前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

マーラー 交響曲第3番ニ短調 (N響定期公演)

2011-02-12 20:08:31 | NHK交響楽団
「下手なオーケストラがあるのではない。下手な指揮者がいるだけだ。」


誰の言葉だったか忘れましたが、
指揮者の力量次第でオーケストラを輝かせもし、また輝きを失わせもする・・・
という意味合いだと思います。

でも、実際に演奏するのは楽団員だし、うまく奏でるのもミスするのも
団員の実力次第なんじゃないの?、とも思っていましたが・・・


「カリスマ性」とはこういうことをいうのでしょうか?
カリスマのオーラを浴びた演奏者達は、全ての雑念が消え、ただ音楽のみに集中する。
だから、あのような演奏ができるのでしょうか。

決して大柄な人ではないように見えましたが、
広げたその腕の中に、巨大なオーケストラ全てが包み込まれる。
演奏者達はその腕に抱かれて、不安も緊張もなく、ただ最高の音色を奏でる。
だから、あのような演奏になるのでしょうか。

冒頭の言葉は、そのような意味なのかもしれません。


 指揮:チョン・ミョンフン
 アルト:藤村実穂子
 女声合唱:新国立劇場合唱団
 児童合唱:東京少年少女合唱隊
 演奏:NHK交響楽団


間違いなく、N響定期公演史上屈指の名演です。

100分間の長大な、長大な交響曲。
しかし徐々に時間の感覚は薄れていき、音で満ちた世界に埋没していきます。


マーラーの交響曲第3番を生で聴いたのは初めてです。
しかし、再度聴こうとは、もう思わないかもしれません。
二度とこのような演奏には出会えないと思いますから。

これでマーラーの交響曲は、第1番から第9番および「大地の歌」と
全てコンサートで聴いたことになります。
自身のマーラー・チクルスの最後を、素晴らしい演奏で飾ることができました。


嗚呼、ソロ・トロンボーンの太く輝く美しい音色。
彼方から聴こえてくる完璧なポストホルン。
微妙なニュアンスを奏でるオーボエ。
勇壮なホルンのユニゾン。
力強い低弦、美しいヴァイオリン群。

名演です。


曲の開始時には、児童合唱団がいませんでした。
最初からいたら眠くなっちゃうから、途中で入場するのかな?と思っていたら、
第3楽章の終了間際、行進するように袖から出てきて、終了と同時にぴったり整列。
こんなところにも「カリスマ」の影響が・・・。さすがです。
第5楽章冒頭、見事に揃った歌い出し。さすがです。



奇跡のような演奏会でした。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
忘れ得ぬ夜。 (C5)
2011-02-14 01:58:05
 本当に素晴らしい演奏でしたね。
 昨年、コンセルトヘボウのマーラーの第3番コンサートに行けず残念に思っていましたが、N響定期でこんなにも凄い3番が聴けるとは…。

 N響の底力を感じた演奏会でした。忘れ得ぬ雪の音楽会。一生の思い出になると思います。
返信する
同感です。 (一服ざる)
2011-02-14 09:02:55
C5さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

私はCプロ二日目(土曜)の演奏を聴いたのですが、一日目も同様に素晴らしかったようですね。
いろいろな方のブログでも皆絶賛でした。

まさにN響のポテンシャルの高さを見せつけた演奏でした。
そしてもちろん、チョン・ミョンフンの力も。
返信する

コメントを投稿