

今月の集まりに向かう時、珍しく開始時間ちょうどくらいの電車に乗れた。
目的地の山門に近いのは先頭車両だ。
呼ばれて下を見たら仲間が座っていて、次の駅で空いたので隣に座った。
向かいのドアの横には別の仲間が立っている。
気がつかないね、と私たちが話していても、ドア横の彼女は空になったコーヒーのカップを手に本を読む横顔を見せている。
時折視線を外に向けて、一心にという感じでもなかったけれど、きっとその世界にひたっていたんだろう。
駅を降りる時に言葉を交わしたけれど、まだ少しどこか別のところにいるようだった。
後で彼女の投稿を見かけて、その哲学者の本を読み新しい学を立ち上げる決意を強くしたとあった。
もしかしたら誰にも気がつかれず電車に揺れながら未来が固まるその瞬間を、私は外から見ていたのかもしれない。
著者との対談が決まったとのこと。
きっと沢山の人を救うことになるその道のりに、困難より大きな祝福と多くの追い風がありますよう。

出張先の海辺の街でチェックイン。
私的にはとんでもないことが発覚した。
10分もいることができない地下の行燈部屋が今日から二日間の宿だという。よく見たらウェブサイトにも訳あり部屋とある、そういうことは相談してくれないと。
担当者に渾身のクレームメールを書いたんだけど、どうしようもないらしくすっごいピンチは変わらなかった。
もう一度部屋に入って自分を騙そうと挑戦したけど、無理。
いられない、ましてや泊まれない。
帰宅したら朝間に合わない、周辺に宿はない。
泣きそうになってたら男気溢れる船長が代わってあげるよ、と言ってくれた。
自分は大丈夫、船に窓はないしね、と。
船長は小山みたいに大きくて、ハートもおっきくて、でも目はかわいく優しい。
昔は水泳選手だったし、SPだったから「武器はぜんぶ使える」らしい。
船をもっててばんばん稼いでる。
家族も多くて奥さんはふたり。
なにより私に窓のある部屋をくれた。
船長、むちゃくちゃかっこいい。

遠い地で
友だちが
最終バトルのひとつ前(ふたつ前か)の戦いに取り組んでいる
戸につっかえ棒をして寝てるというのを切なく聞いて
本当はそんなことしなくていい
そんなところにいなくていいと言いたいけれど
(もちろんそんなこと言うわけもなく)
時折遠くから健闘を願ってる
多分最後の戦いが終わるまで

久しぶりに会ったマユちゃんはくるくる働いてて忙しく、ゆっくり話したのは最後の方になってからだった。
スケジュールを回す係のマユちゃんは一瞬悩んでもぱっと決断して、何か聞くとそうですねあはははと笑っていい感じだった。
一年前は二人とも思うようにならない身体にジタバタと苦労して余裕がなく、ちゃんとお互いに向き合ったのは今回が初めてだったかもしれない。
別れる前に私の願いを聞いて、マユちゃんが去年オープンしたサロンに連れて行ってくれた。
大きな二階建て、一階はおしゃべりとお手当てのサロン、2階はまだ空っぽでこれから考える。
スペースがたっぷりで、これから何をしようかなという空間が一軒分。
いいなあ。
マユちゃんはいい感じで動いていた。




