オミクロン 株 BA.5 になって今まで以上にワクチンの有効率が
低下していると言われています。
でも、日本のデータがないので、どのくらいの有効率があるのか、
ワクチンを打つべきなのかどうか、科学的なバックグラウンドがない
議論ばかりで困っています。
今回、国立感染研究所が、「新型コロナワクチンの有効性を検討した
症例対照研究の暫定報告(第四報):オミクロン株(BA.1/BA.2およびBA.5)
流行期における有効性」を公表しました。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2484-idsc/11405-covid19-999.html
ファイザーおよびモデルナワクチン(交互接種を含む)についての
検討ですが、対象が1500名程度と少数であるという制限があります。
図の左側がBA.1/BA.2流行期で、右側がBA.5流行期の結果です。
BA.5 に対する感染症予防に対するワクチン有効率は2回接種後5ヶ月以降では35% 、
3回接種14日-3ヶ月では65% 、3回接種後3ヶ月以降では54% でした。
調整オッズ比を元に
2回接種と比較した3回接種の相対的なワクチン有効率を算出したところ、
3回接種14日-3ヶ月では46% 、3回接種後3ヶ月以降では30% だそうです。
この数字をどう評価するかは意見が分かれると思いますが、ワクチンの3回目接種は
効果はあるものの、最初のころの効果ほどではないと感じます。
BA.1/BA.2流行期では、調整オッズ比を元に2回接種と比較した3回接種の相対的な
ワクチン有効率を算出したところ、3回接種14日-3ヶ月では49% 、3回接種後3ヶ月以降では
46% だったので、
BA.1/BA.2に比べてBA.5に対する現在のファイザー/モデルナワクチンの
感染予防の有効性は低下しているものの、全く効果がないわけではないと思います。
今回の検討は対象症例が少ないので、今後の検討が必要でありますが、コロナ感染が爆発的な
状況ではある程度の効果はあると言えますが、ワクチンに過信はできません。
さらに、ワクチンの重症化予防効果については今回は検討されていないので、
今後の追加研究が必要です。
「オミクロン株を含めた変異株に対応したワクチンの早期の開発および導入が待たれる。」
という結語は全く同感です。
最近はいろいろな議論が巻き起こっていますが、こうした日本のデータの蓄積と
現在進行している発熱外来の状況を見ながら、今後のコロナ対策を決めて欲しい
ものです