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内科受診

2021-01-16 | 日記

このところの体調不良のため、市内の内科医院を受診した。車での来診ということで、受付後しばらく駐車場の車の中で待つ。問診票も車内で書いた。駐車場で待つ間、次々に車がやって来てスペースが埋まっていく。思ったよりも来診者が多い。受付の女性がいちいち駐車場まで連絡に出て来て、普段よりかなり大変そうだ。自分が診察を受けて帰るまでの1時間ちょっとの間に、おそらく十数人の患者が来たと思う。土曜の午前という事もあるだろうが、小規模の医院で一人の医師がこの数を看るのは結構忙しいことだろうと思った。

 都会では、今のコロナ感染拡大による病床が逼迫し医療も限界を迎えている。テレビ番組での解説を見ていると、都内・市内のベッド総数に占めるコロナ用ベッド数の割合や、コロナに対応している医師の医師総数に占める割合が取りざたされるようになって来た。全国の医師の4%しかコロナと闘っていないとか、ある地域の病床総数9万床もあるのにコロナ用病床に提供されたのはたった2%だとか。それらの話を聞きながら、世論やマスコミはいよいよパニック症状を呈し始めたと感じる。

 この10年近くの間、政府からは「病床の稼働率を上げよ」と命じられて来た。それによってどこの病院も空きベッドを減らさざるを得ず、政府もベッド総数を減らすよう指導してきたと聞く。コロナ用ベッドの数が「たった2%」だと言うが、それは通常時の空きベッド数をどれだけ「突然降って湧いた」コロナ専用に振り分けられるかという話であるはずで、決して通常時あたりまえに稼働していたベッドを含めて数えるべきではない。もし通常時に稼働しているベッド数を含めて数えるなら、それは「通常時なら入院できる(入院を必要とする)患者を入院させない」ということ、つまり「通常時には受けられるはずの "必要な医療" が受けられない患者が出る・・・医療崩壊」を折り込む計算となる。

 「全国の医師の4%しかコロナに対応していない」「残りの96%の医師にも少し応援を頼むべき」という意見についても、また同様だ。医師総数の何%が交通事故などの救急医療に携わり、それぞれ何%が糖尿病・癌・心疾患・脳血管疾患に、何%が骨折や火傷治療に携わっているのかを具体的には知らないが、コロナ感染拡大以前の状態ですでに医師不足を自ら指摘して来たことをマスコミ・解説者は忘れてしまったのだろうか? 確かに、中には比較的暇で時間的余裕のある医師も居るのだろうと想像はできるが、その数は決して多くないと思われる。

 まして、新型コロナで中等症・重症の患者の治療にあたる医学領域は、コロナ感染症の発生以前からすでに医師たちの「殺人的な時間外労働?」によって支えられて来た領域だろうと承知する。それらの医師たちの多くがコロナ対応だけに専念したならば、通常通りの専門的治療を必要とする患者の多くが命の危険に直面することになる。コロナ以前に不足が指摘されていた医師総数の、その4%がコロナ対応に回らざるを得なくなっているということは、それだけで通常の医療にかなりの圧迫が掛かっているのだと、なぜ想像できないのだろうか。「残りの医師達」の多くは、コロナ対応に人数を割かれたことによって生じた通常医療への圧迫を必死に支え、共に「コロナと闘っている医師なのだ」と、なぜ考えられないのだろう。

 昼間、暖かな日差しの駐車場でそんなことを思いながら車の中で診察の順番を待った。おそらくその時間、近くの町々の多くの医院で同じように順番を待つ患者が居たのだろう。そして、その医院の医師たちは(コロナ患者に対応していなくとも)自分のように様々な体調不良を訴えて訪れる患者の対応に追われたのだろう。医師人口の多くが都市部に集まる状況で、地方都市の医療に携わる医師・医療スタッフに数的余裕などあるわけもない。「残りの96%」とされる中にはコロナ下でも当然必要とされる通常医療を担当している多くの医師達が、そして看護師・医療スタッフがいることを忘れてはいけない。