北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】海上自衛隊ASEVイージスシステム搭載艦用SPY-7レーダー評価試験

2024-07-30 20:24:34 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は海軍関連の話題なのですが写真は時間が無く観艦式のもので手早く流用して仕上げました。まや型に続いてミサイル防衛を重点的に想定する新しいイージス艦の進捗について。

 海上自衛隊ASEVイージスシステム搭載艦用SPY-7レーダーが評価試験に成功しました。これは3月28日にアメリカのMDAミサイル防衛庁が実施したもので、ニュージャージー州ムーアズタウンのロッキードマーティン社施設において宇宙空間の目標に対しAN/PSPY-7(V)-1レーダーによる実目標追尾に関する実証実験を実施しています。

 SPY-7そのものはLRDR長距離識別レーダーとしてアラスカ州クリア基地に配備され実績を積んでいますが、艦艇用センサーとしては開発段階であり、アメリカ海軍は既にSPY-6レーダーのイージス艦搭載を開始しています。ただ、日本はもともと地上配備型ミサイル迎撃システムを想定し、SPY-6とは別のレーダーシステムを採用しました。 

 ASEVイージスシステム搭載艦は、イージスアショア陸上配備型ミサイル防衛システムが兵撃ミサイルのブースター切り離し時に敷地外へ落下するとの懸念から中止となり、この代替として陸上配備用のものを水上戦闘艦に搭載するという方法が用いられ、2隻を建造し2028年と2029年に就役させる方針、その為のセンサー開発が実施中です。
■防衛フォーラム
 アメリカ軍はサンタクロースを追いかけた後はレッドオクトーバーを追うのだ。

 アメリカ海軍がエイプリルフールに挑戦しました、アメリカ海軍は四月一日に磁気流体科学を利用し海水ポンプ式の推進装置を構成するキャタピラーシステムを攻撃型原潜モンタナに搭載し世界初の無音水中航行を実施したと発表しました。これは小説“レッドオクトーバーを追え”にて架空のソ連戦略ミサイル原潜が採用したものとして有名だ。

 キャタピラー磁気流体力学推進装置はDARPA(国防高等研究計画局 によるPUMP プログラムとして長年研究されていたもの、としていてアメリカ海軍は攻撃型原潜モンタナをコネチカット州グロトンの施設で改良を極秘裏に行ったと発表、したのですがその当日中にこれはエイプリルフールのジョークであると白状し、世界を二度も驚かせました。
■防衛フォーラム
 横須賀にも時折水中排水量18000tのオハイオ級が来ていますね。

 アメリカ海軍が2年後から4年後にかけオハイオ級巡航ミサイル原潜を全廃します。海軍が2024年に発表した今後30年間の艦艇建造計画には巡航ミサイル原潜の新規建造計画は無く、4年後には現在保有する巡航ミサイル原潜全てを退役することとなります。現在保有しているオハイオ級巡航ミサイル原潜は4隻限り、代替艦はありません。

 オハイオ級巡航ミサイル原潜は戦略ミサイル原潜をトマホーク巡航ミサイル発射用に転用、1隻に154発ものトマホークを搭載し長期間任務にあたることが可能ですが、2026年にオハイオとフロリダ、続いてミシガンが退役し2028年には最後の一隻であるジョージアが退役すると完全退役となり、戦略ミサイル原潜転用など代替艦計画も、ありません。
■防衛フォーラム
 ポンゲミサイルなど通常のミサイル攻撃では北朝鮮に迎撃される懸念があるということか。

 韓国が新型艦対地弾道弾開発開始を発表しました。韓国海軍では既に弾道ミサイル潜水艦を建造し玄武艦対地型弾道ミサイルを搭載、巡航ミサイル以上に迎撃が難しい水上からの打撃力を北朝鮮からの核攻撃脅威への抑止力として維持していますが、今回ADD韓国国防開発庁が3月22日の防衛計画推進委員会で示したものはその発展型だ。

 新型艦対地弾道弾は水上戦闘艦への配備を計画、韓国海軍は併せて統合攻撃艦という、アメリカ海軍は1990年代から2000年代に構想したアーセナルシップの様なミサイル搭載に特化した水上戦闘艦を計画しており、既存の計画されている水上戦闘艦にも搭載するとともに、この統合攻撃艦にも多数の弾道ミサイルを搭載する方針です。
■防衛フォーラム
 生産ライン維持という。

 アメリカ海軍は13億ドルでスーパーホーネット17機を調達します。これは3月19日に発表したもので、アメリカ海軍は空母艦載機の不足を認識し、既に実績のあるF/A-18E/Fスーパーホーネット戦闘攻撃機を追加調達することとしました。海軍航空計画を所管するジョンレモン少将は2040年代までの重要な戦闘能力であるとしています、が。

 F/A-18E/Fスーパーホーネット戦闘攻撃機は製造修了が追加調達により伸ばされており、この背景にはF/A-XX次期戦闘攻撃機開発計画が予算削減により一定程度遅延することが見込まれ、海軍としてはF/A-XX戦闘攻撃機の開発遅延により空母航空団が2040年代以降定数を割り込むことを憂慮している、その反映としての追加と解釈もできます。

 ボーイング社はこの17機について2026年から2027年に掛け納入を行うと発表、しかしこれは当時に閉鎖予定であったボーイング社のF/A-18E/Fスーパーホーネット戦闘攻撃機の製造ラインの延命であることも確かです、この延長期間に新たな新規調達国が現れた場合には製造もうをもう少し拡大する余地があるともいえるでしょう。
■防衛フォーラム
 いまどき海軍は居住性を重視しなければ人が来ない。

 スウェーデン海軍は新造情報収集艦アルテミスの命名式を挙行しました。4月3日に執り行われた命名式はカール洲クローナ海軍基地において実施され、前任の情報収集艦オリオンの後継艦として2隻が岸壁に並び式典に臨んでいます。オリオンは満載排水量1400tで蒲鉾型構造物を通常型船体上に配置した特徴的な外見でも知られていました。

 アルテミスは満載排水量3000t、船体が大幅に大型化するとともに、オリオンよりも40年新しい新造艦は長期航海に併せ乗員区画の居住性を大幅に向上させました。スウェーデン海軍は沿岸海軍といて知られ、過去3000t以上の大型水上戦闘艦は1950年代に建造したハッランド級駆逐艦の3400t以来といい、久々の大型艦新造となりました。
■防衛フォーラム
 これで実際に潜水艦を見つけられるのでしょうか。

 アメリカ海軍航空システム司令部は対潜無人機運用試験を実施しました。無人航空機としては海軍のみならず空軍などで実績を積んでいるゼネラルアトミクスエアロノーティカルシステムズ社製MQ-9Bシーガーディアン無人機が運用され、南カリフォルニア州の海軍W-291試験場においてソノブイ散布試験を実施したとのこと。

 SDSソノブイディスペイシングシステムとしてゼネラルアトミクスエアロノーティカルシステムズ社が開発しているものの試験で、一定間隔に置いて洋上に散布し対潜情報を収集するとのこと。従来対潜戦闘は有人航空機に所掌でしたが、近年は戦闘機に対し鈍重な哨戒機の第一線運用へのリスクが高まり、無人機は補完用に期待されている装備です。
■防衛フォーラム
 潜水艦の性能には表れにくいものの重要な。

 アメリカ海軍は潜水艦の情報戦分野での能力強化を進めている、メリーランド州において4月8日に開催された海空宇宙会議においてアメリカ海軍情報部隊のケリーエシュバッハ中将が潜水艦の新しい作戦能力について強調しました。アメリカ海軍では2022年より東海岸の潜水艦部隊へ試験的に情報専門官と暗号技術者を配置したとのこと。

 情報専門官と暗号技術者の同乗試験は2隻の潜水艦において実施され、通信や暗号と電子戦などにより得た情報を基に防御や情報共有などを行い、全般運用における状況認識と指揮統制へ寄与させたとのこと。またこれらの成果は紅海におけるフーシ派船舶攻撃事案や中東地域での作戦計画全般にも影響を及ぼすことができたとしています。
■防衛フォーラム
 イスラエル軍は殺し過ぎていますね。

 イタリア海軍はイスラエルから導入予定の無人潜水艇導入計画を中断しました。これはエルタシステムズ社製水中プラットフォームを原型としたイタリア海軍の無人潜水艇計画に関するもので、イスラエルからの兵器導入に関する世論の影響、イスラエルガザ戦争の状況などを受け、イタリア国防省が世論に配慮したとも解釈できるでしょう。

 イタリア海軍では、しかし原則として、すでにイタリア国内に整備されている潜水艦技術などを応用することでイスラエル寄り装備を調達せずとも能力構築が可能であると判断したといい、またイタリア国内の防衛産業養成というような側面もあるとしています。無人潜水艇は対潜作戦や機雷掃討、情報収集などを任務として想定しています。
■防衛フォーラム
 日本がC-2輸送機をもとにP-1哨戒機とできないか模索していた頃を思い出すのですが。

 ブラジル軍はP-3C哨戒機後継に既存航空機の哨戒機転用を計画しているとのこと。P-3C哨戒機は対潜哨戒及び海洋哨戒任務と情報収集任務にあたる航空機でブラジルでは空軍が運用しています。今回の開発計画は4月9日から14日までチリのサンチャゴで行われたFIDAE航空ショーにおいてブラジルのエンブラエル社が発表したものです。

 エンブラエル社の発表に際してはブラジル空軍のマルセロカニッツダマセーノ大将も臨席し、エンブラエルディフェンスのジョアンボスココスタジュニアCEOも並んでいます。空軍のP-3Cは2031年には用途廃止となるため後継機を必要としていますが、エンブラエル社は同時にKC-390輸送機の多用途型を構想、これが充てられるのでしょう。
■防衛フォーラム
 大型水上戦闘艦を中堅国でも普通に保有するのが2020年代だ。

 インドネシアPPAフリゲイト計画の進捗について、イタリアのフィンカンティエリ社が概況の中間報告を行いました。インドネシア政府は3月28日、長らく検討中であったPPAフリゲイトについて正式の契約を交わし、これによれば11億8000万ユーロにて2隻を納入すると発表しています。そしてこの契約にはイタリア国防省が立ち会うという。

 PPAフリゲイトはイタリア海軍で既に運用実績を積んでいるタオンディレベル級外洋哨戒艦の設計が応用されるといい、具体的にはタオンディレベル級の重武装型をそのままフリゲイトとしてインドネシア海軍が導入するもの。タオンディレベル級は2023年にフランチェスコモロジーニが海上自衛隊横須賀基地を親善訪問した事でしられています。

 タオンディレベル級について、今回11億8000万ユーロ規模の大きな契約となりましたが、一方で元々イタリア海軍は本型を16隻建造する計画を7隻に縮小した事情があり、イタリア海軍向けのルッジーロディラウリアとマルカントニオコロンナをインドネシア海軍に引き渡す方針ともされています。これにより迅速な引き渡しが可能となりましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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