北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ユーロサトリ2024.PULSロケット砲兵システムはMLRS用GMLRS精密誘導ロケット弾に非対応!

2024-07-06 20:19:19 | 先端軍事テクノロジー
■MLRSとGMLRS
 ラインメタル社としてはGMLRSを引き続き運用するならばHIMARSか開発中のGMARSを調達するか手持ちのM-270MLRSをM-270A2に改修すべき、ということなのでしょう。

 PULS,オランダやデンマークが既に採用した背景にはMLRSを平和な2000年代に廃棄してしまい急な緊張増大を背景に後継装備が必要となり、MLRSと同じ弾薬を投射可能であるHIMARSの生産が追い付かず、しかし喫緊の課題として砲兵戦力を必要とした最中に、即納可、そしてGMLRS弾薬を使える、としてPULSが採用された背景がある。

 GMLRSをPULSは運用できないという話は本当か、この疑義に対してエルビットシステムズ社は明確な発言を避けています、少なくともMLRSでさえM-270のままでは射程の長い新型のPrSMミサイルは発射できず、M-270A2へアップデートしなければなりません。エルビットシステムズ社は、搭載できるようシステムを組めば載せられる、と。

 KNDS社はエルビットシステムズ社との間でPULSの欧州仕様であるEuro-PULSの共同生産協定を既に締結しています、そして無誘導のロケット弾であれば冷戦時代から西側は130mmロケットを、東側は122mmロケット弾を製造し、備蓄しています。PULSは、発射用コンテナを適合させれば122mmでも130mmでも撃てることは事実でしょう。

 しかしGMLRSとなれば別です。変なたとえですが昔、中古のPCショップにWindows7対応、と書かれてOS無のネットブックPCを格安で販売していたような。または、一眼レフを買う際にCANONレンズと互換性があります、と言われて即日入手できたカメラが、CANONマウントではマニュアルフォーカスのみ、と言われるようなものか。

 VLSを例に出すと判りやすいのでしょうか、日本は03式中距離地対空誘導弾システム発射装置を筆頭にこの種の垂直発射装置技術を有していますが、艦艇用VLSはアメリカ製Mk41を今でも輸入しています。これはスタンダードミサイルやESSMがMk41にしか対応していないため。韓国などは国産ミサイル用とMk41と二種類のVLSを積んでいる。

 240mmロケット弾が基本形であるGMLRSですが、ほかのロケット弾と差別化されるのが、GPS誘導により70㎞先へ誤差1m前後で正確に命中するという点、そしてGMLRSの強みは射程も精度も高いのですが、何より、アメリカ軍が陸軍と海兵隊が採用し、ウクライナに供与した余剰分だけでも最初の三ヶ月で6500発に達したほど備蓄がある。

 122mmロケット弾でも命中精度はそれほどではないが射程も初期の15kmというものは過去のもので現代では32km程度届くものがあります、生産も簡単で数を撃って面制圧を行うには十分です、が、自国での戦いを想定する場合に面制圧を行った場合、敵対勢力が進行している地域の住民を退避させ住宅財産はあきらめなければならない。

 GMLRSは、日本の場合はMLRSを1993年から運用し続けていますので、その特色は理解できるのですがMLRS、特にGMLRSを実際に運用し特性を体験として理解していない場合は、特にHIMARSとそのほかのトラックロケとシステム、ドイツが冷戦時代に多数を配備していたRM-70との違いが分り難いものなのかもしれませんが。

 ロケット弾というよりもGMLRSは精密誘導兵器であり、一種のミサイルとしての特性を有しています。もっとも、PULS採用とともにドイツ軍などはGMLRSには見切りをつけてイスラエルがPULS用に供給している巡航ミサイルへ精密誘導装備体系を転換するつもりであるならば、GMLRSが運用出来ずともそれ程問題にはならないのでしょうが。

 自前の備蓄だけで有事を戦い抜く、という事が理想ではあるのですが、陸軍兵力48万と海兵隊12万の兵力を抱え、膨大な軍需産業と共に世界規模の安全保障戦略を俯瞰し装備を十年単位で規格化し備蓄しているアメリカが制式化するということは、数万発単位の備蓄と毎年数千発の消費を想定した量産体制を維持していることと同義なのです。

 有事の際に、砲弾、ミサイル、銃弾、航空部品、エンジン、レーダー、は当然ですがあらゆるものが消耗します、これを一国単位で備蓄する事は可能であっても、平時にこの備蓄を永続的に交換し続ける事への国民や財務当局の理解は簡単ではなく、アメリカの備蓄と、アメリカの規格に影響されるという事はアメリカからの補給も期待できる。

 独自規格でも例えば欧州NATO各国が欧州全体で独自規格の長射程型誘導ロケット弾を15万発程度を備蓄する事が可能ならば、GMLRSが無くとも、ロシアウクライナ戦争規模の戦闘を自前で戦い抜くことは可能でしょう、しかし、一発数十万から百数十万ユーロの弾薬という事も現実、その覚悟があるのか、と言い換えることも出来るのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-滋賀長浜,青いピザよりも青い琵琶湖が見たかったのだ

