■南西防衛と輸送機任務
ヒコーキを純粋に見上げて楽しめた時代と防衛政策という段階まで考えるようになって見上げる航空機は、不思議と違ったもののように見える。
輸送機、自衛隊の南西防衛を考える場合、この位置づけをどのように考えるかという部分が意外と重要になります、こう言いますのも、恐らく遠くない将来に自衛隊が想定しなければならない南西有事の戦場は、世界で最も過酷な戦場となる可能性が高い為です。
厳しい戦場となる、その背景は2000年代には想定できず2010年代にもそれ程想定しなかったほどに中国軍の近代合が進み、最早張子の虎などというように考えるのは、日本経済が中国経済を凌駕する程に難しくなっている、という厳しい現実の裏返しとなるのです。
日中戦争の頃とは比較にならない中国軍がそこには存在していまして、言い換えれば海上自衛隊はミッドウェー海戦やマリアナ沖海戦の頃に世界に有していたポテンシャルから大きく変っているほどに、あの頃の時代と現代とは世界と装備体系が変わってきている。
那覇基地は、中国本土からの長射程地対空ミサイルの射程内に入るため、南西有事の第一線となるであろう先島諸島へ輸送機による強行輸送を考える前に、まず本土から沖縄本島までの輸送をどのように展開するのか、という段階まで遡らなければならない状況です。
強行輸送は、恐らく第二次大戦中の義烈空挺隊のような、厳しい損耗を強いられる事となるのでしょうが、忘れてはならないのは自衛隊の輸送機があの頃とは比較にならない程に数が少なく貴重なものとなっていて、損耗を前提とした輸送作戦などは立てられません。
長射程地対空ミサイルや広域防空艦による南西諸島封鎖、潜水艦と空母艦載機の脅威というようなものを、勿論航空自衛隊はある程度想定はしているのでしょうが、例えば輸送機を母機とした電子作戦機、EC-2を既に開発していますが、この重要性は今以上にたかい。
EC-2のような航空機が、輸送機の編隊にはかららず随伴して電子妨害を行い地対空ミサイルからの防衛を担う、これがある意味輸送機を運用する最低限度の条件となるのかもしれません、こうした高僧はスタンドオフ電子戦機という構想で既に検討は、されている。
ラピッドドラゴン構想のように、輸送機そのものをスタンドオフミサイルの発射母機として運用する、つまり有事に際しては相手が攻撃に着手した後では輸送機はとても飛行させられない為に、脅威対象から1000kmの離隔距離をとり戦うという検討も必要でしょう。
スタンドオフミサイル、射程1000kmを超えれば、中国の地対空ミサイル射程は500kmほどですので辛うじてその脅威圏外に展開できます、ただ、広域防空艦が排他的経済水域の日中中間線付近まで進出した場合には、本格的に沖縄本島がその脅威圏内にはいります。
ラピッドドラゴン構想は、輸送機の機内にコンテナ方式のミサイル発射装置を搭載し、空中投下する形で機体の外に展開させた後で発射する方式で、C-130輸送機からも6発を投射する研究をアメリカが進めています、これによりF-15並の打撃力を持つ事となります。
沖縄本島への強行輸送、しかし同時に有事の際に沖縄を見捨ててよいのか、いやまたしても見捨てる、と1945年沖縄戦の反省と共に、沖縄を守れない政府では、今度こそ沖縄県の民意が日本という共同体から離れてゆく事となりかねません、検討しなければならない。
義烈空挺隊のような危険な輸送、特攻作戦のような輸送は論外ですが、本土からの防衛部隊展開と本土への疎開希望者輸送、こうしたものを校区自衛隊輸送機は取り組まねばなりません。すると、現在の輸送機部隊はその必要数を満たしているのか、非常に疑問である。
防衛費GDP2%,こうした決断を岸田政権は示しまして、2022年安全保障関連三文書にも明示しました、ただ、金額が先行していて、何が不足している防衛力なのか、という部分と共に、中身への政治の議論が不充分であり、政治はどう防衛を考えているのか、と。
中国軍の戦力は強大となりましたが、自衛隊の2010年ごろまでの防衛力であれば当時の中国軍の軍事圧力をなんとか跳ね返す水準が有りました、問題は2010年代から2020年代に向けて、防衛費が不足している状況を看過し日中の防衛力格差が開いた事にあるのでは。
輸送機はその一つの視点であり、個人的にはC-130輸送機の後継機にC-2輸送機を充てるべきと考える、そしてC-2輸送機の飛行隊は飛行隊定数を削減していますがC-1輸送機時代の15機前後を定数とするべきだと考える、それはそれだけ輸送需要が拡大したため。
即応機動連隊のように自衛隊は空輸支援を受ける前提での緊急展開部隊を整備しています、しかし、空輸しなければならないものが増大したのに肝心の輸送機を減らされてしまっては、どうやって運ぶのか、緊急展開出来ないではないか、という問題が放置されたまま。
EC-2のような航空機に電子防護を受けミサイル脅威を回避しつつ輸送機を展開させるという方法は、中国軍のミサイル脅威を考えれば当然必要であると共に、EA-18G電子攻撃機の様な機体を用いて相手のミサイル陣地を直接たたく防衛力整備よりは中国を刺激しない。
疑問としてもつのは、アメリカ国防総省などは“議会報告中国の軍事力”というものを毎年作成し、その上で中国に対抗する為の防衛力整備の指針を示しています。手の内を見せないとして秘密主義に走るわが国と違い、手の内を示し相手に抑止力を突き付けています。
議会報告中国の軍事力、Webで公開されていますので頑張って英文を、最近は昔では考えられない程機械翻訳の支援が役立つ時代、これを読んだ上で陸軍2030計画や海兵隊将来構想2030などを読み比べますと、なんとかなる、という希望のようなものが見えるのだが。
日本の防衛力整備は、脅威をどのように認識したうえで防衛装備品の取捨選択、という論理が飛ばされています。この当たり、秘密主義として手の内を見せない事としているのかもしれませんが、どうしても公開されるのは民主国家故の毎年の予算と調達情報です。
予算と調達情報を見れば、これで中国軍は台湾海峡で事を越そうとしても自衛隊が何とかできる、とはとても思う事は出来ず、そもそも即応機動師団でさえ中国の中型合成旅団に対抗できるかが怪しい、即応機動連隊の能力と火力に限界を感じざるを得ない状況が。
福島第一原発事故の再来となるのではないか、いや原発が攻撃されるという近視眼的な発想ではなく、あの事故が発生するまで、電力会社には原発事故を起こさせないし発生した場合にも管理する技術が有ると信じていたが、実際にはそんなものは無かった事が在った。
安全神話、というべきものでしょうか、福島第一原発事故が起こるまで原発は管理されているという一種の安全神話が在ったように、防衛力についても自衛隊の防衛力で国土と国民の生活は守られるという安全神話を、国民の多くは信じていないか、検証もせずに。
防衛力を見るにしても金額が先行で中身も、そもそも中国軍事力とロシア軍の軍事力を具体的に検討し研究しなければ対策は立てられないはずなのですが、此処を無視し金額の議論だけが独り歩きしている様に危惧します。防衛力はもっと比較され検討されるべきです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ヒコーキを純粋に見上げて楽しめた時代と防衛政策という段階まで考えるようになって見上げる航空機は、不思議と違ったもののように見える。
輸送機、自衛隊の南西防衛を考える場合、この位置づけをどのように考えるかという部分が意外と重要になります、こう言いますのも、恐らく遠くない将来に自衛隊が想定しなければならない南西有事の戦場は、世界で最も過酷な戦場となる可能性が高い為です。
厳しい戦場となる、その背景は2000年代には想定できず2010年代にもそれ程想定しなかったほどに中国軍の近代合が進み、最早張子の虎などというように考えるのは、日本経済が中国経済を凌駕する程に難しくなっている、という厳しい現実の裏返しとなるのです。
日中戦争の頃とは比較にならない中国軍がそこには存在していまして、言い換えれば海上自衛隊はミッドウェー海戦やマリアナ沖海戦の頃に世界に有していたポテンシャルから大きく変っているほどに、あの頃の時代と現代とは世界と装備体系が変わってきている。
那覇基地は、中国本土からの長射程地対空ミサイルの射程内に入るため、南西有事の第一線となるであろう先島諸島へ輸送機による強行輸送を考える前に、まず本土から沖縄本島までの輸送をどのように展開するのか、という段階まで遡らなければならない状況です。
強行輸送は、恐らく第二次大戦中の義烈空挺隊のような、厳しい損耗を強いられる事となるのでしょうが、忘れてはならないのは自衛隊の輸送機があの頃とは比較にならない程に数が少なく貴重なものとなっていて、損耗を前提とした輸送作戦などは立てられません。
長射程地対空ミサイルや広域防空艦による南西諸島封鎖、潜水艦と空母艦載機の脅威というようなものを、勿論航空自衛隊はある程度想定はしているのでしょうが、例えば輸送機を母機とした電子作戦機、EC-2を既に開発していますが、この重要性は今以上にたかい。
EC-2のような航空機が、輸送機の編隊にはかららず随伴して電子妨害を行い地対空ミサイルからの防衛を担う、これがある意味輸送機を運用する最低限度の条件となるのかもしれません、こうした高僧はスタンドオフ電子戦機という構想で既に検討は、されている。
ラピッドドラゴン構想のように、輸送機そのものをスタンドオフミサイルの発射母機として運用する、つまり有事に際しては相手が攻撃に着手した後では輸送機はとても飛行させられない為に、脅威対象から1000kmの離隔距離をとり戦うという検討も必要でしょう。
