子ども時代、夏休みが後何日と、片手で数えられるようになると、大事なものが減ってしまって、残りが少なくなったような、寂しい気持になったものである。そんなわびしく寂しい気持の中にあっても、やらなければならない宿題を前にすると、8月29日は、まだあと三日もあると大きく構えていた。三日間の余裕は、まだ手をつけない理由になったのである。
30日になって、いよいよ手をつけることになると、大きく悩ましい課題は“夏休み絵日記”の製造である。今となっては、毎年どのように間に合わせたのかは、さっぱり忘れ去っており、まるで思い浮かばない。そんな中で、はっきり覚えているのは、ひまわりの花と、朝顔の花が必ず登場していたことである。何とかの“二つ覚え”であった。