先週の講演会の後、改めて削ろう会会報を読み直してみた(58号~60号)
講演会で、聞き逃した点が詳しく載っていたので、おさらいの意味も含め、
紹介しておこう。
1.鉋台の芯材となる集成材部分は、初期の物が2~3枚の貼り合せ、
その後3cm巾のものを10~12枚の貼り合せ、
上下の接着位置はずらす逆目の向きは揃えておく。接着は木工ボンド
2.ステンレスパイプを仕込んだ以降の接着は全てエポキシ系接着剤
ボンドEセットMを使用
3.木端方向にも補強と縦方向の曲がり防止で、パンチングメタル2枚、又は
使用済みのゼットソーを切断した物を入れる。
4.アロンアルファを全面にしみ込ませ、乾燥サンディング後エポキシ樹脂を
拭き漆のように全面にすり込む。
乾燥、サンディング後、ウレタン塗装を削り面以外に施す。
5.台が狂った時は、通常の様に表なじみの高いところを削らずに低い所にエポキシ樹脂
を塗って盛り上げる。
製作時の面を維持し続けて台を減らさない。
この様にして製作されたのが下の画像:外側の仕上材は枇杷の木。
その他、新潟のK久さんが見えられており、ご自分の作られた鉋の削り具合を
チェックされておられた。
どうも納得のいく削り屑があがって来ず、刃の出来栄えのせいか非常に心配
されていていると、すかさず別の大工さんが台の具合をチェックし次の様な事を
指摘された。
○刃先側の押さえよりも上の方の押さえが効いているので、鉋を挽く時により強く
上から押し付けてしまうので、屑がかすれた様になってしまう。
仕込みを良くすれば、もっと良い屑が上がってくるはず。
○巾方向がぴったり過ぎて、このままだと台が割れてしまう。
それを聞いたK久さんは安心されたのと同時に瞬時にそれらのポイントを
見抜かれた大工さんを非常に感心されておられた。
噺家さんの様に非常に聞き取りやすい口調で説明されていたので、
いつの間にか周りに大勢の人だかりが出来ていた。他にも、
○鉋身の長さについても、あまり頭部分を長くすると台に刺さっている
部分とのバランスが悪くなり、刃先に少し抵抗があると、てこの原理で、
振動が増幅され波打ってしまう。
○削っている感触がダイレクトに伝わる薄台では、よりこのブレが出易いので、
頭が短い方が良い。
○頭が短い刃の欠点としては、裏を押す際に地金部分を砥ぎすぎてしまい、
仕込みが変わってしまう事(押さえ溝に納まる部分)
○鉋の刃はクサビ状になっている為、刃を刺したまま馴染ませておかないと
狂いが出易い等々。
実を言うと、しばらく鉋を触らない内に台がすっかり縮んでしまい、前日には
刃が全然出ない状態だった。何とか削れる状態に仕上げて、当日削ってはいたが、
上の指摘に有るように、屑は波打っていたし、巾も利きすぎてひび割れが少し
入っていた。
集成台に臨む前にもっと基本的な所からやり直さなければならない様だ。