HALクリニックの診察室から

Human Active Life…新潟で心臓血管外科のクリニックを開設した医師のひとりごと

人口あたりの医師数 新潟県はまだまだ少ないが東日本はどの県も少ない

2024-04-11 18:42:15 | 医療
 厚労省で、令和4年度の医師数の統計が発表されました。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/dl/R04_kekka-1.pdf





 この発表を受けて、新潟日報は「本県医師数 全国44位」
「前回より順位を下げる」という記事を書きました。
確かに順位だけ見ると人口あたりの医師数は全国平均を下回っています。






 全国のデータを見ていると違うことが見えてきます。
確かに新潟県の医師数は少ないですが、新潟県と同じくらいの県は図の左半分の
東日本、特に東北地方は軒並み医師が少ないのがわかります。
これに対して図の右半分の西日本は押し並べて医師数は多いです。
医師数が断然多いといわれる東京でさえも、西日本にはそれに匹敵する県が
多いは驚きです。

 医師数の西高東低と言われています。医療費の総額も東日本より西日本が多い
理由が医師数にあります。
都市に医師が多く地方に少ない、だけでなく西日本に多く東日本(特に東北地方)に
少ないという、医師の偏在が見えます。

 新潟日報の記事は、新潟県のことばかりの近視的な視点であり、もう少し
全国的な視点を加えて書いた方が医療の現状がわかると思います 



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「マイナ保険証」利用率が上がらないのはその利点を感じられないから!

2024-04-10 21:08:27 | 医療
「マイナ保険証」利用率を上げるために、利用者が増えた病院に対して一時金を支給する方針が
出されていますが、不評なようです。
現在の「マイナ保険証」の利用率は5%程度で推移して、なかなか増えてきていません。







 当院でも「マイナ保険証」を使う患者さんは日に数人で増えていません。
「マイナ保険証」利用率をあげつために医療機関側が患者さんに利用を
お願いしということなのですが。

 そもそも、政府が提唱している「マイナ保険証」の利点について国民は
便利さを感じていないから紙保険証で十分となっているわけです。
そんな患者さんの「マイナ保険証」利用を増やしたいなら、医療機関が
宣伝するよりも政府が国民に「マイナ保険証」の利点や便利さを納得して
貰わなければなりません。
そもそも、大部分の患者さんは従来の紙保険証をお使いですが、患者さんも
クリニックも特に不便はありません。

 政府の姑息的な「マイナ保険証」使用促進方法はもう足元を見られていますから
止めて、12月の紙保険証の廃止まで粛々と診療させてもらいたいです 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

増えた研修医を指導して、新潟県の医療の現場で活躍できるように育てなければ!

2024-04-05 21:33:59 | 医療
 新潟県内の研修医が過去最多の161名になったというニュースがありました。
個人的には大学病院時代に臨床研修の委員をやっていて、新潟県内の研修医が
増えないので、いろいろ対策を立ててもなかなか増えずに頭を抱えていました。
東京など大都会の病院志向が強かったのですが、新潟県の研修内容が認められたのでしょうか。





 新潟県は「医師不足」ですが、裏を返せば一人の医師が診療する患者が多い、
ということになります。
そのため、新潟県内の研修医は東京の研修医よりも「経験できる症例数が多い」と
いう利点にすることができます。
指導医が適切な指導に努めれば、研修医が早く専門医になるための症例数をクリア
できることになります。

 長い間、新潟県内の医療機関では忙しい臨床の中で研修医の指導を続けてきました。
その努力が実を結んだのでしょうか?

 研修医をシッカリ指導して、新潟県の医療の現場で働く人材に育てることが
今一番必要だと思います 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

50歳の元女子アナの医師国家試験合格のニュース でも、見方によっては

2024-03-28 18:40:47 | 医療
 歳の元女子アナの医師国家試験合格のニュースがネットにお祝いムードで報道されていました。






 職業の自由があるし、何歳になってもチャレンジできるということの素晴らしさの文脈で
お祝いムードですが。
個人的は意見として、違う側面もあることを一般の人も知って欲しいと思います。

 医学部6年間の医学教育には学生の払う授業料以上に国からお金が投入されています。
国立大学だけでなく、私立大学でも。
医師を作ることは多額のお金を投入しなければならないプロジェクトと言えます。
だから、卒業後長く働いて医療を支えて欲しいという願いがあります。
50歳で卒業して医師国家試験に合格した時点で、20代の人に比べて働ける時間が
25年前後も短いことになります。
さらに、卒業して医師国家試験に合格して医師免許を得れば、すぐに戦力として
働けるわけではありません。
2年間の臨床研修(前期)が必要であり、その後も後期研修や専門研修があり、
1人前の医師になるまで10年くらいかかります。
つまり、50歳の新人医師が診療の現場で一人前として働けるのが60歳前後ということになります。
この年代の医師は、激務の勤務から無理しないセカンドライフへ転換する頃です。
ちなみに小生も50代半ばで病院の心臓血管外科の第一線から開業医として
働き方を変えています。

 もし、この方が10年後に一人前の意思として医療の現場で患者さんの診療をして
医療を支えていれば立派なニュースとなりますが、50歳で医師国家試験合格だけで
ニュースにするのは違和感があります。
 医師不足といわれているなかでは、戦力となる若いドクターを育てることが
求められています。
ご本人はチャレンジしたということで満足されているのはわかりますが、
医師免許を持ったタレントにはなって欲しくはないと思います 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月から始まる医師の働き方改革の影響は?

2024-03-25 21:24:53 | 医療
 来週から4月で、いよいよ「医師の働き方改革」がスタートします。







 以前からブログで書かせていただいていますが、「医師の働き方改革」は
医療資源から見ると「医師数の減少」になります。
超勤・時間外勤務で補っていた仕事の分ができなくなるので、今までの医師数では
できない仕事が出てきます。
実質的には「医師数の減少」と同じことです。
今までの仕事を維持するには、医師数を増やすことが必要ですが、医師不足の中
増員できる病院は少ないです。
医師が偏在化しており、東京などの大都会では医師数が多いですが、
地方では医師そのものが少ないので、増員どころではありません。
もし、増員できても医師数を増やすことは病院の経営で人件費が増えることになり
経営を圧迫することになります。

 医師でなくてもできる仕事を医師以外のスタッフに任せるタスクシフトが
試みられていますが、まだまだ不十分です。


 さて、4月からは病院の医療体制がどのようになるのか、クリニックとしても心配です。
救急外来での受け入れは大丈夫? 
外来受診までの時間が伸びないか?
手術までの待ち時間が今までよりも長くならない?


 患者さんも今までよりも不便になることも理解して、受診・治療をしなければ
ならない時代が来るかもしれません 



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする