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労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

それは業務命令ですか?

2012-01-04 | 書記長社労士 労務管理
 今日から通常業務、といっても今のところ年賀の挨拶ばっかで、まともに執務はしていないけど。

 「それは業務命令ですか?」「承知しました」

 家政婦さんのお話はおいといて、通常、使用者が労働者におこなう業務命令とは「業務遂行のために行う指示または命令」のこと。
使用者と労働者が、労働力の提供とそれに対する報酬の支払いを内容とする労働契約を締結することにより、使用者は労働者から労務の提供を受ける権利を有するとになり、この労働契約の内容と趣旨に従った労働を行う義務を労働者は負うこととなる。
使用者は、労働契約に基づき、具体的に労務提供の内容を労働者に指示または命令をおこなうこととなるということで、業務命令権の法的根拠は労働契約にある。

 したがって業務命令は、締結された労働契約の内容の範囲内でしかおこなえない。
業務命令権の行使は、労働契約において労働者がその労働力の利用を使用者に約したと解される合理的な範囲を外れる場合、業務命令権の濫用となり、無効となる。
業務命令の内容自体が合理的でなかったり、業務命令が懲罰的目的で発せられたような場合、または本来の労働義務の範囲内の作業であってもことさらに労働者に不利益を課することを目的として命じられたような場合など、このような業務命令に法的な拘束力はなく、命令を受けた労働者がこれを拒否しても懲戒処分その他の不利益を受けることはない。
もちろんのことだが、贈賄・談合・官庁への虚偽報告などの違法行為(「○○を殺してくれ」なんてのも!)や、選挙応援・宗教活動など労働者の個人的自由の侵害に当たるような行為も、業務命令で強制することは許されない。
なお、業務命令の限界は労働契約の内容によって決まると書いたが、具体的には就業規則の各条項(「従業員は会社の命ずる異動、職務の変更等に応じなければならない」というようなもの)の合理的解釈等によって定まることとなり、また特定の行為を使用者として明確に命じることによって業務命令としての意義があることから、その性格上、一定の権限が与えられている者(工場長・部長・課長・係長など)が、業務命令権を有する者ということになる。

 通常と異なる業務を命令をする場合、身だしなみや生活態度など私的な事まで命じたりする必要が生じた場合、その必要性や内容について、労働者の理解を得られるようにしておかなければならない、ということに注意。
このことを押さえておかないと、法的に問題が出るよ。
けっきょく今日はこのことが書きたかった。(そんな相談を受けたので)

 ところでふと思ったけど、看護婦さんは今は看護師さんって呼ぶでしょ、家政婦さんは今でも家政婦さんでいいの?
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ここまでがセクハラ、ここを超えたら・・・

2011-12-08 | 書記長社労士 労務管理
 セクハラとは一般的に「職場・学校などで相手の意思に反して不快や不安な状態に追いこむ性的なことばや行為」を指す。
実は法的な取決めがあるのは職場のみで、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」、いわゆる「男女雇用機会均等法」の第11条に、職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置として、「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とされていて、これをセクハラの根拠としてある。
この法律が制定された当時は、「女性に対して」のみであったけど、2007年の改正で範囲を拡大、男性への性的嫌がらせも配慮の対象とされた。

 セクハラは2種類に分類されている。
① 対価型セクハラ・・・職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それに対して拒否・抵抗などをしたことで、労働者が解雇、降格、減給などの不利益を受けること。
② 環境型セクハラ・・・職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど労働者が就業する上で見過ごすことができない程度の支障が生じること。

 この対価型セクハラの例としては、「職場で昇進・昇給など待遇や、採用・解雇を人質に取って性行為や愛人契約を強要すること」、「取引先との売買契約を人質に取った性行為や愛人契約を強要すること」などがあげられる。
学校では「学校で単位を人質に取った性行為の強要」などがこの対価型セクハラとなる。

 あくまでも「強要した」ところまでがセクハラで、強要したことによって相手の意に反した行為に及んでしまうと、それは強制わいせつや強姦(婦女暴行)という刑事事件の問題になることに注意。
北京五輪金メダリストの内柴正人容疑者の場合は、大学ではセクハラとして彼を処分したけど、警視庁は準強姦の疑いで逮捕したというのがその例。
セクハラを安易に考えたらアカンよ!
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水が飲みたい。

2011-11-29 | 書記長社労士 労務管理
「水が飲みたいのですがどうすればいいですか。」
・・・こうすれば水が飲めますよ。

「その水が飲める場所はどこですか。」
・・・ここをこう行けばいいですよ。

「そこまで連れて行ってください。」
・・・わかりました、連れて行ってあげます。ここですよ。

「どうやって飲むのですか。」
・・・こういう風にするのですよ。

「飲ませてください。」
・・・わかりました、どうぞ。

「なんて不味い水なんだ、訴えてやる!」
・・・ガ━━━(||゜ω゜||)━━━ン

 こんな人がいちばん嫌い!
世の中にこんな人がどんどん増えているような気がするけど・・・
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タクシー運転者の最低賃金

