はぎやまのりへいの日常

読書、映画、美術展、そしてキャリア教育。
好奇心と愛で書き綴ります。

Vol.313 David Bowie is

2017-01-28 14:27:21 | 音楽


ムラカシくんという同級生がいた。
ムラカシくんはお洒落で女子にモテて、生徒会長だった。
キッスや ジャパンやクイーン、ビリー・ジョエルなどの洋楽を小学生の時から聴いていて、エレキギターを上手に弾いた。
僕はそんなムラカシくんに憧れていて、ムラカシくんになりたくて、彼が聴いていたRCサクセションの曲を練習した。

大学生の時、アルバイト先の喫茶店にコーノちゃんがいた。
コーノちゃんは2枚目で無口で、ギターを抱えたままこたつに入って、レコードを聴いていた。
YouTubeとかのない時代、音楽を聴くのはレコードだった。
2,800円もするレコードを簡単には買えないので、貸しレコード店で350円で借りてきて300円のカセットテープにダビングした。
その貸しレコード店とカセットテープのお金もバカにならないくらい慢性的にビンボーな少年は興味がある音楽全てを聴くことなんてとてもできなかった。
だから僕はボブ・ディランもストーンズもジミ・ヘンもビートルズだってほとんど聴かずに育った自称ロック少年だった。
だけど本物のロック少年だったコーノちゃんはレコードを山のように持っていた。
僕はT-REXもドアーズも、そしてデヴィッド・ボウイもコーノちゃんちのレコードで初めて聴いたんだ。

大学生の僕はデヴィッド・ボウイを俳優だと思っていた。
中村雅俊や水谷豊のように俳優が本業で、企画で歌も歌う人だと思っていた。
何というロック少年だったろう。

ティンマシーンで来日した時は、会社の同僚に誘われたけど、観に行こうなんて思わなかった。

MTVでよく放映された「リトルワンダー」が気に入って、「アースリング」というCDを買ったのをキッカケに新しいアルバムから古いアルバムからよく聴くようになった。
今もやっているバンドで「ジギースターダスト」を演奏するようになった頃には、すっかり昔からデヴィッド・ボウイの熱烈なファンだったような気がしていた。
リアリティツアーで来日した時は当たり前のように観に行った。
デヴィッド・ボウイが出演している映画を観て、David Bowie is大回顧展に来て、やっぱり僕の知らないデヴィッド・ボウイがいるなあとあらためて思うのだった。



Vol.312 首折り男のための協奏曲

2017-01-02 09:28:57 | 



この本は、2016年最後に読んでいた本であり、2017年の最初に読んだ本でもあり、そして2017年最初に読み切った本である。
ということで、明けましておめでとうございます。

登場人物のキャラクター、場面など、いくつかの限られた条件があって、その条件に合うように物語を考えるという方法というのがあるな、というのが最初に思った感想。

実は読み切り短編をまとめた本なののだが、一番最初の短編で首折り男は殺されてしまう。
外傷はなくて死因は心臓麻痺かも、とあるので思い出したのが別の伊坂幸太郎の小説に登場する「スズメバチ」という殺し屋グループ。
もしかしてスズメバチのうちの一人は首を捻られて殺されたのだったか?
なんて思って、この小説を読み終わってから、別の出版社から出されている、スズメバチやら殺し屋たちがたくさん登場する小説に該当部分を探してみたけれどはっきりしなかった。

別の小説に脇役で登場した登場人物が主役の小説が書かれることで、
伊坂幸太郎の小説の中に世界が生まれる。
そしてそれは年を経るごとにどんどん広がっていく。
クトゥルフの神話は不特定多数の作家による世界だけど、同じように伊坂幸太郎の小説の中にも一つの世界があるな、というのが次に思ったこと

昨日、1月2日に見たばかりの初夢を絵日記に書いた。
自分が見る夢にはよく出てくる「場所」や「シーン」がある。
それは高速道路のパーキングだったり、駅ビルを挟んで複雑に入り組んだ関西方面のどこかの駅だったり。
池袋サンシャインシティに続く地下街。
10階建ての7階くらいに事務所があって、言うことをきかない気まぐれなエレベーターが設置されたオフィスビル。
山に囲まれた田舎の町内に不自然に存在する一流シェフの店が集まったグルメストリート。
入り組んだ作りの中にたくさんの隠し部屋を持ち、複数の世帯が同居する一軒家。
山の麓に立っていて、台所は土間で、風呂が家の外にある古い民家などなど。
現実にある街がデフォルメされている場合もあれば、全くの創作の場合もある。
そうした、夢によく登場する場所たちを思い出して紙に書き出して、その場所たちに因んだ物語を書いて綴っていったら面白い小説になるかな、というのが3番目に思ったこと。

伊坂幸太郎が書くような小説が書けたらいいのにな、と思って嫉妬しながら読んでる。