① 韓国、「ああ無情」習近平に裏切られ「日本回帰」へ舵切る
2016-01-17
勝又壽良の経済時評
週刊東洋経済元編集長の勝又壽良
韓国外交は1月6日、北朝鮮の4回目の核実験によって目を覚まされた。
あれだけ、中国へ傾斜していたのだから、
今回のような「緊急事態」発生では当然、中韓外交はフル活動すべきものだった。
ところが、朴大統領が直接、習国家主席に電話しても「応答なし」。居留守を使わされているのだ。
中韓の国防ホットラインも、1月1日から開通しているが、こちらも「応答なし」だ。
習近平氏は、韓国を「親しい親戚」とまで持ち上げて見せたが、今になってみれば「真っ赤な嘘」だった。
相手を利用しようという魂胆を持っている場合は、手土産を沢山持参して歯の浮くようなお世辞を平気で言う。
それが、中華民族の常套手段である。私もそれを経験した。
初対面の私に、中国の土産を山ほど持参して訪ねてきたことがあった。
私は、中国の「微笑」外交の危険性について、このブログで再三にわたり強調してきた。
韓国でもそれがまた行われたのだ。
朴大統領も今回の一件を深く胸に刻むべきである。
朴氏の「反日発言」を、中国によってものの見事に利用されている。
中国とは、一筋縄でいかない「難物」なのだ。
お人好しの「親中派」は、中国にとってもっとも御しやすい相手である。
『朝鮮日報』(1月12日付)は、
社説で「朴槿恵政権の中国重視外交のツケは誰が責任を取るのか」と題して、次のよう論じた。
① 今月6日に北朝鮮が核実験を強行したその当日、韓国国防部(省に相当、以下同じ)は中国に電話で緊急の国防相会談を要請した。
② 韓中国防相間のホットラインは、昨年12月31日に開通したばかりだった。
このホットラインはどちらかが通話を希望する場合、相手方はいつでもそれに応じるという前提で設置されたもの。
そこで今回この合意に基づき、開通からわずか1週間後に北朝鮮が核実験を強行した直後、
韓国は中国と共同の対応を取るため国防相による電話会談を要請したが、中国は今月11日になっても何の回答もしていない。
決定的瞬間に効果を発揮するはずのホットラインが、いざ必要なときには無用の長物になっていたのだ。
朴大統領は、習近平国家主席とはなお直接のやりとりを行っていない。これも韓国側の会談要請に中国が応じようとしないからだ」。
稼働始めた中韓のホットラインが、宝の持ち腐れになっている。
韓国はこれまで、中国に対して最大の敬愛の念を込めた外交姿勢を取ってきた。
その手の中国が、ホットラインに出ないという極めて非礼な態度を見せている。
それだけでない。朴大統領から習国家主席への電話も繋がらないのだ。
中国4000年の歴史は、こういう「だまし討ち」の連続であったのだろう。
都合い事態が発生すると逃げ回る。
それが、中国人社会の行動原則なのだ。
およそ、大国としての矜持もなく、あるのは手練手管だけである。
日本を手玉に取る韓国が、今度は中国に騙されている。
「感情8割、理性2割」という価値基準の歪みが、明確に現れたと言うほかない。
③ 北朝鮮の核問題への対応において、中国が韓国の希望通り動くことを期待するのはもちろん最初から無理だ。
中国が北朝鮮に厳しい圧力を加えるのは現実的に難しいことも韓国はよく理解している。
しかし、電話での首脳会談や国防相会談さえ応じない。
こういう中国の態度は、外交関係の常識に大きく反すると言わざるを得ない。
昨年9月、朴大統領は欧米諸国から冷たい視線を浴びながらも、
中国で行われた戦勝節記念行事に出席し、
これによって韓中関係は一時大きく好転し関係も深まるかと思われたが、
これも今回完全に無為に帰してしまった」。
中国が微笑外交で韓国に接近した理由は、中国伝来の「合従連衡」策に基づいている。
相手国の同盟(合従)を崩して、中国との連衡(一対一の関係)に持ち込み、その後に征服する。
これは、秦の始皇帝が中国統一策として、実際に用いた外交政策である。
現代中国は、日米韓三カ国の結束を最も嫌っている。
日米韓の中で、日韓が慰安婦問題でいがみ合っている。
この虚を突いて韓国を「反日」をエサにして中国へ引き入れたのだ。
日韓の慰安婦問題は昨年末に急遽、解決してしまった。
こうなると、中国にとって韓国は「興味半減」である。
中国との「連衡」に持ち込み、その後に籠絡するという青写真が消えたのだ。
こうなると、中国は、韓国に「いい顔」をする必要はない。
隣接国である北朝鮮側に付く方が国益に叶う。
韓国からのホットラインにも出ない。
中韓外相会談は電話で70分やっても平行線。
朴・習の両トップによる電話会談もなし。
すべて、中国外交の冷淡さを100%示している。
韓国は、中国から下に見られているのだ。