よく散歩する杉林の手前、割と日当たりのいい斜面でツリガネニンジンが咲いていた。カメラを構えていると、「オウ、何か咲いているかい?」と近くの家の主人が覘きに来た。「今年は草刈を一寸手抜きしてな、いつもよりいろいろ草が茂っているよ」といささか気がひけているようである。出来るだけ自然のままに近い方がありがたい身としては、めったに見られない種類の花を目の当たりにして大変嬉しい、と最大限の賛辞を呈上して、お礼の言葉とした。数十年来の顔なじみの方であるが、普段はなかなか言葉を交わす機会もない。久しぶりに、カメラの効用を思い出した一件であった。