年末あたりからしんしんと冷える1月にかけての
暗く深い谷を越えて
枝先に灯る色
あめない?
とむすめがきくので
のどがいたいの?
ときいたら
いや、あまいものがくちでころころしてたらいいかなとおもって
といったのがかわいくてわらった
ありがとう、わかったと去りかけた人に、予報によればこれから雨が降って冷えるようなので雨具や上着を持つといいですよと声をかけた。
その男性は私の言ったことをじっと聞いて少しだけ黙って、ありがとう、でも私は軍人なのでご心配には及ばないと答え、リュックサックを背負って出て行った。
彼の背中からは、自立と自由と自信が立ち昇っている。自分が何をしているかわかっている。身体の重心はとても低い。大型の猫科動物のように足の裏は大地をとらえ、足取りはとても軽い。
大きくはないリュックサックに何が入っているのか入っていないのか知らないが、雨が降っても冷たい風が吹いても何も問題ないということがよくわかった。