ひろきち劇場NEO

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ふたたび一票の格差について

2009年09月06日 | ◆日記とか
一票の格差問題について、なぜか気になってしょうがないのでもう少し調べてみた。(たぶんブログ記事に書いてしまったので、よく分からない状態で放置するのが気持ち悪いんだと思います)

一票の格差は一票の重みの不平等ともいわれているそうで、この格差あるいは不平等が「法の下の平等」に反しているといわれているのだそうです。この「法の下の平等」というのが例の憲法第14条でに規定されているわけです。ここでちょっと混乱したのですが、

「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

の「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により」というのは限定列挙ではなく例示的列挙なのだそうです。つまり、書かれていなくても地理的条件によって不平等が生まれるのは憲法違反と考えられるわけです。

また、書かれている内容だけ見るとピンと来ないのですが、この憲法第14条というのは平等則とも呼ばれ、「国民1人1人が国家との法的権利・義務の関係において等しく扱われなければならないという憲法上の原則」を規定しているということです。なので原則的には少しでも格差が生ずればそれを是正しない限り憲法の平等則に抵触するわけです。

とは言っても格差を全く無くすことは無理なので、「合理的な範囲を超えた格差が生じた場合に」「合理的な期間内に是正されなければならない」ということになっている。で、この「合理的な範囲」についてこれまで衆院選では3倍以上、参院選では6倍以上の格差が生じた場合に「違憲」とする判決がこれまでに出されている。

と、ようやくこの問題の背景が理解できました。そこで改めて今回の国民審査で話題になった裁判官とその判決について考えます。朝日新聞の広告に「一票の格差を合憲とした裁判官2名を罷免しよう」と問題にされている裁判はおそらく2007年の裁判のことで、2.71倍の格差を合憲と判断した裁判官に対する罷免要求です。判例を見ると衆院選では3倍以上で違憲なので今回の2.71倍を合憲とするのは判例がある程度拘束力を持つ以上それほどおかしな判決ではないように思う。また、衆議院は選挙区画定審議会を設置し格差が2倍以上にならないことを目標にしているが、達成されていないことを考慮すると3倍以上で違憲とするのが合理的だとも思う。

しかし、諸外国の格差を見ると2倍以下に抑えている例がたくさんあり、日本でこれが達成できないのは合理的な範囲を超えているからではなく、単なる努力不足とも取れる。憲法の主旨から考えると、達成できるかできないかは別として、たとえば1.4倍(アメリカ同等)より格差が大きくなれば「違憲」として是正措置をとるのが正しいのではないでしょうか。イタリアのようなアバウトな国でも1.22倍程度なのでやればできないことはないはず(アバウトだから是正しやすいということもあるのかもしれませんが)。

2.71倍を合憲とした裁判官が憲法の番人として不適切かどうかはちょっとどちらとも言い切れないのですが、やっぱり2倍以上も格差があると憲法の主旨に沿っているとは言いがたいと思うし、速やかに是正されるべきだと思います。

しかし、あの朝日新聞の広告ももうちょっとちゃんと書かないとだめですよね。


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