2011-10-31 | 書記長社労士 労務管理
 タクシーで働く労働者の賃金が、法定地域最低賃金を下回っていないかどうかチェックする場合、タクシーの賃金制度に歩合給(出来高払)制が多く採用されている関係で、ずいぶんとややこしい。
普通なら毎月決まって支払われる賃金から、時間外・休日・深夜の所定外給与を除外して、そしてその所定内給与から精皆勤手当・通勤手当・家族手当を除いて、労働時間で割ればいいのだけど。
だけどタクシー労働者の賃金は、歩合給のなかに、所定内労働の部分の歩合給と所定外労働の歩合給が合算されているからややこしい。
さらに固定給というものが存在しない、オール歩合給制(いわゆるB型賃金・B賃)の賃金制度があるのでますますややこしい。

 オール歩合の賃金の計算を、①歩合給=売上×○○%(歩合率)、②時間外割増賃金=①の歩合給÷総労働時間×0.25×時間外労働時間、③深夜割増賃金=①の歩合給÷総労働時間×0.25×深夜労働時間、と明確に区分して計算されていたら、この①を総労働時間で割っちゃえば時間当たりの賃金額がでる。
これを法定地域最低賃金と比較すればいい。
しかし、時間外も深夜もすべて含んで売上の○○%というふうにされていると、時間当たり賃金の計算が難しい。(こういうタクシー会社が多いのだ)

 オール歩合制賃金を分析すると、
総支給額(精皆勤手当・通勤手当・家族手当は含まない)=総労働時間×時間当たり賃金+(時間当たり賃金×0.25×時間外労働時間・・・時間外割増賃金分)+(時間当たり賃金×0.25×深夜労働時間・・・深夜割増賃金分)
という計算式で構成されていることになるので、オール歩合賃金制度の場合の、割増賃金を控除した時間当たりの歩合給額は、次の計算式によって算出する。

時間当たりの歩合給額=総支給額(精皆勤手当・通勤手当・家族手当は含まない)÷(総労働時間+0.25×時間外労働時間+0.25×深夜労働時間)

 この計算式で出て来た時間当たり賃金額と、都道府県別の法定最低賃金額とを比較すればいい。

 しかしタクシー会社で、次に問題になるのが、この労働時間。
就業規則などで定められた労働時間が、そこで働く労働者の労働時間の実態とちゃんと「イコール」になっているかどうか。

 きちんと正確に労働時間管理がなされていたら、就業規則などで定められた労働時間を基礎にして、入庫が遅れた場合などの時間外労働を加えて、総労働時間や割増に相当する時間を算出すればいいが・・・。
そうでない場合は(出入庫・休憩などの労働時間を正確に管理していない場合は)、タコメーター(タコグラフ)や日報により実労働時間を算出されて、最低賃金の比較に使われる場合もあるので要注意。
結果、法定最低賃金との差額を支払わなくてはならなくなり、そして罰則(50万円以下の罰金)が課せられることもあり、さらに相互通報制度によって運輸局の監査対象となって、行政処分につながることもある。

 タクシーに関して「最低賃金」が問題になっているというのは、厚生労働省の最低賃金を案内するパンフレットにタクシー事業者向けのもの-最低賃金制度パンフレット(タクシー運転者の最低賃金について)-が特別に用意されている点で明らかだ。(それだけ要注意業種なのだ・・・悲しい)
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はた楽

2011-10-21 | 書記長社労士 労務管理
 少し前の話しだけど、とある会議後の懇親会で「今どきの若者は・・・」は的な、今どきでないおっさんらの会話をしていたときに、ある労組幹部の方が「自分は『働く』というのは、自分が一生懸命働くことによって『端を楽にする』ということだと先輩に教えてもらった、今もそうだと思っている。しかし今それを若い人に伝えられていない、どう思いますか?」と言っていた。

 これは深い。

 先日、Facebookで知り合いがリンクを張っていた記事が、まさにこの「はた楽」を、論理的に説明してくれていた。→「格差と若者の非活動性について」内田樹の研究室

 アメリカの心理学者マズローは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、彼が人間の欲求を5段階の階層で理論化したものを「マズローの欲求段階説」とか「自己実現理論」とかと呼ぶ。
マズローは、人間の基本的欲求を低次から「生理的欲求(physiological need)」「安全の欲求(safety need)」「所属と愛の欲求(social need/love and belonging)」「承認の欲求(esteem)」「自己実現の欲求(self actualization)」の5段階に分類した。
そして人間は満たされない欲求があると、それを充足しようと行動(欲求満足化行動)するとし、その上で、欲求には優先度があり、低次の欲求が充足されると、より高次の欲求へと段階的に移行するものとしたのが、この理論だ。
この説は、職場の労務管理に応用され、従業員のモラール(士気、作業意欲など)の向上や、やる気を引き出すために必要とされる動機づけ(モチベーション)の要因を分析するために用いられている。

