北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

北朝鮮がムスダン弾道ミサイル発射の兆候、自衛隊へ破壊措置命令発令!ミサイル迎撃部隊展開

2016-06-21 23:45:25 | 防衛・安全保障
■明日にも発射可能性,厳重警戒
 政府は北朝鮮が日本海沿岸に新型弾道ミサイル地上発射装置を展開させているとの情報を受け、自衛隊へ破壊措置命令を発令しました。

 これを受け、自衛隊は航空自衛隊及び海上自衛隊が中心となり、万一我が国へのミサイル落下となった場合に備え迎撃準備に当たっています。今回のミサイルに関する情報は、米韓により確認されているもので、潜水艦発射弾道弾ムスダンの移動発射装置が日本海沿岸に配備されているものとみられます。ムスダンは5月30日にも発射兆候があり、迎撃態勢を固めたところ実際に31日に発射され、日本海へ落下しています。過去の事例から明日にも発射の可能性が高く、厳重な警戒が必要です。

 破壊措置命令は、北朝鮮が日本本土上空を飛行させるミサイル弾道を選択した場合で、ミサイル本体、若しくは切り離した燃料タンク部分が日本国内へ落下する場合、迎撃ミサイルを発射し空中で爆破、ミサイルの推進剤として用いられる有毒物質や、ミサイルの弾頭部分を高高度で爆破し地上への被害を防ぐものです。即ち、破壊措置命令が発動する瞬間は日本国土へ落下している場合であり、迎撃を実施しなければ地上へ甚大な被害が生じる事を意味するものです。

 万一ミサイルが人口密集地へ落下する弾道を飛翔した場合、全国瞬時警報システムJアラートにより全国へ警戒警報が発令されます。自衛隊の迎撃準備としまして、航空自衛隊と海上自衛隊が展開中です。航空自衛隊はレーダーサイトでの弾道ミサイル飛来を警戒すると共に、全国の航空自衛隊高射群が射程15km、終末段階の弾道ミサイルを空中で無力化するペトリオットミサイルPAC-3を射撃準備態勢に移行しました。

 ペトリオットミサイル部隊は更に、東京都心部への落下に備え、防衛省本省が置かれる新宿区の市ヶ谷基地へペトリオットミサイル部隊を展開、海上自衛隊は射程1300kmの中間段階迎撃ミサイルスタンダードSM-3を搭載したイージス艦を海上へ展開させ、イージスシステムの高度な監視能力と併せ警戒に当たっているとのこと。

 また、弾道ミサイル防衛については、航空自衛隊横田基地の航空総隊司令部に日米のミサイル迎撃への調整所が配置され、同じ横田基地に展開する第五空軍司令部と緊密な情報調整を実施、在日米軍は終末高高度防衛ミサイルTHAADのAN/TPY-2レーダーを青森県の車力分屯基地と京都府の経ヶ岬分屯基地に展開中であり、ミサイル情報等で協力体制が強化されている事でしょう。

 北朝鮮は1998年に東北地方上空を通過した弾道ミサイル実験により国際的批判を集め、2006年の核実験及び弾道ミサイル実験を受け、国連安全保障理事会決議1695号が採択、全ての核開発及びミサイル関連技術開発の停止が決議に盛り込まれました、国連安保理決議には国際法としての法的強制力があります、こうした制裁が加えられている中でのミサイル開発と核開発を継続している実情は以上というほかありません。

ムスダン弾道ミサイルの実験を繰り返し実施し、全て失敗しています。これはソ連製潜水艦発射弾道ミサイルR-27/SS-N-6をコピーした新型ミサイルであり、既に完成している地上発射弾道ミサイルのノドンやテポドンと異なり、潜水艦からの発射能力を整備する事が目的と考えられ、潜水艦発射弾道ミサイルと、現在建造中であることが衛星写真などから解析されている弾道ミサイル潜水艦と併せ、アメリカ本土や太平洋地域における米軍基地への核攻撃を想定している事が分析できるでしょう。

 日本海沿岸へミサイルが漂着しています、鳥取県湯梨浜町園の泊漁港海岸で発見されたものは北朝鮮の弾道ミサイル部品であると報じられました。このように北朝鮮のミサイル実験の連続は一つの社会不安を醸成しつつあります。また、ミサイル実験の徴候が出るたびに迎撃態勢を執っていますが、この負担も非常に大きく、北朝鮮にはミサイル開発の中止と核開発の破棄が強く求められます。逆にこの二つを履行し、世界との関係を再構築してこそ、北朝鮮にはその労働力と勤勉な国民を活かした新しい発展の端緒に就けるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする