はぎやまのりへいの日常

読書、映画、美術展、そしてキャリア教育。
好奇心と愛で書き綴ります。

Vol.224 日本でいちばん大切にしたい会社

2012-09-21 18:02:36 | ビジネス
私の勤務する聖学院大学の学長がおススメする本。

会社経営とは「五人に対する使命と責任」を果たすための活動と定義し、その第一に「社員とその家族を幸せにする」と書かれたこの本を薦める学長の下で働けるのは思えばすごく幸せなことだと思う。



 「誠実でありなさい。」「嘘をついてはいけません。」「ルールを守りましょう。」という教育を幼少の頃からずっと受けてきて、大学を卒業していよいよ社会へ出る。
 会社に入り、教えられてきたとおりに一所懸命、誠実に生きていこうとすると、自社の商品を売るために、自社の利益のためには嘘をつけと教えられる。
 「誠実なんて甘いことを言うな。」
 「ベストの商品を売るのなら営業なんていらない。何のための営業だ。」
と、当時の上司はそれが常識だろと言わんばかりに私を叱った。

 「何だか納得できないなあ」と思いながら、「そんなものか」と社会に少しがっかりする。
 そんな、20代を過ごしてきた。

 そして、今になって思うのは、正しくない会社はやはり衰退していくのだということ。
 考えれば、ドラッカーも松下幸之助も昔からそう言っていたではないか。

 こんな時代だからこそ組織の正義は試される。正しい企業は誰かに必要とされている企業なのである。みなさんの会社は本当に社会に必要とされている会社だろうか?
 もしみなさんの会社が社会になくてはならない会社で、倒産したら困る人がたくさんいて、そして代わりになる会社がない、かけがえのない会社だったとしたら、それはオンリーワンの会社だと言えないだろうか。スキマ産業の会社のことをオンリーワンの会社というのではないのだ。

 「神様は人間のひとりひとりに賜(おくりもの)をくださっている」と思った、と書かれた青山学院初等部の生徒さんからの手紙が紹介されていた。
 一人ひとりに必ず授かっている賜(おくりもの)、それを活用して、自分のためにではなくて他者の幸せのために働くというのはまさしく聖学院の教育憲章である。
 日本理化学工業株式会社をはじめ、そうした素晴らしい会社の物語がたくさん綴られている。
 
日本理化学工業の章に登場する、とある禅宗のお坊さんのこんな言葉が印象的だった。

幸福とは「人に愛されること」、「人にほめられること」、「人の役に立つこと」、「人に必要とされること」です。そして「人にほめられること」、「人の役に立つこと」、「人に必要とされること」の3つの幸福は、働くことによって得られるのです。

Vol.223 とことん自分に正直に生きろ。

2012-09-15 09:56:06 | キャリア教育


 もっと自由に働きたい-とことん自分に正直に生きろ。

 U25と記載された若い人向けに書かれた本。僕はもちろんU25でも若者でもないのだけれど著者の家入一真氏にはずっと興味があった。

 はじめて僕が読んだドラッカーの著書は「プロフェッショナルの条件」で、その本が名言集的な本であったということもあるけれど、共感するところが多くて読み終わった時には付箋だらけになっていた。
 
 「とことん自分に正直に生きろ。」はU25向けなので、文字のボリュームも適度でタッチが軽くすごく読みやすいのだけれど、内容が軽いかというとそうではない。辛ければ逃げちゃえばいい、もっと悪ふざけしよう、と実は大真面目に言っている。
 家入氏は元ひきこもりで中卒で「ずっと、逃げてきた」。そしてその逃げてきたことこそが原点であると書いている。コンプレックスが原動力なのだ。

 僕は栃木県の田舎町に生まれそこで高校時代までを過ごした。僕の家はめちゃめちゃ貧乏ではなかったけれど、裕福でもなかった。
 それでも、両親が「うちは貧乏だから」を口癖にしていたので、僕は本当に貧乏なのだと思っていた。本当はそれほど貧乏ではなかったのだけど文化は本当に高くなかった。無知な両親だったので僕も無知だった。
 
 母親は天真爛漫でみんなから好かれていたけれど、常識知らずなところが多々あった。
 その血筋を引いているのか、自分では気が付かないのだが、僕も無邪気に非常識なことをするらしい。それで誰かが傷ついたりした。
 優等生にもなれず、不良にもなれず、中途半端な立場でぽっかりと空に浮いていた。結構めんどくさい子どもだったんだと思う。
 半生を振り返ると後悔することがたくさんあって、やっぱり僕もコンプレックスを原動力にしているのだと思う。
 
 家入氏みたいに潔くひきこもったり逃げたりすることさえできない臆病な僕は、社会からじゃなくて自分の気持ちから逃げ続けてきたのだと思う。そして今、ようやく少し「正直に生きる」ことができてはいるけれど、相変わらず時々は空に浮かんでしまう。 

 読み終わったら、本が付箋だらけになった。
 共感したし、気持ちが楽になった。
 いろいろと話題の著者ではあるが、評判とか綺麗ごととかを捨てて自分の本音で読んでみたら良いと思う。