 人材育成、というのは労働組合にとっても、いや企業にとっても、非常に重大なことだけど、人を育てるというときにアプローチを間違ってはいけない。

 「今の日本社会に致命的に欠けているのは、「他者への気づかい」が「隣人への愛」が人間のパフォーマンスを最大化するという人類と同じだけ古い知見です。」と内田氏はくくっていた、これがそもそも「人の特性」なのかもしれない、と共感する。
マズローの言う「自己実現」という言葉には、それを大前提とする「人の特性」があってのものなのだ、ということなんだろう。
「はた楽」、しかし今それが、大多数の人間の思想から欠落しているのかも知れない。

 「連帯せよ」とマルクスは言ったそうだ。

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Twitterで服務規律違反

2011-08-10 | 書記長社労士 労務管理
 Yahoo!ニュースで『また有名人ツイッター投稿「櫻井翔くんが泊まった」』という、北海道のホテル従業員がお客さん情報をtwitterに暴露投稿してしまったというニュースがあった。
以前にも、アディダスの従業員とか、ホテルの焼肉店のアルバイトとかのつぶやきが大問題になってしまったことがあったが。

 通常、会社の就業規則には服務規律を規定し、企業秩序の維持を図るために社員が遵守すべき義務(やるべきこと、やってはいけないこと)やルールや規律を定めてある。
これに違反をした場合には、相応の懲戒処分と実損害に対する損害賠償請求がされることになる。

 このようなTwitterでのつぶやきによって、「情報を漏洩した」「お客様に多大なる迷惑を掛けた」「自社の信用を顧客・社会に著しく失墜させた」ことになると、まさに服務規律に違反しているとして、懲戒処分の対象となってしまう。

 匿名でやっているブログやTwitterやMixiなどであっても、その気になれば意外と簡単に個人を特定できてしまうものだ。
自分もこのブログは一応、個人が特定できないよう匿名でやっていることにしているけど、ものすごく「バレバレ」だということは経験済み(読者は自分が誰かは知らないという前提は、ブログ始めて短期間で崩れさった)。
ブログ・ツイッター・フェイスブックなどインターネット上での発言には注意が必要だし、またこのことは社員などの教育においても日頃から徹底しておかないといけないのだ・・・なσ(--#)アタマイターッ。

 「人に言いたくなること」って、ついついむずむずしてしまうが、むずむずは口に留めておいて、ネットに打ち込む指がむずむずしないようにしなくちゃ!
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自家用車通勤時の通勤手当非課税枠の取り扱いが変わるそうだ

2011-07-21 | 書記長社労士 労務管理
 俺の腰、一昨日から今までの人生の中で味わったことがない痛みに襲われている・・・ΣΣ┏(_□_:)┓iii
骨盤の上の端あたりで、背骨の少し左側、立ち上がったりしたときに、ぐわ~んって痛みが来てそのまましゃがみ込んでしまうほど。
じっとしていたら痛みがないのだけど、姿勢を大きく変えると痛みが襲ってくる。
苦痛に歪む俺の顔を見て、まわりのみんなは病院に行ってみた方がいいと言っている、今日、執行委員会が終わったら病院に行ってこようかな。

 で、久しぶりに社労士または労組役員らしいネタ、「自家用車通勤時の通勤手当非課税枠の取り扱いが変わる」ってなお話し。
自動車などを使って通勤する人が受ける通勤手当については、その通勤の距離に応じ、1か月当たり一定の金額(以下「距離比例額」という。)までが非課税とされている。
で、今までは、片道15キロメートル以上である人が受ける通勤手当については、運賃相当額が距離比例額を超える場合、運賃相当額(最高限度:月額10万円)までが非課税とされていた。
「運賃相当額」とは、交通用具を使用して通勤する人が鉄道などの交通機関を利用したならば負担することとなるべき運賃等で、通勤に必要な運賃、時間、距離等の事情に照らし、もっとも経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃又は料金の額に相当する金額をいい、その場合、利用出来る交通機関が無いときは通勤距離に応じたJR規定の通勤定期代で判定してもよいとなっていた。


 しかし平成24年1月1日以後に受けるべき通勤手当からは法改正になって、運賃相当額が距離比例額を超える場合に、運賃相当額(最高限度:月額10万円)までが非課税とされる措置が廃止されちゃうそうだ。
これにより、通勤手当の金額が距離比例額を超える場合には、その距離比例額を超える金額については課税の対象となる。


 この運賃相当額を基準に、通勤手当の支給額を決めているような会社の場合、賃金規定や労働協約の見直しが検討されるような場合もあるかも。
労使とも、注意が必要だ。
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労働契約の終了のパターンの復習

2011-06-13 | 書記長社労士 労務管理
 今日から通常営業です(?)、しばらく出張もないので。
で、北海道での飲ミ二ケーション中、労働契約の終了のパターンを混同している人が多いなあと感じたので、ちょっとメモしておく。

