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【京都発幕間旅情】岐阜城(岐阜),遠景にこそ全容-長良川と市街地を巡り見上げる金華山と壮大な山城の全容

2022-07-06 20:00:29 | 旅行記
■岐阜城全景を遠景に望む
 長良川に沿って岐阜城を遠景に見ていますと思った以上に見えるものがあると気付かされた。

 岐阜城、岐阜県の岐阜市では象徴的な建物として親しまれているのですが、実際山城といいますと峻険な山間部に、という印象が強い中で岐阜城は金華山の周辺が市街地となり、眼下には市役所とやや離れて県庁が望見、つまり市街地に隣接している山城なのですね。

 山城入門、こう言い切るつもりはありませんが、見えている模造天守閣からはじまり、しかし、最盛期の城郭はどのようなものだったのだろう、こう巡らせるには、市街地に囲まれ、巡るには交通の便利が良く、喫茶に食事に休息できる場所に囲まれている点が良い。

 支城や砦など複合陣地としての岐阜城城郭は、山城の多くが僻地にあり中々に歩み進めるには準備が必要な地形に位置する中で、こう岐阜城は市内道路を散策するだけで、このあたりになにがあって、その向こうの地形は廓の遺構で、と見る事が出来、これはたのしい。

 丸山砦、ここは別表神社である伊奈波神社と、金華山トンネルという金華山を縦貫するトンネルの真上に位置しまして、そもそも金華山は複数の峯からなるため、この一帯の山頂は丸山と呼ばれています。伊奈波神社からは稜線の関係上、岐阜城天守閣はみえません。

 伊奈波神社と丸山には岩戸物部神社という神社があるのですが、地形上天守閣が見えないという事は天守閣からの死角に当り、丸山砦は天守閣への接近経路を抑える緊要地形を護り、水源もある為に天守閣籠城の際に相互に金華山とともに支援し合う配置といえます。

 松田尾砦、金華山の山道を上格子門のところから敢えて東側に回りますと、立ち入り禁止の柵があります、此処を超える事は出来ませんが資料によれば削平地と石垣が現存しているという、立ち入り禁止というのは1601年の廃城から420年以上放置され危険なため。

 稲荷山砦、伊奈波神社の北側に喫茶店が並ぶ一角があり寺町も形成しているのですが、その稜線側に美峰稲荷神社があります、この当たりに寺町が造成される前、砦が造成されていたという。この近くのコメダ珈琲でカツパンとかき氷を頼んでしまい量に圧倒された思い出も。

 相場山砦、一見して分かりやすいのですがNHK岐阜放送局電波塔が建っている場所にありました、電波塔があるということは見通し線が確保されている立地ですので警戒監視哨には最適です、しかし再建天守や櫓などは無くとも電波塔が有りますので位置が分りやすいものです。

 権現山砦、長良橋通といういまの歴史公園入口まで広がっていました城塞で掘割と土塁が広く配置されていたという。稲葉山城の時代は城郭の行政中枢を担う位置にあり、後の岐阜城造営までは今の天守閣の位置が物見の哨所であった事を示す、しかし遺構は名前のみ残ります。

 瑞龍寺山砦、こちらは以前に特別な瑞雲を視れるという事で拝観しました、金華山の南側山麓に位置します寺院ですが、その山麓から少し山頂へ向かいました当たりに郭の遺構があるとのことで、言い換えれば金華山の稜線伝いに進める接近経路を抑えているといえる。

 三重塔は大正時代のもので、第二次世界大戦を生き延びた遺構ですが、研究によりこの当たりが本丸であり、そして防衛拠点と云うよりは絢爛豪華さを誇る、迎賓の機能を示威的に示したものでもあったといいます、ここと天守閣で、城郭の中心を形成していました。

 岩戸山、鷹巣山、洞山、西山、この他にも支城はかなりの数があったといいまして、山城ながら中心に市域を含むという総構えのような城郭でもあったようです。城郭にのぼり歩くだけではなく、こう遠くから見てこそ、分る、そんな城郭巡りを車上から愉しみました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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