特別基調講演の後に行われたパネルセッション「組込み開発で「要求」は誰の手中にあるのか?」も聴講した。
こちらはパネルディスカッション形式で「組込み開発における要求って、一体ナニモノなのか」についてパネラーたちが思いを語るもの。パメラーの発言メモをそのまま書いても意味不明と思うので、面白いなと思ったものをピックアップします。
なお、講演者側は以下の通り。
モデレータ:前川 直也 氏(松下電器産業株式会社)
パネリスト:穴田 啓樹 氏(キャッツ株式会社)
加藤 彰 氏(株式会社日本総合研究所)
萩本 順三 氏(株式会社豆蔵)
濱崎 治 氏(オムロン株式会社)
米光 一成 氏(立命館大学)
■HowからWhatを創出する
What(目標にする商品や機能)を達成するためにHow(技術や方法)を考えるだけではなく、HowからWhatを作るプロセスも大事。言い換えればSeedsからNeedsを作るということ。このWhatからHow、HowからWhatの両方をうまくチューニングできているところが成功しているのではないか。
■ビジネスと開発の統合
ビジネスと開発を分けて考えていることが多いが本当はこれらを合わせて考えることが重要。Howの人(技術)の人にWhat(経営/戦略)を見せる、あるいはWhatの人にHowを見せるということ。両者がお互いを意識し合いながらそれぞれを追求する。でも実際はHowオタクの人がHowの領域を動かしてたりするんだよね・・・Whatなんか知らん!というような人が。
■カリスマ監督がいない
演劇の世界ではカリスマ監督がいなくなったため、舞台監督が役者をぐいぐい引っ張って行くスタイルから役者が舞台を作り上げて行くスタイルに変わった。今の舞台監督の役割は「どうやって役者の力を最大限引き出すか」になっている。「Yes-And」という言葉があって、役者から「こうしたい」という提案があったとき「わかった。ではこの場合はどうすればいい?」といったん受け入れたうえで問題点を投げかけるというやり方が行われている。
■ゲームは少数開発
PS3のような大規模なゲームソフトであっても今は6人から8にんで開発が行われているのが普通。むかしは大人数で分担してやっていて、兵隊の「足」だけをひたすら書く人とか「顔」ばかり書かされている人などがいた。どんどん大規模化するソフト開発のなかこのままでは無理だと気づいて少人数開発を始めたのが成功して、いまではゲーム業界では少人数開発が当たり前になっている。アジャイルを突き詰めた結果である。
■ファシリテーションの実践例
フロアの真ん中で部長会議:場を共有することで空気が変わる
狭い部屋でやる:発言数が変わる
---------------------------------------
<感想>
結局、主題である「組込み開発で「要求」は誰の手中にあるのか?」については「場」にあるのではないかという流れになった。顧客や市場、企画や経営陣が握っているわけではなく、開発がコントロールしているわけでもない。これら関係した人たちが「要求」について考える「場」にゆだねられる。何となく予想していたとおりの方向ではある。
興味深かったのは、上記2つ目に上げた「ビジネスと開発の統合」の話は特別基調講演で松下電器の櫛木氏が呼びかけた内容にシンクロしていたことだ。(この意見は株式会社豆蔵の萩本氏が発したものであり、松下電器の前川氏が誘導したものではない)やはり経営の視点で技術を考えるとこういう結論に達するということなのだろう。しかし「Howオタク」という言葉にもあるとおり、技術屋に経営を意識させるには戦略的な人材育成が不可欠であろう。経営の分かるエンジニアが自然出現するのを待つのは現実的な母数では期待できないのではないか。
なお、下の写真は加藤氏による「ファシリテーション・グラフィック」という手法で書き出された議事の内容。論点の整理を主眼においている点で単なる議事録とは異なる。
こちらはパネルディスカッション形式で「組込み開発における要求って、一体ナニモノなのか」についてパネラーたちが思いを語るもの。パメラーの発言メモをそのまま書いても意味不明と思うので、面白いなと思ったものをピックアップします。
なお、講演者側は以下の通り。
モデレータ:前川 直也 氏(松下電器産業株式会社)
パネリスト:穴田 啓樹 氏(キャッツ株式会社)
加藤 彰 氏(株式会社日本総合研究所)
萩本 順三 氏(株式会社豆蔵)
濱崎 治 氏(オムロン株式会社)
米光 一成 氏(立命館大学)
■HowからWhatを創出する
What(目標にする商品や機能)を達成するためにHow(技術や方法)を考えるだけではなく、HowからWhatを作るプロセスも大事。言い換えればSeedsからNeedsを作るということ。このWhatからHow、HowからWhatの両方をうまくチューニングできているところが成功しているのではないか。
■ビジネスと開発の統合
ビジネスと開発を分けて考えていることが多いが本当はこれらを合わせて考えることが重要。Howの人(技術)の人にWhat(経営/戦略)を見せる、あるいはWhatの人にHowを見せるということ。両者がお互いを意識し合いながらそれぞれを追求する。でも実際はHowオタクの人がHowの領域を動かしてたりするんだよね・・・Whatなんか知らん!というような人が。
■カリスマ監督がいない
演劇の世界ではカリスマ監督がいなくなったため、舞台監督が役者をぐいぐい引っ張って行くスタイルから役者が舞台を作り上げて行くスタイルに変わった。今の舞台監督の役割は「どうやって役者の力を最大限引き出すか」になっている。「Yes-And」という言葉があって、役者から「こうしたい」という提案があったとき「わかった。ではこの場合はどうすればいい?」といったん受け入れたうえで問題点を投げかけるというやり方が行われている。
■ゲームは少数開発
PS3のような大規模なゲームソフトであっても今は6人から8にんで開発が行われているのが普通。むかしは大人数で分担してやっていて、兵隊の「足」だけをひたすら書く人とか「顔」ばかり書かされている人などがいた。どんどん大規模化するソフト開発のなかこのままでは無理だと気づいて少人数開発を始めたのが成功して、いまではゲーム業界では少人数開発が当たり前になっている。アジャイルを突き詰めた結果である。
■ファシリテーションの実践例
フロアの真ん中で部長会議:場を共有することで空気が変わる
狭い部屋でやる:発言数が変わる
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<感想>
結局、主題である「組込み開発で「要求」は誰の手中にあるのか?」については「場」にあるのではないかという流れになった。顧客や市場、企画や経営陣が握っているわけではなく、開発がコントロールしているわけでもない。これら関係した人たちが「要求」について考える「場」にゆだねられる。何となく予想していたとおりの方向ではある。
興味深かったのは、上記2つ目に上げた「ビジネスと開発の統合」の話は特別基調講演で松下電器の櫛木氏が呼びかけた内容にシンクロしていたことだ。(この意見は株式会社豆蔵の萩本氏が発したものであり、松下電器の前川氏が誘導したものではない)やはり経営の視点で技術を考えるとこういう結論に達するということなのだろう。しかし「Howオタク」という言葉にもあるとおり、技術屋に経営を意識させるには戦略的な人材育成が不可欠であろう。経営の分かるエンジニアが自然出現するのを待つのは現実的な母数では期待できないのではないか。
なお、下の写真は加藤氏による「ファシリテーション・グラフィック」という手法で書き出された議事の内容。論点の整理を主眼においている点で単なる議事録とは異なる。