北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】小牧基地オープンベース2019【3】C-130H輸送機と南西方面将来戦場の想定(2019-11-09)

2023-04-16 20:21:43 | 航空自衛隊 装備名鑑
■南西防衛と輸送機任務
 ヒコーキを純粋に見上げて楽しめた時代と防衛政策という段階まで考えるようになって見上げる航空機は、不思議と違ったもののように見える。

 輸送機、自衛隊の南西防衛を考える場合、この位置づけをどのように考えるかという部分が意外と重要になります、こう言いますのも、恐らく遠くない将来に自衛隊が想定しなければならない南西有事の戦場は、世界で最も過酷な戦場となる可能性が高い為です。

 厳しい戦場となる、その背景は2000年代には想定できず2010年代にもそれ程想定しなかったほどに中国軍の近代合が進み、最早張子の虎などというように考えるのは、日本経済が中国経済を凌駕する程に難しくなっている、という厳しい現実の裏返しとなるのです。

 日中戦争の頃とは比較にならない中国軍がそこには存在していまして、言い換えれば海上自衛隊はミッドウェー海戦やマリアナ沖海戦の頃に世界に有していたポテンシャルから大きく変っているほどに、あの頃の時代と現代とは世界と装備体系が変わってきている。

 那覇基地は、中国本土からの長射程地対空ミサイルの射程内に入るため、南西有事の第一線となるであろう先島諸島へ輸送機による強行輸送を考える前に、まず本土から沖縄本島までの輸送をどのように展開するのか、という段階まで遡らなければならない状況です。

 強行輸送は、恐らく第二次大戦中の義烈空挺隊のような、厳しい損耗を強いられる事となるのでしょうが、忘れてはならないのは自衛隊の輸送機があの頃とは比較にならない程に数が少なく貴重なものとなっていて、損耗を前提とした輸送作戦などは立てられません。

 長射程地対空ミサイルや広域防空艦による南西諸島封鎖、潜水艦と空母艦載機の脅威というようなものを、勿論航空自衛隊はある程度想定はしているのでしょうが、例えば輸送機を母機とした電子作戦機、EC-2を既に開発していますが、この重要性は今以上にたかい。

 EC-2のような航空機が、輸送機の編隊にはかららず随伴して電子妨害を行い地対空ミサイルからの防衛を担う、これがある意味輸送機を運用する最低限度の条件となるのかもしれません、こうした高僧はスタンドオフ電子戦機という構想で既に検討は、されている。

 ラピッドドラゴン構想のように、輸送機そのものをスタンドオフミサイルの発射母機として運用する、つまり有事に際しては相手が攻撃に着手した後では輸送機はとても飛行させられない為に、脅威対象から1000kmの離隔距離をとり戦うという検討も必要でしょう。

 スタンドオフミサイル、射程1000kmを超えれば、中国の地対空ミサイル射程は500kmほどですので辛うじてその脅威圏外に展開できます、ただ、広域防空艦が排他的経済水域の日中中間線付近まで進出した場合には、本格的に沖縄本島がその脅威圏内にはいります。

 ラピッドドラゴン構想は、輸送機の機内にコンテナ方式のミサイル発射装置を搭載し、空中投下する形で機体の外に展開させた後で発射する方式で、C-130輸送機からも6発を投射する研究をアメリカが進めています、これによりF-15並の打撃力を持つ事となります。

 沖縄本島への強行輸送、しかし同時に有事の際に沖縄を見捨ててよいのか、いやまたしても見捨てる、と1945年沖縄戦の反省と共に、沖縄を守れない政府では、今度こそ沖縄県の民意が日本という共同体から離れてゆく事となりかねません、検討しなければならない。

 義烈空挺隊のような危険な輸送、特攻作戦のような輸送は論外ですが、本土からの防衛部隊展開と本土への疎開希望者輸送、こうしたものを校区自衛隊輸送機は取り組まねばなりません。すると、現在の輸送機部隊はその必要数を満たしているのか、非常に疑問である。

 防衛費GDP2%,こうした決断を岸田政権は示しまして、2022年安全保障関連三文書にも明示しました、ただ、金額が先行していて、何が不足している防衛力なのか、という部分と共に、中身への政治の議論が不充分であり、政治はどう防衛を考えているのか、と。

 中国軍の戦力は強大となりましたが、自衛隊の2010年ごろまでの防衛力であれば当時の中国軍の軍事圧力をなんとか跳ね返す水準が有りました、問題は2010年代から2020年代に向けて、防衛費が不足している状況を看過し日中の防衛力格差が開いた事にあるのでは。

