はぎやまのりへいの日常

読書、映画、美術展、そしてキャリア教育。
好奇心と愛で書き綴ります。

Vol.285 バルテュス展

2014-06-21 06:09:13 | 芸術




バルテュスについて予備知識のないまま美術展に。
知っている作品はポスターに印刷された少女と猫の絵だけ。

「金魚」
「地中海の猫」
の絵があるコーナーまで来たところで、
頭の中に二人の人物が浮かんだ。

植田正治
江戸川乱歩

何が植田正治の写真や江戸川乱歩の小説をイメージさせたのか。

今回の美術展の目玉でポスターやフライヤの告知ツールに紹介された
「夢見るテレーズ」のように少女と猫がモチーフとなった作品が多いこと。
少女の未成熟な感じと危うさ、脆さ。
描かれる人間の、頭でっかちで痩せっぽちで、
手が長く、足が短い、そのバランスの悪さが、なぜか懐かしさを感じさせる。
古い写真に写る日本人を連想させるのだろう。
そしてその色調。
それで植田正治と頭に浮かんだのかも知れない。

未成熟な中にある精神的なエロ。
あるいは未発達な精神と成熟した身体のバランスの悪さにあるエロ。
バランスの取れていない体型が連想させる「奇形」。
日常でありながら茶色い画面の非日常性と、
猫の表情に顕われた無関心、あるいは残虐性。
画家の意図とは関係なく絵画上に浮かびあがるエログロの印象に、
江戸川乱歩をも思い浮かべてしまったようだ。