北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

将来小型護衛艦の量的優位重視視点【5】 地方隊警備隊が装備すべき量産小型護衛艦

2016-06-05 20:00:58 | 先端軍事テクノロジー
■警備隊が装備すべき将来艦
 将来小型護衛艦ですが、基本的に水上戦闘艦としての任務を重視し要求仕様を画定すべきだと考えます。

 護衛艦いしかり、等を提示しましたが、例えばフランス海軍の通報艦として運用されているフロレアル級フリゲイトのような、法執行任務の延長線上としての任務を展開する性能要求とするべきではありません。フロレアル級通報艦は、自衛隊観艦式へ参加し横須賀でも一般公開されています。

 またフランス太平洋艦隊に所属する事から定期的に我が国を表敬訪問するため、我が国でもなじみ深い艦船ではあります。通報艦は、フランスが海外県と海外領土での洋上警備及び救難や領海排他的経済水域保全を主軸として低烈度紛争と対テロ非対称戦争への対処能力を重視したものです、護衛艦いしかり、と比較した場合ですが対潜能力をフロレアル級は有していません。

 フロレアル級通報艦は、その分、ヘリコプター運用能力を有しており最大でAS-332シュペルピューマ中型ヘリコプターまでを収容可能な格納庫を上部構造物に有します。しかし、フロレアル級はこの航空機運用能力により満載排水量が2900tと大きくなっていることをわすれてはなりません。

 フロレアル級、あぶくま型護衛艦と同程度となっています、航空機運用能力が、はつゆき型護衛艦と同程度なのですからこの大きさはある種当然と云えば当然なのですけれども、仮にこの規模の船体にボフォース対潜ロケット等を搭載した場合、満載排水量は3000tを越えてしまいます。

 満載排水量3000t、となってしまいますとこの大きさでは、別枠で建造が計画されるコンパクト護衛艦と重複してしまいますし、なによりも、任務区分は通報艦と類似する部分はあるものの、我が国の場合は低烈度紛争と対テロ非対称戦争への対処能力よりも本土直接武力侵攻という従来型の有事を想定しなければなりません。

 それ相応の重武装は必要となる訳です、反面、重装備を搭載しすぎる事で建造費が高騰しては肝心の数を揃える、という事が不可能となり本末転倒というものです。将来小型護衛艦は、格納庫を持たず、しかし飛行甲板を有する、沿岸部を中心に運用することで格納庫を地上に置く、こうした妥協策は有り得るでしょう。

 具体的には、護衛艦いしかり、後部甲板のうち艦対艦ミサイル発射筒の上面を覆う形で飛行甲板を設置し、スウェーデン海軍のヴィズヴィ級ステルスコルベットのミサイル発射筒配置方式ような船体一体化構造が理想であると考えます。性能面からは、逆にヴィズヴィ級ステルスコルベットの方式や、オランダ製シグマ級コルベットも理想的ではあるのですが。

 これらの建造費は護衛艦たかなみ型や護衛艦あきづき型に匹敵し費用対効果に見合いません、このため、護衛艦いしかり建造費はP-3C哨戒機と同程度の費用に抑えられて建造されていましたので、基本的に建造費用はSH-60K哨戒ヘリコプターとP-1哨戒機の中間程度、が望ましい。

 そこまで安く建造する事が出来なくとも、もしくはP-1哨戒機の建造費をおおきく上回らない程度、艦載兵装も、護衛艦いしかり同程度、ミサイル艇はやぶさ型に最小限度の対潜兵装を有し、護衛艦としての最小限度の任務意を遂行できる程度に抑え、という施策が必要と考えます。

 性能よりも部隊としての能力と規模を重視する、安価に建造できることを重視し、しかしその分、数を揃えられる、具体的には各地方隊に3隻から4隻程度を配備可能とする点を重視すべきです。数が十分備えられれば、確実に行動できる艦を確保し、基本戦術と運用体系を構成する事が出来るでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (2)
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