ひろきち劇場NEO

ソフトウェア開発から写真、旅行、ダイビングまで寄せ鍋風にお届けするブログ。ええダシが出てる・・・かな

「雅楽型」のプロジェクト

2009年01月15日 | ◆仕事
「PMのためのヒューマンスキル」研修のレポートが滞っているのですが、テキストを友達に貸してしまったのでもうしばらく更新できません。代わりと言っては何ですが、その時の講師がPM学会のカンファレンスで発表すると言っていた論文からちょっとネタを拝借して書いてみます。

論文のタイトルは"Gagaku (Japanese traditional court music) type Project team building vs Orchestra type Project team building"。日本の雅楽とオーケストラを比較しながら「雅楽型」プロジェクトの有効性について考察していくというものです。

雅楽ではオーケストラにおける指揮者のようなリーダーがいなくてもそれぞれの奏者はちゃんと他の奏者と調和しながら演奏することができます。ここからヒントを得て、一人のマネージャが強力にメンバーを引っ張って行く「オーケストラ型」ではなく、一人一人りが全体における自分の役割を常に理解しながら進める「雅楽型」のプロジェクトチームというのが、今後のプロジェクト管理手法として有効なのではないか、という提案をしているわけです。「雅楽型」ではそれぞれの役割の隙間に生じる「グレーゾーン」を適切な人が埋めるという協力体制を築くことが可能になるので、問題を現場レベルで解決することができる。そしてリーダーは「指揮者」ではなく、あくまでチームの一員として役割を果たす、とこういう訳です。

この論文の中にひとつ面白いトリビアがありました。それは「打ち合わせ」という言葉についてなのですが、もともと雅楽の言葉でリズム合わせのことだったそうです。インターネットで調べてみると、雅楽では管楽器、弦楽器、打楽器などの楽器が使われるのですが、それらのリズムを合わせるために「打ち合わせ」を行っていたということでした。これが転じて「物事が上手く合うようにする」という意味になり、さらに転じて現在使われているような意味になったということです。へえ~。どうやら現在の日本の組織はそもそも「雅楽型」がそのベースになっているようですね。

ソフトウェア業界ではすでに一人のリーダーが開発全体を引っ張っていくスタイルは破綻をきたしているので、「雅楽型」を新しいプロジェクトマネジメント手法として導入していくのは意義ある取り組みかもしれません。でも外国人にも同じことが出来るかと言うとかなり疑問ですね。「雅楽型」で重要になるのはあくまでも「全体の中の個人」であり、いってみれば「頑丈な歯車」です。個人の能力はあくまでも組織のために発揮されるべきで、各メンバーの調和が大事なのです。日本人は幼稚園児の頃からこういった組織内でどう振舞うべきかを叩き込まれているので、組織の一構成員として振舞うのは割りと得意です。でも個人が尊重され、「規律」や「協調性」、「調和」といったことを徹底的に叩き込まれていない外国人はどうでしょうねえ。ふだん外国人と一緒に仕事をしていて、やつらに出来るとはちょっと思えませんねえ。

逆に日本の組織では個人を殺し過ぎることで弊害も発生していると思います。付き合い残業とか、もたれあいとかもそうですが、これからの「雅楽型」においてはそういった非合理な習慣を改善していくことも重要だと思います。



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