スタンドオフミサイル、射程1000kmを超えれば、中国の地対空ミサイル射程は500kmほどですので辛うじてその脅威圏外に展開できます、ただ、広域防空艦が排他的経済水域の日中中間線付近まで進出した場合には、本格的に沖縄本島がその脅威圏内にはいります。
ラピッドドラゴン構想は、輸送機の機内にコンテナ方式のミサイル発射装置を搭載し、空中投下する形で機体の外に展開させた後で発射する方式で、C-130輸送機からも6発を投射する研究をアメリカが進めています、これによりF-15並の打撃力を持つ事となります。
沖縄本島への強行輸送、しかし同時に有事の際に沖縄を見捨ててよいのか、いやまたしても見捨てる、と1945年沖縄戦の反省と共に、沖縄を守れない政府では、今度こそ沖縄県の民意が日本という共同体から離れてゆく事となりかねません、検討しなければならない。
義烈空挺隊のような危険な輸送、特攻作戦のような輸送は論外ですが、本土からの防衛部隊展開と本土への疎開希望者輸送、こうしたものを校区自衛隊輸送機は取り組まねばなりません。すると、現在の輸送機部隊はその必要数を満たしているのか、非常に疑問である。
防衛費GDP2%,こうした決断を岸田政権は示しまして、2022年安全保障関連三文書にも明示しました、ただ、金額が先行していて、何が不足している防衛力なのか、という部分と共に、中身への政治の議論が不充分であり、政治はどう防衛を考えているのか、と。
中国軍の戦力は強大となりましたが、自衛隊の2010年ごろまでの防衛力であれば当時の中国軍の軍事圧力をなんとか跳ね返す水準が有りました、問題は2010年代から2020年代に向けて、防衛費が不足している状況を看過し日中の防衛力格差が開いた事にあるのでは。
輸送機はその一つの視点であり、個人的にはC-130輸送機の後継機にC-2輸送機を充てるべきと考える、そしてC-2輸送機の飛行隊は飛行隊定数を削減していますがC-1輸送機時代の15機前後を定数とするべきだと考える、それはそれだけ輸送需要が拡大したため。
即応機動連隊のように自衛隊は空輸支援を受ける前提での緊急展開部隊を整備しています、しかし、空輸しなければならないものが増大したのに肝心の輸送機を減らされてしまっては、どうやって運ぶのか、緊急展開出来ないではないか、という問題が放置されたまま。
EC-2のような航空機に電子防護を受けミサイル脅威を回避しつつ輸送機を展開させるという方法は、中国軍のミサイル脅威を考えれば当然必要であると共に、EA-18G電子攻撃機の様な機体を用いて相手のミサイル陣地を直接たたく防衛力整備よりは中国を刺激しない。
疑問としてもつのは、アメリカ国防総省などは“議会報告中国の軍事力”というものを毎年作成し、その上で中国に対抗する為の防衛力整備の指針を示しています。手の内を見せないとして秘密主義に走るわが国と違い、手の内を示し相手に抑止力を突き付けています。
議会報告中国の軍事力、Webで公開されていますので頑張って英文を、最近は昔では考えられない程機械翻訳の支援が役立つ時代、これを読んだ上で陸軍2030計画や海兵隊将来構想2030などを読み比べますと、なんとかなる、という希望のようなものが見えるのだが。
日本の防衛力整備は、脅威をどのように認識したうえで防衛装備品の取捨選択、という論理が飛ばされています。この当たり、秘密主義として手の内を見せない事としているのかもしれませんが、どうしても公開されるのは民主国家故の毎年の予算と調達情報です。
予算と調達情報を見れば、これで中国軍は台湾海峡で事を越そうとしても自衛隊が何とかできる、とはとても思う事は出来ず、そもそも即応機動師団でさえ中国の中型合成旅団に対抗できるかが怪しい、即応機動連隊の能力と火力に限界を感じざるを得ない状況が。
福島第一原発事故の再来となるのではないか、いや原発が攻撃されるという近視眼的な発想ではなく、あの事故が発生するまで、電力会社には原発事故を起こさせないし発生した場合にも管理する技術が有ると信じていたが、実際にはそんなものは無かった事が在った。
安全神話、というべきものでしょうか、福島第一原発事故が起こるまで原発は管理されているという一種の安全神話が在ったように、防衛力についても自衛隊の防衛力で国土と国民の生活は守られるという安全神話を、国民の多くは信じていないか、検証もせずに。
防衛力を見るにしても金額が先行で中身も、そもそも中国軍事力とロシア軍の軍事力を具体的に検討し研究しなければ対策は立てられないはずなのですが、此処を無視し金額の議論だけが独り歩きしている様に危惧します。防衛力はもっと比較され検討されるべきです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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