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今年3月31日発行のうちの機関誌に寄稿した「育児・介護休業法改正ポイント」をこっちにも転載しとこ

2022-10-26 | 書記長社労士 法改正 労働関係

これまでの経過
 2021年6月に改正した「改正育児・介護休業法」。今回の育児・介護休業法改正の大きな盗聴は、主に、男性に対する育児休業取得の促進を念頭に、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みが取り入れられた点だ。これは「男性へのポジティブアクション」と位置付けられている。
 妊娠・出産を経て働き続ける女性の割合は増え続けている。しかし、女性の育児休業取得率が八割を超えて推移しているのに対し、男性の育児休業取得率は、近年僅かずつでも上昇しているものの12.65%(2020年度)にとどまっている。また、男性正社員の約4割が育児休業の利用を希望していたが利用できなかったという調査結果もある。


 なぜ今、男性への育休が必要なのだろうか。
 まず一つ目の理由として、核家族化や親の高齢化などの理由で、里帰り出産を選ばない(選べない)夫婦が増えていることがある。産褥期(=出産後の身体が元の状態に戻るまでのおよそ6~8週間の期間)を出産直後の女性が一人で乗り切ることは現実的ではなく、産後鬱のリスクも高まるため、この時期の妻を支えるために夫が育休を取得する必要がある。
 二つ目の理由は、年代が若くなるほど家事も家計も夫婦で分かち合うものという感覚が強いことである。
 三つ目の理由は、国際的に見て日本の男性の平均家事育児参画時間は極めて短いが、夫の家事育児参画時間が長いと第二子以降の出生率が高まる傾向がある。
 法定の育児休業は、1927年の勤労婦人福祉法において、女性労働者への便宜供与として、事業主の努力義務とされたのが出発点だ。その後、雇用機会均等法に同様の考え方で継承されたことを経て、1991年に育児休業法において、男女平等に、同社個人の権利として付与されることとなった。ただし、2010年の育児・介護休業法の改正まで、配偶者が専業主婦(夫)である場合、過半数代表との労使協定により育児休業を不可とすることが出来、多くの企業がこの労使協定を締結していた実態があった。
 今回の改正で新たに設けられる「子の出生直後の時期における柔軟な育児休業」は、明示的に対象を男性に限定するものではない。しかし出産した女性にとっては労働基準法に定める産後休業の期間に重なるため、主な取得者は男性が想定されることになる。この点で実質的に男性に対するポジティブアクションととらえられている。


改正のポイント
[2022年4月1日施行](全企業対象)
①育児休業の申し出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置の義務付け
②妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対して、事業主から個別の制度周知と休業の取得意向の確認のための措置の義務付け
③有期雇用労働者の育児休業と介護休業の取得要件の緩和
※雇用環境整備の選択的措置事項、個別周知しなければならない事項などを省令で定められた。


[2022年10月1日施行](全企業対象)
①男性の育児休業取得促進のため、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
②育児休業を分割して2回まで取得可能に
※産後パパ育休の申し出事項、産後パパ育休の申し出期限を1か月前にする場合に労使協定で定める事項、産後パパ育休中の就業の上限・手続き、一歳以降の再度の育児休業が可能な事由などを省令で定められた。

 ①の「産後パパ育休」については、従来の育児休業とは別に、主に男性を念頭に置いた「子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み」の創設である。男性の休業取得のニーズが高いと考えられる、子の出生直後、具体的には出生後8週間以内の期間(女性の産後休暇期間中)に限定して、その間、4週間まで(2回まで分割取得が可能)取得可能な、新しい休業の仕組み。これは従来からの育児休業と組み合わせての取得も可能となっている。さらに、労使協定の締結を前提に、休業中に一定の範囲内の就業も認められるなど、柔軟な仕組みを持っている。具体的な手続きの流れは、
❶労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
❷事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)
❸労働者が同意
❹事業主が通知
となっている。なお、就業可能日等には上限がある(休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分、休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満)。
 育児休業の申し出は、原則休業の1か月前までとなっているが、産後パパ育休については、原則休業の2週間前までとされる。

 ②の「育児休業の分割取得」については、これまで、ママの出産後八週間以内の期間内に、パパが育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度、パパが育児休業を取得できる「パパ休暇」という制度はあったが、従来からの育児休業は原則、分割取得ができなかった。しかし、今回の改正で2回まで、父母ともに分割取得が可能となる。①の制度と合わせると、男性の場合、最大4回に分割して、育児休業を取得できるようになる。なお、現行のパパ休暇は、産後パパ育休実施に伴い廃止となる。
 また、保育所などに入所できない場合に取得できる、子の1歳時、1歳6か月時の育児休業については、これまで開始時点が1歳または1歳6か月時点に限定されていたため、父母が途中で交代できなかったが、今回の改正で、開始時点を柔軟化することとなったので、父母が育休を途中交代できる制度となる。

[2023年4月1日施行](従業員1000人超企業対象)
①常時雇用する労働者数が1000人超の事業主に対し、育児休業の取得の状況について公表の義務付け
 
 それぞれの制度について、制度導入に向け、早期に労使協議を始める必要がある。また制度を利用する組合員にとって分かりやすい周知を求めると同時に、上司の理解を進め、雇用環境の整備も必要となる。

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