平成太平記

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「高齢化」と「儒教精神」の間で揺れる韓国社会

2014年05月11日 16時17分53秒 | Weblog

原美和子

「高齢化」と「儒教精神」の間で揺れる韓国社会

2014年04月18日 

2013年11月に朝鮮日報で特集された「高齢化社会」の紙面。大原麗子さんの孤独死やNHKスペシャルで「無縁社会」を制作したプロデューサーへのインタビューなど日本の「高齢化問題」についても関心を持って報道され、韓国社会にも警鐘を鳴らしている

 
 
 朝鮮日報は昨年秋、韓国の「高齢化社会」の本格的な到来についての特集を組んだ。特集では「少子高齢化」が加速度的に進んでいる地方のみならず、ソウル近郊の首都圏や、第二の都市・釜山といった都市部での「高齢化」も顕著になっていている現状を伝えた。

  あわせて日本の「高齢化社会」の現状についても論じ、2009年に他界した女優の大原麗子さんの死についても取り上げ、一世を風靡した女優でさえも、孤独な最期を迎えていたという事実が驚きを持って報道されていた。

 こうした問題が大きく取り上げられる背景には、「少子高齢化」と共に「核家族化」も進む韓国では、独居高齢者の増加に伴う孤独死の問題がある。

昨年秋に釜山市内の低所得者向け住宅で、死後5年が経過したと見られる白骨遺体が発見された。遺体は、住宅に住んでいた当時60代の女性であると確認された。

 警察女性の子どもに遺体の引取りを要請したが、幼少期に女性と生き別れになった子ども達は引取りを拒否。

女性の遺体は無縁仏として弔われたという。記事は、これだけの年月、女性の安否について近所の住民や自治体が全く無関心だったという点に言及し、核家族化に伴う独居の高齢者への対応が、日本と同様韓国でも今後の課題になるであろうとしている。

 

人気アイドルグループ「Super Junior」のメンバー、イトゥクさん。父親が今年1月、両親を道連れに無理心中を図った。悲しみに耐え喪主を努めたイトゥクさんの姿は涙を誘い、韓国が抱える「高齢社会」の問題を象徴することになったnewspim

 
今年の年明け早々には、高齢化にまつわる衝撃的な事件が起こった。人気アイドルグループのSuper Junior(スーパージュニア)のメンバー、イトゥクさんの父親が両親を道連れにソウル市内の自宅で無理心中を図ったのである。

  イトゥクさんの父親は数年前にイトゥクさんの母と離婚。離婚後は認知症の両親を引き取り、一人で介護を行なっていたものの、事業に行き詰まり、自身もうつ病の症状が出ていたという。

 こうした状況から、両親を介護施設に入所させることを決めていたが、入所を数日後に控え、無理心中に及んだと見られている。

残された遺書には、子どもたちへのお詫びの言葉と共に、介護の辛さや、両親を介護施設へ入所させることへの苦渋の決断と後ろめたさなどが記されていたという。

 昨年の10月に芸能活動を中断し、兵役に就いていたイトゥクさんは、姉で女優のパク・イニョンと共に葬儀を取り仕切り、悲しみに耐える姿がファンを初め、多くの人の涙を誘った。

 人気アイドルを襲ったこの悲劇は現代の韓国が抱える社会問題を如実に表している。

韓国は現在でも、社会や家族に於いて儒教の精神が強い影響力を持っている。

特に「年長者を敬う」、「男性優位」といった考えが高齢者の間ではまだまだ根強く残り、親を福祉サービスの手に委ねることに抵抗感を持つ人も多い。

「親の老後」をめぐって若い世代との価値観のギャップから家庭内で問題が起こるケースが多く見られる。

 例えば、公的年金などがなく、自活が難しい高齢者の中には「親が困っていれば子どもが支援をするのは当たり前」という考えを持ち、特に長男が親の経済的支援や介護の責任を強いられるため、夫婦間、兄弟間で摩擦が起こるケースが多い。

70代の親世代と40代以上の子の世代はこうした儒教の影響を受けている最後の世代で、「親が大事」、「長男の責任」という価値観に縛られている。

 

 

韓国でも最近は自治体による介護サービスが生まれ、民間の介護施設も設備や管理、サービスを充実させてもいる。ただ、「親の老後は子どもが見るべき」という価値観が根強い韓国では、こうした福祉サービスに抵抗を感じる人も多い

 
前述のイトゥクさんの父親の無理心中も、父親が最後まで「長男であることの重責」と「親を介護施設へ送ることへの罪悪感」の間で揺れ動いたことが感じられる。

  「高齢化社会」が突きつける問題は、今後の韓国にとって無視できるものではない。社会のみならず、家族間のコミュニケーションを強め、取り組んで行く必要があると言えよう。

【Global Press】http://globalpress.or.jp/



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