 まずしっかり区別しておかなくてはならないのは、「期間に定めがない労働契約の場合」と「有期労働契約の場合(期間に定めがある労働契約)」、ここはちゃんと押さえておく。
そのうえで、労働契約の終了のパターンの分類(と、関係法令など)を記載しておく。
ここを混同したり、あいまいに処理したりすると、やっかいな労働契約のトラブルに直結する。

◆期間に定めがない労働契約の場合◆
・労働者から一方的に辞める ・・・ 「辞職」 民法627条・労働基準法第15条2項
・労働者から「辞めさせてください」と願い出て、使用者が承諾する ・・・ 「合意解約」 法律は関係なし(自由にできる)
・使用者から「辞めてくれ」と申し込み(退職勧奨)、労働者が承諾する ・・・ 「合意解約」 法律は関係なし(自由にできる)
・使用者から一方的に辞めさせる ・・・ 「解雇」 労働契約法第16条・労働基準法第19条~第21条
・就業規則などに基づく定年年齢の到来 ・・・ 「定年制」 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

◆有期労働契約の場合(期間に定めがある労働契約)◆
・あらかじめ決まっていた契約期間が終了する ・・・ 「期間満了」 法律は関係なし
・契約期間の途中で労働者から一方的に辞める(※労基法137条に注意) ・・・ 「途中解約」 民法第626条・628条・629条・労働基準法第15条2項
・労働者から「辞めさせてください」と願い出て、使用者が承諾する。 ・・・ 「合意解約」 法律は関係なし(自由にできる)
・使用者から「辞めてくれ」と申し込み(退職勧奨)、労働者が承諾する ・・・ 「合意解約」 法律は関係なし(自由にできる)
・契約期間の途中で使用者が一方的に辞めさせる ・・・ 「途中解除」(解雇) 民法第628条・労働契約法第17条1項・労働基準法第19条~第21条
・あらかじめ期間が決まっていた有期労働契約が繰り返し更新されたあと、使用者が契約を更新しない ・・・「雇止め」 有期労働契約の締結・更新及び雇止めに関する基準・解雇権濫用法理の類推適用(実態により)

☆☆ここから下は法律の条文が書いてあるだけです・・・興味のない方はここで(^o^)/~~~☆
民法
(期間の定めのある雇用の解除)
第626条 雇用の期間が5年を超え、又は雇用が当事者の一方若しくは第三者の終身の間継続すべきときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。ただし、この期間は、商工業の見習を目的とする雇用については、10年とする。
2 前項の規定により契約の解除をしようとするときは、3箇月前にその予告をしなければならない。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、3箇月前にしなければならない。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
(雇用の更新の推定等)
第629条 雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第627条の規定により解約の申入れをすることができる。
2 従前の雇用について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、身元保証金については、この限りでない。

労働基準法
(労働条件の明示)
第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
(解雇制限)
第19条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
(解雇の予告)
第20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。 
第21条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
 1.日日雇い入れられる者
 2.2箇月以内の期間を定めて使用される者
 3.季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
 4.試の使用期間中の者
第137条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成15年法律第104号)附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

労働契約法
(解雇)
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
第17条  使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
2 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
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「原発事故、土浦市職員逃げた?」 ヾ(-д-;)オィオィチャウヤロ...

2011-05-11 | 書記長社労士 労務管理
 ずーっと掃除なんかしないで放ったらかしな我が愛車、ここんとこの黄砂とここんとこの海滞在での塩で青色だったはずのボディはほぼ白色になっていた。
「こりゃあまりにも汚すぎる・・・」ので、昨日からの雨を利用して洗車(?)、撥水カーシャンプーで泡だらけにしておいた。
きっとその後も降り続いている雨によってすすぎは完了していて、雨が上がったらピカピカになっているはずだ~∑d(≧▽≦*)OK!!

原発事故、土浦市職員逃げた? 有給取った3人処分(朝日新聞) - goo ニュース

 福島第一原発の事故発生後に有給休暇を取って県外に避難したり、震災後に有給のリフレッシュ休暇を取ったりした茨城県土浦市の職員がいたことがわかった。市は、市民生活部の課長補佐ら3人を訓告と厳重注意処分にした。
訓告処分を受けたのは主幹(33)。3月16日深夜に妻を連れ、21日まで浜松市内の親類宅に身を寄せた。17日朝に電話で17、18の2日間の休暇を取得。19~21日は土日祝日のため休んだ。


 前者の有給休暇は、おそらく法定の年次有給休暇であろう、後者の有給のリフレッシュ休暇は法定外の休暇であろう。
そもそも労働基準法第112条で国、地方公共団体の適用が定められている一方で、国家公務員法附則16、地方公務員法58他により、国家公務員、地方公務員への適用除外や制限があるので、そのまま民間の労働者とはイコールではないから、この処分が適正なのかどうかは、この報道ではわからないが。

 労働基準法による年次有給休暇に限って考えると。

 「年次有給休暇における休暇の利用目的は労働基準法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由であると解すべきである。」という最高裁判所の判断がある。(最小判昭48・3・2 白石営林署事件)
したがって年次有給休暇を利用する労働者が、休暇の時期を指定して使用者に請求すれば、使用者はその休暇の理由にかかわらず、その休暇を行使させなければならない。(使用者の「承認」というような付与行為の概念を入れる余地がない)

