はぎやまのりへいの日常

読書、映画、美術展、そしてキャリア教育。
好奇心と愛で書き綴ります。

Vol.343 WAKUプロデュース「Birthday 2018」

2018-12-22 14:25:55 | 芝居



アルバイトのリンちゃんのお芝居を観にいくのは3回目。

一番最初は、正直なところ、
お付き合いで観に行ったのではあるけれど、
あまり調べずに行ったこともあって、
期待した以上に面白くて、
そしてグッとくる、
泣かされるお話だった。

2回目は
もちろん行くよ!と即答で、
今度は期待して観に行ったのだけど、
期待していっても期待以上で、
そしてやっぱり、
泣かされてしまった。

そして昨日が3回目。
今年は家族を連れていけたらいいな
と思ったけれど、
うちの奥さんはこの時期、
年末の出荷で忙しくて、
子どもたちもやっぱり忙しくて、
お父さんみたいに暇じゃないんだよ、
と言われて、
いやいや俺だって忙しいけど、
うまく調整して時間を作ってるんだよ、
それだけの価値はあるぜ、
と反論したものの、
結局は調整がつけられなくて、
そして今回も一人で観に行った。

涙をグッと堪えている顔を
見られるのが嫌だから、
一人の方がいいや。



なんで家族に観せたいのかといえば、
それは、
いつでもテーマに家族愛があるから。

それもそのはず、
本を書いているのは
ちびまる子ちゃんの声を演じている
あのタラコさん。

そしてタラコさんの劇団の
俳優さんたちが皆さん、
当たり前だけれど芝居が上手で、
そして味がある。

ちょっと年齢設定に
無理があるときもあるけど。


やっぱり毎回出演しているのが
伊藤つかささん。
伊藤つかささんと言えば、
昭和40年生まれの自分には、
中学時代のドンピシャな
アイドルではあったけれど、
中学時代は特になんとも思ってなくて、
むしろ今の方が良いかな。

歳をとるごとに、
魅力を増す女優さんていますよね。


リンちゃんも、
今は若いけれど、
上手に歳をとって欲しいなと
思うのでした。


で、
今回のお話ですが、
今回は千葉の田舎のホストクラブのお話で、
やっぱり愛と家族愛が
芝居全体に溢れている。

やば、泣く、
と本気で我慢したのが3回。

我慢できなくなるなる寸前で
シーンが変わって、
俳優さんたちが笑わせてくれる
そのタイミングが絶妙で、
絶対計算されてるなこれ、
と思った。


Birthdayとは、
生まれた時だけが誕生日じゃなくて、
人はいつでもやり直せる、
何かに気づいたり、
変わったりしたその時も
ある意味誕生日という意味であるけれど、
実は輪廻天生、
生まれ変わる
という意味も込められていたと思う。

タラコさん演じる
動物なのか精霊なのか
なんかわからないものが
「また、会えるぞ、コラ!」
と何度も叫ぶ。

それは劇の中の
おばあちゃんに対するセリフなのだが、
きっと大切な人たち、
例えば今年亡くなってしまった
ちびまる子ちゃんの原作者
さくらももこさんに向けての
セリフだったりするのかも知れない。


自分も良い歳になって、
大切な人たちを何人も見送ってしまった。

「また、会えるぞ、コラ!」




次回ブログ予告


う〜ん、
いよいよ未定。


Vol.310 遠野物語・奇ッ怪其ノ参 

2016-11-09 21:42:02 | 芝居


〈遠野物語・奇ッ怪其ノ参〉


物語には必然性がある。

貧しさや、家族の恥や、犯罪や、
都合が悪いことは物語によって正当化されて、
そして民は生きることを赦されたのだ。

遠野には2回行った。
最初は家族で。
まだ次男は生まれていなかった。
カッパ渕には自動音声ガイドの機械が設置されていて、
遠野の駅の周りはすっかり観光スポットになっていて、
何枚も河童のクゥのポスターが貼られていた。

2度目は仕事のつながりのある人たちと、
曲り家に宿泊して勉強会を実施した。
カッパ渕に向かう途中にホップの畑があって、
こんなところでホップが作られているのかと思った。

人々は生きるために工夫をして、
村はどんどん標準化されて、便利になって、
貧しさを克服して、そして物語は失われていく。
それはある意味で仕方がないことだけれど、
完全に失われる前に、記録を残さなくてはならない。
まったくその通りだ。

奇ッ怪なことには悲しみや憎しみや苦しみやいろんなことが隠されている。
怪しいことは怪しげなままでいい。

みんなで宿泊した曲り家の大部屋の片隅に小さな部屋があって、
何だろうと思ってそっと覗いて見たら、
一組の布団が敷かれていた。
宿の人に理由を問えば、もっともな答えが返ってくるのだろうけれど、
「座敷わらしのための布団だな。」ということにした。

