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世界の原発:二〇五〇年に倍増必要-IEA国際エネルギー機関,現実問題としてのエネルギー安全保障の危機

2022-07-06 07:02:20 | 国際・政治
■臨時情報:IEA報告書
 2011年の福島第一原発事故から帰還困難区域の除染さえ完了が遠い現状でこうした視点は批判を覚悟しますが、原発か世界と向かう必要があります。

 シーレーン防衛として、日本は冷戦時代に必要な石油資源の海上交通路を当時脅威と見られていたソ連潜水艦部隊から防衛する体制が構築されていました。しかし、当のロシアから必要なLNG液化天然ガスの一割以上を輸入、ロシアのウクライナ侵攻に伴う制裁措置の報復により、要するに脅威と見られる国から資源を輸入する際の対策はありませんでした。

 原子力、日本はエネルギー安全保障が危機的状況に在る事を率直に認識し、原子力政策の見直しを進めるか、油田を確保する現実的な施策、憲法改正が必要な場合はこれも含めて、検討するか、若しくは経済破綻を容認する現状維持を改め原子力か油田確保を実現できる政治を選択する必要があります。原発事故と同じ程、ウクライナ戦争も有事なのですから。

 IEA国際エネルギー機関は6月30日、今世紀半ばまでに原子力発電容量を二倍に増強しなければ、各国のエネルギー安全保障政策と実質排出ゼロ目標を両立する事は出来ない、という報告書を発表しました。太陽光エネルギーや風力発電などの再生可能エネルギーの活用は前提としても、夜間や無風時の安定電源が必要であり、原子力発電を挙げた構図です。

 原子力発電、日本は1952年に初のウラン燃料を導入した際に、平和の灯として全国紙でも報道しています、これは1945年まで続いた太平洋戦争が石油資源を武力により確保する目的で開戦に至った事を受けてのもので、本来日本でも化石燃料依存体脚する手段として原子力は位置付けられており、少なくとも2011年初頭まではこの理念が踏襲されていました。

 原子力発電、現在世界の原子力発電能力は413ギガワットアワーとなっています、ただ、気候変動対策を主眼とした化石燃料からの脱却を進めるならば、2050年までに812ギガワットアワーとする必要があり、この目的には2030年代には毎年27ギガワットアワー分の原子力発電施設を増強する必要がある、IEA国際エネルギー機関報告書は明記している。

 気候変動は世界危機に繋がる、少なくとも現在の国際公序は、政策の多寡はあれどこの認識で一致しています、すると日本は現状のままでは安定電源として化石燃料を継続的に使う選択肢しか無くなり、他国に原子力発電を押し付け、その分の温室効果ガス排出権を高額で購入する他なくなります、これは世界から、エゴと非難される覚悟も、必要でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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