 では使用者の対抗手段(←?)である「時期変更権」は、「事業の正常な運営を妨げる」場合に行使できることを労働基準法では定めている。
「事業の正常な運営を妨げる」かどうかは、当該労働者の所属する事業場を基準として、事業の規模、内容、当該労働者の担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきとされている。(大阪高判昭53・1・31 此花電報電話局事件)
(「職員が逃げたとウワサになっている」とか「市の災害対策本部が震災対応している非常時に、市民の不信と信用失墜を招きかねない」とかというのは、この判例に則ってみると客観性に欠ける?)

 となるとこのニュースのようなケースの場合(前者の場合が法定の年次有給休暇であった場合に限って)、労働基準法第136条の「使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」に該当すると思われる。
なお、後者のような、おそらく法定外の休暇などの場合は、それは就業規則や労働協約でどのようにルールが定められているかによるので、取り扱いは同じではないので注意。

 公務員をスケープゴートとするかのようなこのニュース、どうも違和感を覚える。
行政のやり方に憤りを感じているような感情的なニュースはよく目に付くが、それは行政のシステム上の問題であって、現場で働いている公務員たちは(電力会社などの労働者などももちろん!)骨身を惜しんで働いているし、定められたルールに従って働いているし(人間味が無いと言われることもあるだろうが、しかしやはり彼らは逸脱できない立場だ)、そもそもそれ以前に彼らも人間であり市民であり(さらに被災者であったり)ということは忘れてはならないのではないかと思う。

 津波到達の直前まで防災無線で町民に避難を呼びかけ続けた後、行方不明になっていた宮城県南三陸町の女性職員の遺体が発見され、5月2日にようやく本人と確定されたそうだ・・・。
ご遺族の心中はいまだ複雑だろうなと思う、自分も同年代の娘を持つ親として。
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労働者への損害賠償請求について

2011-03-29 | 書記長社労士 労務管理
 仕事上で大きなミスをしたんだが、その損害を会社から「損害賠償請求」されたらどうしようという相談があった。
 民法第715条の「使用者等の責任」をみると1項では「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」されているので、使用者責任だとされているけど、ただし書きでは「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」と免責についても記載されている。さらに第3項では、「使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。」ともされている。でも、
① 会社は危険のある仕事に従業員を従事させて、利益を上げているのに、損害の方はすべて従業員に転嫁出来るというのはおかしいのではないか。
② 会社は保険制度の活用などによって、企業活動から生じる危険を分散出来るが、従業員はその様な立場にないではないか。
③ 会社は従業員の労働条件を支配出来る立場にあるが、従業員はその様なことが出来る立場にはなく、危険を回避することが難しいではないか。
などの理由から、会社は、従業員の業務遂行から発生した損害全部を、常に従業員に対し最終的な分担を請求することは出来ないのではないかという考え方がある。

使用者が、その事業の執行につきなされた被用者の加害行為により、直接損害を被り、又は使用者としての損害賠償責任を負担したことに基づき損害を被った場合には、使用者は、その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができるものと解される(茨城石炭商事事件 最高裁昭和51年7月8日判決)

 分かり難いので、大雑把に言ってしまえば次のように考えればいいと思う。
○ 従業員がその仕事をおこなう際に、通常求められている注意義務を尽くしている場合には、そもそも損害賠償責任は生じない。
○ 従業員の些細な不注意により損害が発生したとしても、そのような損害の発生が日常的に一定の確率で発生するような性質のものである場合にも、やはり損害賠償を求めることができないだろう。
○ 中度の過失(軽度の過失を超えている場合)では、一定程度の損害賠償の分担責任が生じる。
○ 従業員に重大な過失や故意であった場合には、相当程度の損害賠償を請求出来る。

 実際問題、個々の従業員に損害を担保出来るというような資力がないことも多いし、身元保証人にその損害を請求するというのも実はかなりハードルが高い。会社としては、従業員が加害行為に至ることを防止する配慮が必要であので、まずは、安全対策や社員教育、リスクの分散を考えるべきだろう。ちなみに自分に相談してきた人の場合は、2つめではないかなと思うので、損害賠償する必要はないケースやね~(= ̄∇ ̄=) ニィ
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特別支給の老齢厚生年金の長期加入特例

2011-02-28 | 書記長社労士 労務管理
 先日、高知でいつも行っている居酒屋なかひらにて、「まっことうまいがで~」とマスターが酒粕を大量にくれたので、昨夜は酒粕鍋にした~。酒粕鍋は、酒粕の質で味が決まるというのをしみじみ感じた、むちゃくちゃ美味かった~!