朝起きて、外に出て、霞が立ちこめる山々を見ると、
まだあの辺りには神々や山人や、人ではない何かが住んでいるのだろうという気持ちになった。

Vol.289 ヒトハヒトダネ~Switch2014~

2014-12-08 07:53:46 | 芝居


僕が勤務する聖学院大学の卒業生で、広報課でアルバイトをしてくれているリンちゃんの、本業のお芝居を観てきた。

ちびまるこちゃんのTARAKOさんが作・演出でもちろん出演もしている。

八重歯がトレードマークで金八先生にも登場したの80年代のアイドル伊藤つかささん、気象予報士としても著名な木原実さん他、実力派揃いの豪華なキャストで楽しいお芝居だった。

すでに公演が終了しているので、内容を少し書くと、

「ロボットをつくる」「アンドロイドをつくる」という言い方は違えど同じ夢を抱いた仲良し同級生。
時を経て、その夢をかなえた二人。
一人は ピヨゾーハッピーカムカムというロボット販売会社の社長に、そしてもう一人は ショーゾーラッキーゴーゴーというアンドロイド販売会社の社長になっている。
しかし、「初恋の人との恋愛を成就させる」という本当の夢を叶えられなかった小三(ショーゾー)は、比良三(ピヨゾー)に初恋のじゅんちゃんそっくりのロボットをつくってもらう。

TARAKOさん演じる独身で中年の寂しい女性、角田さん。
角田さんの経営するお店の従業員で密かに想いをよせていたリンタくんが結婚することになり、自分も家族がいて幸せなんだというところを、リンタと花嫁に見せようとアンドロイドをレンタル。
それが小三のつくったアンドロイド。
だんなさんを演じさせようとした くれるくん は「◯◯してくれる?」と語尾に「くれる?」をつけると言うことを聞く。
息子の役 見下ろすくん は背の高いアンドロイドでずっと下を向いて、人をバカにしたセリフを言う。
首をあげると壊れてしまうらしい。
そして娘役 悲しい女かなさん は不自然な和服姿でののしられるとスイッチが入る家政婦アンドロイド。
とても出来がいいとは言えないアンドロイド達だが一緒に生活しているうちに心が通じ合い、本当の家族へとなっていく。

リンタは実は小三の弟。
大吉、小三、中二、高一、そしてリンタの男5人の兄弟。
両親はすでに二人とも他界している。
すぐ上の兄、高一は自分のせいで母親が死んでしまったと思い込み、後悔の気持ちを抱えて生きているマザコン。
長男の大吉は結婚に失敗した経験があり、もう二度と結婚なんかしないと思っている。
そしてそんな大吉に想いを寄せ続ける小三の同級生のみどり。
そんな相川家に比良三のつくった人の心を読む不思議なロボット イーオ がやってくる。
そして、家族の中の誤解やわだかまりが解決されていき、さらに家族の絆が深まる、
そんなお話。
ロボットやアンドロイドが登場するけれど、
SFではなくて家族や愛や友情のお話でした。

僕は芝居を観ながら、
高校生の時に、自分がどんな夢を抱いていたのかな、ぼんやりと思い出していた。

大学生になって、東京に出ることが楽しみだったけれど、
将来何をつくりたいとか、どんな職業につきたいとか、
そんな具体的なものはなかったなあ。

根拠も何にもないけれど、自分には才能とか素質とか言うものがあって、
それを誰かがきっと見つけてくれるはず、と思っていた。
夢は誰かが叶えてくれるものだと。

家族もそう。
僕の家は父親が家族が大好きで、
家に帰ってくると、「ただいま」という前に、
「お母さんは?」「子どもたちは?」と言うような人だった。
僕の中では家族は温かいもので、
いつもあるものだった。

やがてできる自分の家族だって、
きっと自然にできるんだろうと思っていた。

でも手を挙げなきゃダメだとだいぶ年をとってからわかった。
手を挙げなきゃ誰も気づいてくれない。
自分も自分で何をすべきか気づかない。

将来も夢も何も見えないなら、
見えるところまで歩けばいい。

歩いていったらいろんなものを見つけた。
いろんなものの中には夢や幸せも含まれていた。


芝居の中で、登場人物の心の傷を癒してくれて前を向かせてくれるのが、じゅんちゃんや、くれるくんや見下ろすくん、そしてイーオといったロボットたち。
彼らを通して見えてくる友情や愛。
それはドラえもん的でもありちびまるこちゃん的でもある。
くれるくんはまさしく藤子不二雄のマンガのキャラクターのようだった。

そうそう、リンちゃんはリンタの花嫁さんの役で、ウエディングドレスを着るシーンもあり素敵でした。