 輸送機はその一つの視点であり、個人的にはC-130輸送機の後継機にC-2輸送機を充てるべきと考える、そしてC-2輸送機の飛行隊は飛行隊定数を削減していますがC-1輸送機時代の15機前後を定数とするべきだと考える、それはそれだけ輸送需要が拡大したため。

 即応機動連隊のように自衛隊は空輸支援を受ける前提での緊急展開部隊を整備しています、しかし、空輸しなければならないものが増大したのに肝心の輸送機を減らされてしまっては、どうやって運ぶのか、緊急展開出来ないではないか、という問題が放置されたまま。

 EC-2のような航空機に電子防護を受けミサイル脅威を回避しつつ輸送機を展開させるという方法は、中国軍のミサイル脅威を考えれば当然必要であると共に、EA-18G電子攻撃機の様な機体を用いて相手のミサイル陣地を直接たたく防衛力整備よりは中国を刺激しない。

 疑問としてもつのは、アメリカ国防総省などは“議会報告中国の軍事力”というものを毎年作成し、その上で中国に対抗する為の防衛力整備の指針を示しています。手の内を見せないとして秘密主義に走るわが国と違い、手の内を示し相手に抑止力を突き付けています。

 議会報告中国の軍事力、Webで公開されていますので頑張って英文を、最近は昔では考えられない程機械翻訳の支援が役立つ時代、これを読んだ上で陸軍2030計画や海兵隊将来構想2030などを読み比べますと、なんとかなる、という希望のようなものが見えるのだが。

 日本の防衛力整備は、脅威をどのように認識したうえで防衛装備品の取捨選択、という論理が飛ばされています。この当たり、秘密主義として手の内を見せない事としているのかもしれませんが、どうしても公開されるのは民主国家故の毎年の予算と調達情報です。

 予算と調達情報を見れば、これで中国軍は台湾海峡で事を越そうとしても自衛隊が何とかできる、とはとても思う事は出来ず、そもそも即応機動師団でさえ中国の中型合成旅団に対抗できるかが怪しい、即応機動連隊の能力と火力に限界を感じざるを得ない状況が。

 福島第一原発事故の再来となるのではないか、いや原発が攻撃されるという近視眼的な発想ではなく、あの事故が発生するまで、電力会社には原発事故を起こさせないし発生した場合にも管理する技術が有ると信じていたが、実際にはそんなものは無かった事が在った。

 安全神話、というべきものでしょうか、福島第一原発事故が起こるまで原発は管理されているという一種の安全神話が在ったように、防衛力についても自衛隊の防衛力で国土と国民の生活は守られるという安全神話を、国民の多くは信じていないか、検証もせずに。

 防衛力を見るにしても金額が先行で中身も、そもそも中国軍事力とロシア軍の軍事力を具体的に検討し研究しなければ対策は立てられないはずなのですが、此処を無視し金額の議論だけが独り歩きしている様に危惧します。防衛力はもっと比較され検討されるべきです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】平野神社-観桜,人工知能はさくら吹雪の夢を見るか?2020年代に2030年代を未だ期待する

2023-04-16 18:29:42 | 写真
■観桜の平野神社
 積雪の季節に探訪した平野神社を観桜へ再訪しますと話題にする歴史の視座は既に書き終えた事にくづきました。

 平野神社、さくらの季節となりますと神紋が桜花を模っている平野神社は何度も探訪するところです。夜桜に桜吹雪に十月桜から葉桜まで、そしてよかったという珠玉の情景を紹介するのですけれども、今年は雪景色としてWeblog北大路機関は既に掲載しています。

 桜花満開と桜吹雪、夜桜とできれば雪景色のほかにWeblog北大路機関にもう一本毎日紹介したいところなのですけれども、撮影は十五分で終わっても5000字執筆して記事に仕上げようとしますと数時間を要します、一日は24時間でこれ以上執筆時間を確保できない。

 AI人工知能、これからもう少し北大路機関の執筆のために頑張ってくれるのだろうか、ふとこんなことを思ったりもしました。AI人工知能の発達が著しいことは驚きに値しまして、文章の作成、仕事の文章は無理にしても多忙な仕事とWeblogの両立で助けはないか。

 1410字から1440字が“京都幕間旅情”の定型文量となっているのですが、なにしろ北大路機関の歴史は相応に長く平野神社だけで数十回記事を紹介している、すると同じような文書のほかに何か新しい視点や時事の話題を取り入れていかなければ記事になりません。

 写真は撮ろう、しかし写真の著作権表示と転載防止加工を支援して、その上で当たり障りのない文章位を作成してくれないものか、と。なにしろ北大路機関は日曜日土曜日祭日に毎日三記事を掲載し、平日は朝の0700時台と2000時台に各1記事を掲載しているのだ。