厚生年金保険法附則第9条の3  附則第8条の規定による老齢厚生年金の受給権者が、その権利を取得した当時、被保険者でなく、かつ、その者の被保険者期間が44年以上であるとき(次条第1項の規定が適用される場合を除く。)は、当該老齢厚生年金の額は、第43条第1項の規定にかかわらず、前条第2項の規定の例により計算する。
 これって、特別支給の老齢厚生年金の長期加入特例の条文。老齢に関する年金は、老齢基礎年金、老齢厚生年金とも原則65歳からの支給になっているが、以前60歳からの支給であった頃の経過措置として60歳から支給される特別支給の老齢厚生年金という制度があり、特別支給の老齢厚生年金は、男性は昭和36年4月1日まで、女性は昭和41年4月1日までに生まれた人に支給される。しかし、昭和16年(女性は昭和21年)4月2日以後に生まれたひとは、60歳から65歳になるまでの間、生年月日に応じて、支給開始年齢が引き上げられており、現在は定額部分の支給開始年齢が2年ごとに1歳ずつ引き上げられ、まずは昭和24年(女性は昭和29年)4月2日以降生まれの人には特別支給の老齢厚生年金の定額部分(1階部分)は支給されなくなる。次に、昭和28年(女性は昭和33年)4月2日以後に生まれたひとは、2階部分の報酬比例部分の支給開始年齢も2年ごとに1歳ずつ引き上げられ、最終的に昭和36年(女性は昭和41年)4月2日以後に生まれたひとには、特別支給の老齢厚生年金という制度は無くなってしまう。

 しかし、厚生年金に44年以上の長期間加入をした人には特例があって(「長い間ご苦労様でした」という意味かどうかは知らないけど)、特別支給の老齢厚生年金が支給される時に厚生年金の被保険者で無ければ(健康保険が、国民保険の被保険者、任意継続被保険者、家族の被扶養者になっている状態だ)、定額部分、報酬比例、さらに要件を満たせば加給年金額までの、満額の年金が支給される。この「長期加入の特例」は、少し前までは、「中学を卒業して働きだした人」(いわゆる「金の卵」だ)とか、高校中退して働きだした人だけを考えおけば良かったのだけど、昨年から高卒の人もその対象になるようになってきていて、本来64歳からしか貰えない定額部分が63歳から満額貰えるケースが発生している(昭和22年度生まれの人が昭和41年度に就職してずーっと厚生年金に加入していると2010年に44年加入となる)。対象者が大幅に拡大しているのだ。
 この特例は、さっきも書いたように、厚生年金の被保険者であると使えない制度であるので、フルタイムで働いているといくら44年以上の長期加入にせっかく該当しても、満額の特別支給の老齢厚生年金は受け取ることが出来ず、それまでと同様に、部分年金のみの支給となる。さらに当然ながら、65歳未満の在職老齢年金による減額ももちろんあるので、フルタイムで働き続けることと、退職してパートタイムで働いてこの制度が使うのとでは、受け取ることが出来る年金額には、大幅な差が出ることになる。「せっかく年金が満額貰えるのなら、63歳以降、退職をしたい」という人も増えるだろうし、「無理に高齢者をフルタイムで雇用してやらなくてもいいやん」ってなこともある。「高度の熟練技能者か、そうでないか」などの観点で、高齢者の働き方について、再考する時期かもしれない。
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当事者意識なんだ!

2010-11-19 | 書記長社労士 労務管理
 今日は、とある弁護士さんを囲んでの勉強会の、なんと11月中旬にして、今年最速の忘年会だった!この勉強会の内容は、とてつもなくハイレベルで、中身が濃い。いろいろな社労士が主宰する勉強会には行った経験はあるけど、これほどまでにためになる、自分の意識を含めてスキルアップできる勉強会は、ほんとうに無いと認識している。

 にも関わらず、自分の出席率が、芳しくない。「ごめんなさい、今日は(次回は)どうしても行けません」という連絡をする。その時にいつも考えるのが、「当事者意識」だ。たとえば自分が、この勉強会の講師であったらとか、自分がこの勉強会の事務方で自分が会場に当日手続きしなくては会場が使えなかったとしたらとか、自分がやる気をなくしたらこの勉強会が迷走するとしたらとか、だと、欠席できるわけがない。

 「当事者意識」。組織の問題を、自らの問題として捉え、自律的かつ本気で知恵を出し、問題発見や問題解決に向けて本気で行動しようとする意識だ。単純化すると、当事者意識があれば、「言われなくても考え動ける」ので「本気になって考え行動する」に繋がる。そもそも組織を構成する一員にもかかわらず、他人事のように考えたり、評論家的な立場になっていたり、もっと困るのは視聴者みたいな立場にまで堕ちてしまったり、そんな人は組織としてはほんとに困った存在だ。このことをきちんと考えたときに・・・・ほんとにほんとにごめんなさい!m(。≧Д≦。)m!!
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退職時の年休消化

2010-11-07 | 書記長社労士 労務管理
 今日も仕事だから海には行ってない、立冬らしいけど暖かいよ、大阪は。で、友人から相談があったから、参考までにここに書いておこう。
 
