北大路機関

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榛名防衛備忘録:国際協力任務増大、護衛艦居住環境向上と通信教育体制強化の必要性

2016-06-13 07:00:34 | 先端軍事テクノロジー
■自衛隊長期任務への対応
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 イオナさんの写真と共に今夜から明日正午までのメンテナンス情報を掲載しました。さて。横須賀で一杯やっていますと護衛艦乗員の方々とカウンターで雑談となる事は多々ありますが、海上自衛隊の方にはサブカルチャーに理解のある方も少なくなく、その中でも“蒼き鋼のアルペジオ”は人気があります、いいなあ、というのは、あのイ401、私物持ち込み放題だし食事も自動で出てくるし艦そのものがダメコンからCICの自動情報処理までやってくれてすごく楽そう、とのこと。1クルーで交代要員がいませんが、あれならば長くやっていけそう、というお言葉でした。それほどではなくとも、イギリスの駆逐艦は兵員室にIpodドックがあるらしい、BARがある、など羨望の声を耳にします。

 そのイギリス海軍の方が海上自衛隊の海洋安全保障シンポジウムにて語られたお話で、ソマリア沖海賊対処任務の派遣について触れ、海上自衛隊の護衛艦は水上戦闘艦であり、居住性を重視した外用哨戒艦のような艦船を整備した方がよいのではないか、という話題がありました。45型駆逐艦では極力乗員を個室、士官は最大限個室でそれ以外は下士官も個室、兵員室も少人数部屋を重視しているとのこと。

 フランス海軍のミストラル級強襲揚陸艦なども兵員室に客船設計を応用した設備を配置し、個人用居住区画などはフランス陸軍の陸上設備よりも高度な物が付与されているとのことです。もっとも、海上自衛隊も掃海艇などをみますと一人部屋といいますか、居室に名札が一枚、という個室の艦艇が存在しますので、居住設備は一概に過酷、とはいえないのかもしれませんが。

 ただ、護衛艦は、むらさめ型が少人数区画を多数配置していたのに対し、たかなみ型から大人数区画少数へ再編していますので、個人空間の確保という意味では険しい状況となっています。二段ベット方式の護衛艦が増えていますが、カプセルホテル方式程度の個人区画を設け、もちろん二段ベットのように乗員増大に応じ三段化することができない難点はありますが、施錠できずとも乗員環境に配慮した設計が、護衛艦の長期任務が増大する昨今、真剣に検討されるべきでしょう。

 自衛隊の海外派遣任務増大や、統合機動防衛力整備に関する待機部隊増大は、教育課程に通信教育の導入を必要とするようになるやもしれません。アメリカ軍では1990年代初頭から通信教育体制の拡充に努めてきまして、これは海外勤務要員の増大にたいして集合教育を行う限界が生じたための措置でした。もちろん、レンジャー課程などは通信教育にて行うことができませんし、調査学校が実施する一日17時間英語漬けというような語学教育を行うことは、部隊勤務と両立して行うことはできないでしょう。

 しかし、PCによる自習室方式の教育課程、電子通信回線の近代化は双方向遠隔教育を実現しており、すべての課程ではなく可能な分野に限定するという形で、たとえばMOSなど特技課程の座学を可能な限り通信教育により対応し、検定などの実技を絶対必要とする場合のみ、教導隊巡回協力や一日の集合教育などで対応できるやもしれません。しかし集合教育は人員と任務の増大に不均衡が生じている現状にはある程度解決策となるのではないでしょうか。

 現時点では通信基盤を構築する新しい予算をこうじるほどではなくとも、任務は着実に増大し人員は確実に減っていることは、過去十年間の任務増大や部隊増大などをみれば納得できるところ。また、零細時間の有効活用という意味から、課業時間でも駐屯地での待機時間がある場合に、二時間単位で録画教育映像を用いて教育を受ける体制があるならば、部隊全般の能力強化へつながると考えます。

北大路機関:はるな くらま
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