はぎやまのりへいの日常

読書、映画、美術展、そしてキャリア教育。
好奇心と愛で書き綴ります。

Vol.302 FOUJITA

2015-11-29 07:44:48 | 映画



夢を見た。

さびれた町の小さな駅の近くに廃墟となった交番がある。
街灯の柱が立っていて貼り紙がしてある。
この建物は警察官が定期的に巡回しています、という意味のことが書かれている。
思えば、夢の中で文字を読んだのははじめてだ。

夢を見た翌日、
映画「FOUJITA」を観た。

夢の中で聴いたような音楽が流れていた。
夢のようなパリの風景、
仮装をしてお祭り騒ぎをするシーンは少し残念な気がした。
黒澤明の「夢」の狐の嫁入りのシーンの妖艶さを思い出していたから。

この映画、前評判はいろいろあるらしいが、僕はニュートラルに楽しんできた。

藤田嗣治は実在の画家だけれど、映画はドキュメントではない。
監督が解釈した藤田像、藤田の時代を表現すればそれで良いんだと思う。

みうらじゅん と いとうせいこうのザ・スライドショーにオレの◯◯というシリーズがあるが、
オレのふじた、オレのパリ、オレのモンパルナスでいいんじゃないかと。

僕にはわりとイメージ通りのカフェだった。
以前はああいう世界に憧れたけれど、
飲んでバカ騒ぎするのは疲れそうで、もう無理、とか思いながら眺めてる。

思いがけず藤田に絵をプレゼントされて、小躍りして喜ぶ女性。
サザエさんみたいだなと思った。
サザエさんはモダンガールだからフランス人女性の影響を受けてるんだな。

華やかなパリ時代の前半とうって変わってどんよりと重い後半の戦時中の日本の映像。
どんなメッセージを受けとめれば良いのだろうととまどい、そしてスッキリしないままに映画は終わる。

映画館が明るくなり席を立つ。
お客さんは僕以外は年配の女性3人だけだった。




Vol.301 村上隆の五百羅漢図展

2015-11-22 07:19:38 | 芸術



都内で予定があった日のスケジュールを調整し、六本木まで足を延ばして村上隆の五百羅漢図展を観てきた。

夜の10時まで開催しているので仕事が終わってからでもなんとか間にあう。
平日の夜で、しかも少し雨が降っていた日なので、混んでなくて良かった。
さすが六本木、カッコイイお客さんが多い。
せが高くスタイリッシュな外国人の夫婦。
顔が小さくて手足が長い日本人(なのかな)の若いカップルは絶対二人ともファッションモデルやってるでしょ。

「白虎」「青龍」「玄武」「朱雀」の4枚の五百羅漢図をはじめ、大きな作品が多い。
そして作品のもの凄さは大きさによる迫力ももちろんであるが、ディテールの緻密さである。
展示の途中で作品の制作プロセスを紹介するコーナーがあり、作品に対するこだわりが理解できる。

五百羅漢とは仏典の編集会議の第1回目と4回目に集まった500人の聖者のこと。
500人のキャラクターが描きわけられている。

村上隆氏と言えば、2010年の「GEISAI#14」に参加させてもらった。
http://blog.goo.ne.jp/hagiyamanorihei/e/e0c3c076cb3edee55c731f9ccf23de30

僕と長男とでサインペンで描いた妖怪画を中心に展示したのだけれど、
五百羅漢図には妖怪ではないが、水木しげるの本などでは妖怪の一種のように登場する、
霊獣や神獣、赤鬼、青鬼などの絵が展示されている。
あたりまえだが、そのレベルの違いに「すいませんでした」と心の中でつぶやくしかない。


村上隆と岡本太郎のコラボを自宅の本棚で実現。