会社「経営が厳しいのでパートの皆さんには12月10日付けで退職していただきます」
わたし「え~!ガ━━━(||゜ω゜||)━━━ン」
会社「ちゃんと会社都合の退職にしてあげますから、ハローワークでは有利に扱われますよ、優しいでしょ」
わたし「じゃあ年次有給休暇が11日残っているので、退職の日までに使い切ってしまいますね(゜ε゜;)」
会社「なに言っているんですか、今会社は大変な状況やし、そもそも有給は当たり前に取るものじゃないのですよ」

◆年休は請求して使用者の承認を得なければ取得できないか◆
 労基法第39条第1項第2項の要件が充足されたときは、労働者は法律上当然に年休の権利を取得し、使用者はこれを与える義務を負う。労働者の請求をまってはじめて生ずるものではない。 3項の「請求」は休暇の時季にのみかかる文言であって、すなわち、いつ『休暇を』とるかの意味にほかならない。労働者が休暇の始期と終期を特定して時季指定(注:請求したときってことですね)したときは、使用者が適法な時季変更権を行使しないかぎり、年休が成立し当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。年休の成立要件として、労働者による「休暇の請求」や、これに対する使用者の「承認」の観念を容れる余地はないものといわなければならない。(白石営林署事件 最高裁小判昭48・3・2)

□年次有給休暇に関する最高裁の判決に関して(昭和48年3月6日 基発第110号)□
 昭和48年3月2日、労働基準法第39条の解釈について、最高裁第ニ小法廷判決がなされたので、今後における同条の解釈運用は下記によって行なうので、遺憾のないようにされたい。
(1)年次有給休暇の権利は、 法定要件を充たした場合法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまってはじめて生ずるものではない。同上第4項の「請求」とは休暇の時季を指定するという趣旨であって、労働者が時季の指定をしたときは、客観的に同項ただし書所定の事由が存在し、かつ、これを理由として使用者が時季変更権の行使をしない限り、その指定によって年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。このように解するならば、年次有給休暇の成立要件として、労働者による「休暇の請求」や、これに対する使用者の「承認」というような観念を容れる余地はない。【以下略】


わたし「ほら、会社の許可は要らないんですよ、私が年次有給休暇を取りたいって言えば、会社はとやかく言えないのですよ!ヽo(=´∇`=)oノ」
会社「o( ̄ー ̄;)ゞううむ・・・あっそうだ、『事業の正常な運営を妨げる場合』に会社は年次有給休暇を認めないことが出来るのですよ、ちょうど会社の引っ越しの時で超大忙しのときだから認めません。次に暇になるのは年が明けてからだからね~」

◆退職・解雇・事業場閉鎖時に残った年次有給休暇はどうなるか◆
 年次有給休暇の権利は、労働関係の存続を前提したものである。従って、退職や解雇、事業場の閉鎖の場合、その日(退職日、解雇効力発生日、閉鎖日)までに年休の権利行使をしない限り、残余の休暇の権利は当然に消滅する。


わたし「それじゃあ、年次有給休暇を取れないじゃないですか~どうっしてくれるんですか~(´Д`|||) ドヨーン」
会社「ふっふっふ、これを『時季変更権」というのだ~凸(`△´#)凸キル ユゥゥゥ!」

◆退職時の時季変更権 ◆
 解雇予定日が20日後である労働者が20日の年休権を有している場合、労働者がその年休取得を申し出たとき、「当該20日間の年次有給休暇の権利が労働基準法に基づくものである限り、当該労働者の解雇予定日をこえての時季変更は行えない。」(昭和49.1.11基収第5554号)


わたし「だそうですよ!時季変更が出来ない場合は、会社は時季変更権は使えないのですよ!だから明日から退職の日までの範囲内で、時季変更をして全部の年次有給休暇を使い切れるようにしてください!それとも退職日を暇になる来年に変更してくれますか!プー!(*≧m≦)=3」
会社「そっそれは無理です、会社はやばいのです!かといって休まれると困るからなあ…」
わたし「それなら休まずに働くとして、そのせいで消滅してしまう年次有給休暇に対して本来払うはずだった手当を、退職金として払ってくれるのなら、休みませんよ~キラッ ( = ̄+∇ ̄=)v イエーイ」
会社「うるさ~~~い!そんなごちゃごちゃ言う奴は辞めちまえ!((~d=(`ヘ・)=b~))」
わたし「だから、その辞めるときの条件の話をしてるんやんか・・・しゃあないなあ、労働基準監督署にでも相談に言ってきますわ・・・ヾ(=^▽^=)ノバイバァイ」
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仕事できる人ほど、休み方が上手い

2010-10-17 | 書記長社労士 労務管理
労働基準法第39条【年次有給休暇】 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

 これはけっして都市伝説ではありません。パートだろうが、アルバイトだろうが、契約社員だろうが、嘱託社員だろうが、派遣社員だろうが、とにかくどんな働き方でも、6か月継続して働いたら、年次有給休暇(いわゆる「ゆうきゅう」)は、経営者は与えなくてはならない。例外はない!(「うちの会社にはそんなものは無い!」と言い切る経営者もいるようだが、それは嘘、ほんまに例外はないのだ!)

