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かけ声について思うこと

2010-02-15 | ピロウズ
思いついたことだらだら書くのでたぶん大してまとまりもオチもない話になると思うので暇な人だけ読むといいと思うよ! あといろいろ的外れなことたくさん書いてること請け合いだよ!




さわおが大阪で客に切れた的な話をネットで見たときには、あーとうとうやっちゃったか、と思いました。最近変なかけ声増えてたもんね。さわおにも聞こえてただろうし変な雰囲気になることもときどきあった。私もライブにそぐわないかけ声嫌い。ぜんぜんピロウズに関係ない個人的なことを叫んだりウケ狙いのかけ声はほぼ100%面白くないから! 近くにそういう人がいたときはうんざりする。ネット上でも「ライブの空気を壊す独りよがりなかけ声はいかがなものか」と議論が交わされるのもすごく分かる。

ただそういうものを嫌う一方、「ライブってそんな窮屈なものでいいのか?」と思う自分もいる。

私がライブハウスに通い始めたころは、今よりずっと不健康な場所だった。ハコの天井付近はタバコの煙で白く煙っていたしフロアの後ろのほうにはビールの空き缶がごろごろしていて、その付近にはヤバそうな人が座り込んでて近寄りがたかった。女の子が一人でトイレに行っちゃダメ、なんてことも言われてた。その当時にはライブ中に、メンバーをからかうようなふざけた声かけなんてなかったと思う。そんなことしたら鋲つきのリストバンドでぶん殴られても文句言えない空気だった。

それがライブハウスとして正しいとは言えない。今じゃ禁煙なところばっかりだしもうそういう時代じゃないのも分かってる。そもそもライブ見るときお隣に来る人は、鋲つきリストバンドよりちゃんとしたOLさんとかのほうがずっといいと思う。それでも、ライブハウスという場所に行き始めたころに見ていた光景が、その言葉とともに刷り込まれてしまっているのも事実で、「変なかけ声はやめるべき」みたいな話に「なにを学級会みたいなことを」と反射的に思ってしまうのも自分にとっては事実。

なので、変なかけ声をうざい、嫌いと思う一方、たかがかけ声に否定意見が出るライブハウスなんてつまらないと思ってしまっていて、ピロウズのライブのそういう議論を聞くたびに、自分の中で折り合いの付かない話だなーとずっと引っかかっていたのでした。変なかけ声をする奴らを擁護なんてまったくしたくないのに、それを否定する意見にも賛同できなくて。

でもようやく分かった。さわおがキレたことにより、そういう「変なかけ声」をする人たちを「自由なライブハウスの一員」と認めたくない気持ちが明確になったのは、「そこには信念がないから」だということに。

正直チケット代払って会場に来ているからには、どんなかけ声をしようとどんなライブの楽しみ方をしようと自由だと思う。ライブハウスってそういう場所だし。もちろん法律や公序良俗に反しない限りね。それはルールだから。でも明文化されていないルールを押し付ける権利は誰にもないはず。ライブハウスの注意書きに「ダイブだめ」と書いてあったらそれはルールだから守ろう、という話になるけど、「メンバーが不機嫌になるかけ声やめよう」とはどこにも書かれていない。だからへんなかけ声する人がやったとしても今のところはスタッフにつまみ出されたりしていなくて、それは一応やることは自由だ。でも、ここからはピロウズというバンドのちょっと特殊な事情になるのかもしれないけど、山中さわおはがんばれとか言われるのが大嫌いという性格のフロントマンで、明文化されてはいないけど「がんばれー」なんて言ったらメンバーを不快にさせるし、それを知っているほかのファンも不快になる。だからふつうのファンはそんなこと言わない。愛するバンドのメンバーやファンをわざわざ不快にさせたくないから。

でも、あえてチケット代払って会場まで行って、メンバーを不快にさせる言葉をかけたい、という人がもしいたら、それを阻止することは出来ない。すごく変わった人だと思うけど、もしそういう目的の人がライブに来ていたとしてもそれは自由だと思う。

