ジャクソン・ポロックという画家は知らなかった。
実は、どこかの駅で今回の「ジャクソン・ポロック展」の広告を見てはじめて知ったのだ。
美術展は昔から好きで、興味を持ったらホイホイと、軽い感じで、即、観に行くことにしている。
今回興味を持ったのは、告知ポスターを見て「なんか洒落た感じだなあ」と思ったことと、WEBで紹介されていた「インディアンレッドの地の壁画」という絵からヴァンヘイレンのギターをイメージしたからだ。
ピカソから影響を受けているという。
色が綺麗だと思った。
「トーテムペンシル」という鉛筆に線画の入った作品があった。
売店でレプリカを販売していたら買いだな、と思っていたが、それは売られていなかった。残念。
特に1943年~46年の絵が好きだ。
ポロックは醜く見えることを恐れない。
深い独創性を持った芸術はいつでも醜く見えるものだ。
(クレメント・グリーンパーク)
僕には全然醜くなんて見えなかった。
ポロックが「1枚お前にやるよ。」と言ったなら「ブルー・白鯨」か「月の器」をもらおうと思った。
大学生の頃、テレビでロートレックの「赤い風車」という映画を観た。
その映画の中でロートレックに、歯ブラシに付けた絵の具をはじいて色を塗る技法を教わった。
その頃は年賀状を今のようにパソコンで一気には作れなかったし、プリントゴッコでさえ高価だったので、1枚1枚心を込めて手書きで書いたものだ。
僕はロートレックに教わった技法で美しい年賀状を何枚も描いた。
ポロックの好む「ボーリング」という技法とは少し違うけれど、絵を観ていてそんなことを思い出した。
クリエイティブな時代だったなあと思う。
1947年以降の作品は、「書」のような作品が多い。
当時の制作風景の写真や映像などを見ると、キャンバスを床に置いて描いている。そんなところも書道のようである。
後期は黒い作品が多くなるが、その少し前の作品にこういう作品があった。
屏風に描かれた百鬼夜行のような作品。落ち着いていて発色の綺麗な作品である。近くで見ると、小石がキャンバスに貼付けてあって、その上から絵の具が塗られている。焼け跡のようでもあり、腫れ物のようにも見えて、嫌悪感を感じる。
今回の僕の中の優勝はこの作品であるが、決して欲しいとは思わなかった。
絵の中にいるとき、私は自分のしていることを意識していない。
「知り合う」ための時間を過ごした後、やっと私は自分のやっていたことをわかるようになるのです。(JP)