2024-07-06 14:41:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 青空の方がいいですよね。

 お天気だけはどうにもなりません、いや天気予報くらい見てから動けば如何、と聞かれてしまいそうですけれども、休みの日は決まっているので休みの日に悪天候が動いてしまうと、休みの方を晴天に逃がすことの方がはるかに難しいのですよね。

 青い琵琶湖が見たかったのだ、ここは湖北で大津市なんかとは比べ物に、なるけれどもぐっと青い琵琶湖が見えていまして、心なしか、いや普通に湖北の方が熱さも暑さの範疇に収まる程度なのですが、梅雨時というのはそう簡単に青空はでてこない。

 だから青いピザを注文してテーブルの上だけでも青くしようとしたのは至極当然と言えるのではないだろうか。青い血だと、ラーゼフォンとかブルークリスマスとかイカソーメンを思い出すところですが、ここでは青いピザがいただけるというのだ。

 海老と生しらすのびわこピッツァ、正しくはこういう名前なのですけれども、なんで青いピザ、にしないのだろうか、不思議とアンチョビと青のりの風味が強いものの強烈な色彩に見合った変な味がする訳では無いので安心して、見栄えをお勧めしたい。

 北ビワコホテルグラツィエ、JR北陸本線長浜駅から琵琶湖岸へ散策しますとお城の隣にヨットハーバーと並んで見えてきます大きなホテルで、そう、近江今津へのフェリーはここの隣の長浜港から運行されているのですが、ここにレストランがある。

 カフェ&ピッツェリアVERONAさんは北ビワコホテルグラツィエの一階部分に入っていますピッツェリアでして、ピッツェリアのあの通りお手頃に飲み物とピザを頂くことができ、そして晴れていれば青空とともに青々とした山なみが見えたはずで。

 アイスコーヒーかアイスティーかを考えたのだけれども、珈琲とピザが合うという前提で、これはちょっと見た目からして珈琲以外と併せてみようか、とアイスティーを頂きました。不思議なピザなのだけれども強烈に印象に残る写真を仕上げてくれた逸品です。

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日独共同訓練-千歳基地で今月実施,ロシア政府はNATO加盟国との日本での共同訓練に抗議

2024-07-06 07:00:37 | 防衛・安全保障
■タイフーン北海道へ
 台風が北海道に来るというとまさかと思われるかもしれませんがユーロファイタータイフーンは北海道にやってきます。

 日独共同訓練の実施について。千歳基地へは7月18日よりドイツ空軍とスペイン空軍の輸送機など支援部隊の展開が始まり、7月19日にはユーロファイター戦闘機の展開が開始、千歳基地へは最大でユーロファイター戦闘機12機、エアバスA-400M輸送機5機、A-330MRTT空中給油輸送機4機、A-321輸送機1機が展開する予定です。

 スペイン空軍の全ての航空機とドイツ空軍の一部を除く航空機は7月20日に日本から次の太平洋地域の訓練先へ出発予定となっていますが、ドイツ空軍の一部の航空機は日本に滞在し、26日まで日独共同訓練を実施します。予定されているのはユーロファイター戦闘機3機、エアバスA-400M輸送機2機、A-321輸送機1機、とのことでした。

 フランス空軍のラファール戦闘機も20日には出発予定であり、日仏共同訓練と日独西共同訓練については、編隊飛行や通信訓練などの基本的な訓練を行う程度の期間しかありませんが、続いて実施される日独共同訓練については期間も長く、要撃訓練や戦術輸送飛行訓練など、より踏み込んだ内容の訓練の実施が可能といえるのかもしれません。■

 ロシア政府はNATO加盟国との日本での共同訓練に抗議しました、ロシア外務省が明らかにしたところでは、6月28日、北海道においてスペインとドイツとの間での共同訓練の計画について、日本の危険なエスカレーション行為であるとして非難し日本大使館に抗議したことを明らかにし、日本に対して対抗措置を執ることを警告したとのこと。

 ロシア外務省は北海道での共同訓練に対しては抗議したものの、茨城県でのフランス空軍との共同訓練に対しては抗議していません、これは北海道は隣接しているが北関東地域であれば容認できるというロシアの分水嶺の表明なのでしょうか。若しくは太平洋艦隊や北方領土駐留部隊をウクライナ戦線に引き抜いている現状での危機感でしょうか。

 無責任な政策が北東アジアとアジア太平洋地域全体での危険なエスカレーションにつながる、とロシア政府は表明していますが、一方でロシアは北朝鮮に対し核実験による経済制裁下でのミサイル関連技術などの技術協力拡大や、中国海軍との爆撃機部隊や艦隊による津軽海峡航行など、示威行動は一方的に続けている点も留意すべきでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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