けどたぶん、ここ数年でメンバーやファンを不快にさせるようなかけ声をしている人はそこまでのポリシーを持ってやっているわけじゃないよね。そこがおそらく私にとって不快なのだろうと思った。どうしてもやりたいならやりゃいいよ。違法じゃないし。でもメンバーやファンを不快にさせてまでどうしてもやりたい! ってわけじゃないんだろう。ただ何も考えずに、目立ちたいから、メンバーにかまって欲しいから、そんな理由でやっているんだろうなという気がする。そんな動機でライブの雰囲気を損ねる行動を、私は許容出来ない。

対してメンバーには、さわおには明確に「信念」がある。おそらくさわおはそういった無邪気で愚かなかけ声にも、雰囲気を壊さないようずっと誠実に対応してきたのを知っている。時には聞こえないふりをしてなかったことにしたり、冗談ぽく返してたしなめたり、そんな光景を何度も見てきた。ピロウズの音楽を愛する気持ちでそのライブハウスに立っているなら、それを見て受け止めるべきことがあったはずなのに、ついには大阪で臨界点を超えることになってしまったというのはさわおにとっては悲しい出来事だったんだろうと想像出来る。常々「小さいハコが好き」と明言してるさわおは、いざとなったら今のファンの多くを捨ててでも、自分の理想のスペースでライブをやったっていいと思っているかもしれない。でもピロウズを愛する多くのファンをやっぱり愛してるんだろう。ずっと受け入られなかった過去に、欲しかった「理解者」となってくれている今のたくさんのファンを、数人のマナーのなってないやつのために不快にさせたり切り捨てたりをどうしてもしたくないんじゃないか。なんとか、そのマナーの悪いファンも含め、自分を愛してくれるファンを掬い取りたいと正直に、不器用に、苦しみながら対しているように見える。

「ライブハウスはそんな窮屈な場所だったか」という疑問は、もちろんメンバー本人だって分かっていないわけじゃないと思う。空気を読んでくれ、なんて、付和雷同的な言葉を本来は吐きたくないんじゃないかと邪推する。でもなんとか理解して欲しい、伝えたいという思いを、誠実にファンに訴えていることには気付くべきだと思う。少なくともピロウズの音楽に同調できる感覚を持ってライブに行っているのだったら。さわおはたぶん曲で全部伝えている。そもそもライブで客をしかりつけて、その場の空気を凍らせて、その後のライブでもずっと引きずって意識してしまうような行動をする必要は、本来まったくないはず。それはバンドにとって「損」でしかない。でもそれをあえて行ったその、損得ではなくやった行動を、私はすごくさわおというかピロウズらしいと思ってちょっと嬉しくなったんだけど。

何度も言うけどほんとにどんなかけ声であろうと、やりたければやればいい、禁止はされていない。でもそれをやりたいという明確な意思もないまま無造作にやられることが不快。どうせ迷惑をかけられるなら、信念を持った相手に迷惑をかけられたい。だったらその信念に免じて「意見のあわない人」として認識できるから。信念を持ってライブの空気を作り上げようとしているメンバー、およびファンに迷惑をかけるときは、「迷惑をかける」と自覚して、覚悟の上でやって欲しい。

ここではかけ声、という単語でひとくくりにしたけど、大阪で対象となったのは口笛だか指笛だかをやめなかった人らしいですね。まあそういうのも含めて、「空気読めないかけ声」と同種として語りました。

それにしてもさわおはめんどくさい人だな、そこが好きなんだけど。自分の音楽、ライブ、ステージ、ファンに対してめんどくさいほどに潔癖で誠実なんだと思う。だから余計にピロウズのライブに来て変な目立ち方をしたい人が理解不能にもなるんだろう。おそらく完全にこの問題が解決される日は来ない。でも言っちゃうんだな、分かっててキレちゃうんだろう。この大人げなさがもうたまらん。40過ぎても山中さわおは変わってない。なんかそれがすごく嬉しい。

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