10年の年休取得率は47.1% 0.3ポイント減(共同通信) - goo ニュース
 厚労省が14日発表した10年の就労条件総合調査によると、昨年1年間の年次有給休暇(年休)の取得率は47.11%で、前年より0.3ポイント減った。07年は46.7%、08年は47.4%。取得が進まなかった背景について厚労省は「景気悪化で製造業を中心に人員が削減され、労働者への仕事の負担が高まり、休みを取りにくかった面もあるのでは」と分析。

 「有給休暇を取ることをためらう傾向が続いている。」という分析や、朝日新聞では『日本の場合、祝日などが欧州各国より年間4~7日多い。厚労省の担当者は、「祝日の多さも取得率伸び悩みの要因の一つになっている」と分析する』などというようなのがあった。でもそうではなくて、やっぱりそもそもはまだまだ日本は「休むことは悪」的な風潮が根強いと思う。一代で会社を盛り立てた経営者ほど寝食を惜しんで強烈に働いたので、その想いが強くて、中小企業はその傾向が強いと感じる。

 「仕事できる人ほど、休み方が上手い」、これは自分の絶対的な持論。単に休むということではなくて、物事の切り替えや集中力や、要領や段取り、人の使い方・人からの使われ方、知識や能力の引き出しも多く、結果的に全ての要素においての時間配分が巧みなのだろう。本人が上手いと言うことでなく、秘書や事務方が巧みで、その当人が素晴らしい時間の有効活用をされているような人もいる、自分の能力でなくてもいいのだ。でも、やはりけっきょくは「仕事できる人ほど、休み方が上手い」ということになるのだ。

 今月初め、自分の役職が6年ぶりに代わったが、この2か月、自分の休みが(当社比で)皆無のようだ(笑)これじゃあ、俺の性能は、確実に劣化します・・・ε-(;ーωーA フゥ…ッテコレガイイタイタメノキジダッタノカ・・・
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服務規律違反で懲戒処分出来る?

2010-07-30 | 書記長社労士 労務管理
 うちのマンションには洗車場が無く、自分の車にはルーフボックスを付けているから洗車機を通れず、そして近所にカーピカランドもないので、綺麗好きな自分にもかかわらず(そこのきみっ突っ込まない!)、だから車はいっつも泥んこだ。
で、よくやる手は、雨の中でカーシャンプーを使って洗車をして、そのまま放置しておいて雨水で自然にすすいで貰う作戦、かなりエコロジーです。(←単なる横着者とも呼ばれているが)
昨夜も雨が降っていたのでその作戦をやろうと車を泡だらけにしていたら、いきなり雨がやんでしまったΣΣ┏(_□_:)┓iii
夜中にもう一度雨降ることを祈っていたけど、どうも雨は降らなかったようだ、朝、車を見たら、泡が流れきれなかったためにボディは残った洗剤で真っ白けだった・・・水拭きしなくては・・・二度手間や。

 さてさて、知り合いから、「懲戒規定を就業規則に定めていないが、明らかに『服務規律』に違反しているものを懲戒処分に出来るか?」という質問をされた。
労働基準法第89条で、常時10人以上の労働者を使用する使用者に対して、就業規則を作成してこれを所轄の労働基準監督署に届け出ることを義務付けている。
さらに同条の9号では、「制裁の定めをする場合には、その種類および程度に関する事項」を定める必要があると規定している。
そのため、裁判所などの立場では、就業規則あるいは労働協約などに懲戒に関する具体的な定めがない場合には、使用者は懲戒処分が出来ないと解釈されているようだ。
ただし解雇の場合は少し解釈が違い、規定がないにもかかわらずなされた懲戒解雇は無効であるとはするのだが、労働基準法第20条の「労働者の責めに帰すべき事由」に基づく即時解雇として解し得る場合には普通解雇としては有効であるという判例はある。

 では、懲戒規定の定めはあるが、その規定された懲戒事由に直接該当はしないが、就業規則に定められた「服務規律」に違反したときの懲戒は有効かどうか。
この場合には、そもそもの服務規律自体が合理性を有しているかどうか、その規律違反と懲戒内容の程度が相当性を有しているかどうか、この点をクリアーしていれば懲戒処分は有効だとされているようだ。(参考判例→神奈川中央交通減給事件【東京高判平7.7.27-原判決横浜地判平6.9.27-】)
ようはバランスが重要だということなようだ。
神奈中交通の事件では、制帽が問題になったのだけど、今ではもの凄く一般的になったクールビズの服装、そういえばときどき「いくらなんでもそれは・・・!」とか、「あまりにも似合わな過ぎ!」とか、「げっ!醜いっ!」などなど、、著しく風紀を乱しているようなのがいるけど、これって服務規律違反とかにはなんないかなあ・・・( ̄ω ̄;)エートォ...
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