最近なぜか職場でカビパラと呼ばれている書記長社労士です、こんにちは。
運転士の遺族が労災申請進める 尼崎JR脱線事故(共同通信) - goo ニュース
05年4月の尼崎JR脱線事故で死亡した高見隆二郎運転士=当時(23)=の遺族が、天満労働基準監督署(大阪市)に労災認定を申請する手続きを進めていたことが14日、関係者への取材で分かった。労災の請求時効は5年で、今年4月が期限。同労基署は「申請があったかどうかは個人情報なので言えない」としているが、労災が認められれば遺族給付が支給される。
労働者災害補償保険法には、労働者の故意や故意の犯罪行為・重過失の事故に関して「給付制限」を規定している。
第12条の2の2 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となつた事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。
2 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
このJR脱線事故の運転士には、鉄道運転士としては「重過失」があったと思われるけど労働者としては過失があったのかなかったのか、もし労働者として重過失があったとされたなら(そうは思わないが)、労災保険法第12条の2の2の第2項に該当すると思うのだけど、この項により支給制限されるのは、「休業補償給付・休業給付、傷病補償年金・傷病年金、障害補償給付・障害給付なので、遺族が請求している「遺族補償年金」には支給制限が掛からない。
だからこの尼崎JR脱線事故の遺族には、当然に遺族補償年金の支給は認定されるだろう。
で、この遺族補償年金に関して、次に問題になるのは、労災保険法第31条で規定されている「特別の費用徴収」がどうなるのかなということ。
これは、当該労働災害の事故が、労働者に無関係であり事業主に責任があるような場合には、労働者自身の保険給付を制限するわけにいかないので、事故の責任の根本原因である事業主から特別の費用徴収(この「特別」というのは通常の保険料徴収に対しての特別)をおこなうための規定。
第31条 政府は、次の各号のいずれかに該当する事故について保険給付を行つたときは、厚生労働省令で定めるところにより、【中略】その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。
【1.2は略】3.事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故
もしこの「特別の費用徴収」の3に該当するとされると、保険給付の額に相当する額の30%に相当する額が、事業主であるJR西日本から徴収されることになる。(上限額はある、「労基法79条で定める価額の限度で」)
しかしどうして時効ギリギリに迫っての申請になったのだろう。
遺族の方々が申請を固辞されていたのか?
それとも逡巡されていたのだろうか?
もしかしたら、JR西日本がこの「特別の費用徴収」を支払うのが嫌で、申請を妨害していたのだろうか?(←ってのは考えすぎ?)
【ここから追記】 今日は社労士受験仲間たち「Team Daiei」の飲み会がちょうどあって、この記事についていろいろと教えていただいたので、一部記事を改訂した。
そしてコンメンタールを示していただいて意見をいただいた。
31条の3について
「事業主(事業主に代わって危害防止に関する事項を管理する責任を有する者を含む)が、次のⅠ、Ⅱ、Ⅲの一に該当する場合に生じた事故である。」
Ⅰ 法令に危害防止のための直接的かつ具体的な措置が規定されている場合に、事業主が当該規定に明白に違反したため、事故を発生させたと認められるとき。
Ⅱ 法令に危害防止のための直接的措置が規定されているが、その規定する措置が具体性に欠けている場合に、事業主が監督行政より具体的措置について指示を受け、その措置を講ずることを怠ったために事故を発生させたと認められたとき。
Ⅲ 法令に危害防止のための措置が規定されていないが、事故発生の危険が明白かつ急迫であるため、事業主が監督行政より直接的かつ具体的な措置について指示を受け、その措置にを講ずることを怠ったために事故が発生させたと認められるとき。
「法令に」、この法令はどの範囲までを含まれるのだろうか?
運転士の遺族が労災申請進める 尼崎JR脱線事故(共同通信) - goo ニュース
05年4月の尼崎JR脱線事故で死亡した高見隆二郎運転士=当時(23)=の遺族が、天満労働基準監督署(大阪市)に労災認定を申請する手続きを進めていたことが14日、関係者への取材で分かった。労災の請求時効は5年で、今年4月が期限。同労基署は「申請があったかどうかは個人情報なので言えない」としているが、労災が認められれば遺族給付が支給される。
労働者災害補償保険法には、労働者の故意や故意の犯罪行為・重過失の事故に関して「給付制限」を規定している。
第12条の2の2 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となつた事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。
2 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
このJR脱線事故の運転士には、鉄道運転士としては「重過失」があったと思われるけど労働者としては過失があったのかなかったのか、もし労働者として重過失があったとされたなら(そうは思わないが)、労災保険法第12条の2の2の第2項に該当すると思うのだけど、この項により支給制限されるのは、「休業補償給付・休業給付、傷病補償年金・傷病年金、障害補償給付・障害給付なので、遺族が請求している「遺族補償年金」には支給制限が掛からない。
だからこの尼崎JR脱線事故の遺族には、当然に遺族補償年金の支給は認定されるだろう。
で、この遺族補償年金に関して、次に問題になるのは、労災保険法第31条で規定されている「特別の費用徴収」がどうなるのかなということ。
これは、当該労働災害の事故が、労働者に無関係であり事業主に責任があるような場合には、労働者自身の保険給付を制限するわけにいかないので、事故の責任の根本原因である事業主から特別の費用徴収(この「特別」というのは通常の保険料徴収に対しての特別)をおこなうための規定。
第31条 政府は、次の各号のいずれかに該当する事故について保険給付を行つたときは、厚生労働省令で定めるところにより、【中略】その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。
【1.2は略】3.事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故
もしこの「特別の費用徴収」の3に該当するとされると、保険給付の額に相当する額の30%に相当する額が、事業主であるJR西日本から徴収されることになる。(上限額はある、「労基法79条で定める価額の限度で」)
しかしどうして時効ギリギリに迫っての申請になったのだろう。
遺族の方々が申請を固辞されていたのか?
それとも逡巡されていたのだろうか?
もしかしたら、JR西日本がこの「特別の費用徴収」を支払うのが嫌で、申請を妨害していたのだろうか?(←ってのは考えすぎ?)
【ここから追記】 今日は社労士受験仲間たち「Team Daiei」の飲み会がちょうどあって、この記事についていろいろと教えていただいたので、一部記事を改訂した。
そしてコンメンタールを示していただいて意見をいただいた。
31条の3について
「事業主(事業主に代わって危害防止に関する事項を管理する責任を有する者を含む)が、次のⅠ、Ⅱ、Ⅲの一に該当する場合に生じた事故である。」
Ⅰ 法令に危害防止のための直接的かつ具体的な措置が規定されている場合に、事業主が当該規定に明白に違反したため、事故を発生させたと認められるとき。
Ⅱ 法令に危害防止のための直接的措置が規定されているが、その規定する措置が具体性に欠けている場合に、事業主が監督行政より具体的措置について指示を受け、その措置を講ずることを怠ったために事故を発生させたと認められたとき。
Ⅲ 法令に危害防止のための措置が規定されていないが、事故発生の危険が明白かつ急迫であるため、事業主が監督行政より直接的かつ具体的な措置について指示を受け、その措置にを講ずることを怠ったために事故が発生させたと認められるとき。
「法令に」、この法令はどの範囲までを含まれるのだろうか?