を子会社とする場合における、親会社又は子会社であること。
b 取締役会の構成員について、代表取締役が同一人物であること、又は取締役を兼務しているものがいずれかの取締役会の過半数を占めていること。

出向先事業主について
(イ) 次のいずれかに該当する場合その他の資本的、経済的、組織的関連性等からみて、助成金の支給において出向元事業主との独立性を認めることが適当でないと判断される事業主でないこと。
a 他の事業主の総株主又は総社員の議決権の過半数を有する事業主を親会社、当該他の事業主を子会社とする場合における、親会社又は子会社であること。
b 取締役会の構成員について、代表取締役が同一人物であること、又は取締役を兼務しているものがいずれかの取締役会の過半数を占めていること。

 とされていて、グループ内企業の場合(親会社と子会社間、子会社間、純粋持ち株会社内(ホールディングス内)の会社間)、使えるケースが限定的だった。
それで、「コロナ禍の雇用維持のために行われ、かつ、コロナ前の通常の人事異動とは異なる類型の出向」についてを対象として貰いたく、運動してきたんだが、大きく前進した。

 ただし、残念な点が、次の通りあるが、とりあえず、大きく改善されたので、素直に喜びたい。
➊出向初期経費は助成なしとされたが、その理由が「出向の準備に要する負担軽減を目的としているため、グループ外出向より調整コストが低いグループ内出向には実施しない。」ということ。
たしかに、グルー内出向では、調整コストは低いが、出向の準備に要する負担はグループ外出向と同様に発生するわけで、理由に納得ができない。
❷グループ内出向には、出向元が労働者の解雇などを行っていない場合の助成率の優遇がなされていない点について、そうなると、業況特例の対象となる事業なら、グループ内出向の調整の苦労をするよりも、これまで通り、雇用調整助成金を活用しての休業を選択してしまうことにならないか、という問題もあるのではないか、と思う。


 ちなみに、議題1に関して、職業安定分科会は、このような内容で、分科会会長から、労働政策審議会に報告することになった。(一カ所、ミスタイプあるが、見逃してください)

議事次第
資料1-1:雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱
資料1-2:雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要
資料2-1:新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱
資料2-2:新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案概要
参考資料:緊急事態措実施置区域とまん延防止等重点措置区域

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