 BingAIとChatGPT-3、昨今はプログラミングの作成支援に活躍しているという事ですが、ちょっとこの分野には疎く、しかし自動生成の文章にはまともなものがない、というのが数年前の認識でしたのでBingAIとChatGPT-3の存在も不勉強であったというところ。

 ChatGPT-3については、友人が面白さ半分という事で文章作成例をおくってくれたのですが、北大路機関風に作成した文章というもので桂駐屯地祭のレポートを試して送ってくれたものの、北大路機関独特のどこか突拍子のない狂った文章になっていない現実が。

 人工知能が暴走する、という映画もありましたが、今のところ面白みのないwikipediaのような解説文章を部分的に作成することはできるのですが、それではwikipediaであって北大路機関ではない、AIにはまだ疑似人格を獲得するには至っていないということか。

 Wikipediaを人工知能が学習しているだけなのでしょうけれども、なにかこう、指導教授がどうにもならない中間論文を見せられなんとかして卒論までに育てねばならないとか、編集長さんが駄目な原稿を見せられた時の気分という、文字の羅列が文章のふりをする。

 しかし2005年に自動生成により作成された文章はほぼ駄目といいますか、将来的にそうした未来が来るかもしれないという程度でしかありませんでしたから、2023年は、駄目であっても文字の羅列から個性は無いが文章を充分作成できる、こうした水準までは育ちました。

 2033年の、つまり十年後には大分変わっているのかもしれませんが、そのころにはWeblogというWeb媒体が残っているのか、という素朴な疑問が生じます、北大路機関は2003年創設でWeblog北大路機関は2005年創設、創設30周年の頃のAIは期待できるのか。

 人工知能学習、北大路機関は2005年以降第二北大路機関を含めかなりの文章を作成しています、これを学習させますと、北大路機関らしい文章をもう少し作成するのかもしれませんが、まだまだ、はるなさんくらまさん深夜の文章立案とキーボード格闘は続きそう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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G7広島サミットと岸田総理襲撃事件,各国首脳警備の課題とUH-60JA多用途ヘリコプター墜落事故

2023-04-16 07:00:52 | 国際・政治
■臨時情報-総理襲撃事件
 今回の事件は決して軽視でできるようなあまいものではない。

 G7広島サミット、岸田総理襲撃事件を受け、昨年の安倍元総理暗殺事件の際に危惧していました警備という安全管理は大丈夫なのか、という懸念が改めて現実のものとなりました。首相、現職総理大臣が手製爆弾を投擲できる範囲まで暗殺者の接近を許すという状況は、今回は無事でした、ではなく接近されそのうえで投擲できた時点で警備は失敗なのです。

 G7のうち、アメリカとイギリスにフランスは核兵器国であり、有事の際には核兵器使用を決断する首脳が広島でのサミットに参加するのですから、警備に間違いはあってはならないのですが、その前月に当たる今月に首相が爆弾を投擲されている段階で既に警備失格で、今回仮に射程と貫徹力の大きい猟銃がもちいられた場合には対処が難しかったように思う。

 日本の場合は手製銃や今回のパイプ爆弾など、いわゆる"ホームセンターで購入できる日用品"を組み合わせて密造された武器が用いられますが、猟銃は日本でも入手できますし、過去の北朝鮮工作船事件ではRPG携帯対戦車兵器やAK-74小銃などが用いられており、一定以上の背後勢力が支援するならば、このような強力な武器持ち込みは不可能でない。

 警備などには相手が手製武器以外に軍用銃を用いる可能性も考慮した、いわば、暴漢が暴行する、以上の懸念に対応する警備体制を考える必要があり、これには警察の努力という範疇ではなく、法改正を視野に今の体制で十分な警備が可能であるのか、という踏み込んだ領域まで考えて対応する必要があります、そしてそれには時間も限られるのが現実です。

 UH-60多用途ヘリコプター、もう一つの懸念は、前回日本で開催されたG7伊勢志摩サミットにおいて、自衛隊が各国用心の空輸支援にCH-47輸送ヘリコプターとUH-60JA多用途ヘリコプターを準備していました。しかしこのうちのUH-60JA多用途ヘリコプターはつい先日、中将搭乗機、第8師団長の陸将搭乗機が原因不明の墜落を起こしたばかり。

 EC-225要人輸送ヘリコプターが運用されていますが、これは3機のみ、これも随伴機と予備機を考えれば3機では単一任務飛行しか行うことはできません、すると"国が使える要人輸送ヘリコプター"は陸上自衛隊の航空機しかなく、これは不足している状況です。G7主要国として、日本が責任ある地位を担う相応しい能力を持っているのか、問われる状況だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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