春の日帰りバスの旅は “河津の桜” と “稲取の吊るし雛”
満開の桜を楽しんだ後は 稲取の伝統工芸“雛の吊るし飾り”の見学へ
色とりどりの布細工が、竹ひごの輪から赤い糸で無数に吊るされ、
にぎにぎしく 綺麗なこと! 美しいこと!
着物の端切れなどで作られた 様々な形のお細工物......
その 色鮮やかさと、手作りならではの温もりは
一足早い春を感じさせるものでした。
布細工の種類は50種類。一つ一つに意味があり、子供への願いを
お飾りの形にして、祖母や母が丁寧に縫い上げ 飾り付けるそうです。
長寿や招福などの願いを込めながら作るこのお飾りは、親から子へ 子から孫
へと代々受け継がれ、家によって大きさや種類などに違いがあるそうです。
同じモチーフでも、それぞれの個性に違いが見られ楽しいですね。
稲取の吊るし飾りは江戸時代に はじまったと言われます。
当時は 高価な雛飾りを購入できるような家庭はまれで
(せめて 手作りの雛飾りで、愛する子供や孫の為に初節句を祝ってやりたい)
という 切なる親心から生まれたそうです。
お飾りには一つ一つに意味があります。
梟 “福” “不苦労” 猿 厄が去る 大根 毒消し 亀・鶴 長寿
ほうずき 女性のお守り 婦人病の薬効 よだれかけ 疱瘡よけ
唐辛子 虫よけの効能 娘に虫が付かないよう 草履 足が丈夫になるように
おかめ(お多福)福を多く招く縁起物 七宝まり七宝の形を表し縁起物 遊び道具
柿 滋養 栄養が豊富。「柿赤くなれば医者青くなる」
太鼓・鼓 お目出度い物。幸多きことが増えますように
枕 寝る子は育つ 花・蝶 蝶のように 花のようにきれいにかわいらしく
三番叟 江戸時代から伝わる稲取の夏祭りで、現在も披露している
子供三番叟の舞の装束です。
三番叟とは、能の「翁」を元とするもので、天下泰平 五穀豊穣 千秋万歳を寿ぐ
おめでたい儀式曲として、正月や上棟式 舞台開きなどの場で演じられます。
金目鯛 稲取名産の縁起物 赤い色は魔除けの色 羽子板 厄を飛ばす
すずめ 五穀豊穣 食に恵まれるように 巾着 お金に困らないように
俵ねずみ 俵は五穀豊穣 ねずみは大黒さんのお使い 金運 霊力あり
子宝に恵まれ働き者になるように 桃 邪気 悪霊を除き延命長寿
三角 香り袋 屠蘇袋 薬袋など昔は皆三角の袋に入っていました。
病気に無縁であるように との願いが込められています。
糸巻き お裁縫が上手になるように
兎 赤い目のうさぎは呪力があるとされ、病気を退治する力があると
信じられていました。病気になってもすぐ治りますように。
這い子人形 ハイハイをする子は、丈夫に育つ。子の健やかな成長を願って
などなど..........
( そんな意味があったんだ) と知ると、
この小さなお飾りのひとつひとつがとても いとおしく思えてきました。
丹精込めて 手作りされた、ぬいぐるみの一つ一つに込められた、
たくさんの愛や願いの深さを感じることができました。