文房具を片付けていたら校章のついたブックマークが出てきて、ある夏に訪れた北の名門校を思い出した。
生徒たちはまっすぐに育つ時間の中にいて、余計なものがついてない顔がピカピカ光るようだった。
遠くから来た私たちを迎えて彼らが企画した歓迎会は一生懸命考えた挨拶(あ、間違えちゃった!)から始まり、長い歴史を受け継いだのであろう応援歌の実演も含まれていた。
素朴な印象が一転、のバンカラ。
ドスの効いた声。
振り回される長い髪。
立ち上る獣の匂い。
(これは想像)
私たちは蒸し暑い教室で椅子に座り、度肝を抜かれてただただ異形の舞を見つめていた。
そうか。
今思い返してわかった。
あれは本物だったんだな。
本当に、やってたんだ。
地を巡るエネルギーを集めてこねて放つ。
原始の踊り、振り、歌、動き。
なんて面白い。
汗だくになって終えた彼らに、私たちから惜しみない拍手喝采。
嬉しそうにニコッと笑う顔は、また素直なこどもに戻っていた。