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2-0が怖いのではない、お前達の勘違いが怖い

花神読了~ふわふわした観念論を大村益次郎の実務がぶっ飛ばす痛快さ

2019-02-03 17:12:42 | 日記
花神(かしん)は司馬遼太郎の小説で、題材は戊辰戦争の官軍側の天才司令官大村益次郎(村田蔵六)。今回初めて読んだが大変面白かった。

まず、村田蔵六が自閉症なのが読み始めてすぐにわかった。村医者である蔵六に患者が「お暑うございます」と挨拶すると、「夏は暑いのがあたりまえです」と蔵六が返すやりとりが完全に自閉症。

先日「コンビニ人間」を読んで自閉症スペクトラムの人のものの考え方がわかっているため、村田蔵六の人間像がつかみやすかった。自閉症ならこういう空気の読まなさで相手を怒らせるわなあと。食べ物にも執着がなく豆腐ばかり食べていたというエピソードもガチにコンビニ人間の主人公(味にこだわりが無く食事はゆでた野菜に塩を振ったものだけ)と重なる。

このブログに何度も書いているが自閉症スペクトラムは人類の約1割存在しており、例えば狩りの時代暗闇で前に進めないときに空気を読まない人物がぐいぐい行くことで展開が打開できるという効能?があって、種の保存のためにこの多様性は必要(by 宮台真司)。で、村田蔵六はまさにこれだったと思う。全編にわたり自閉症的空気の読まなさがびしびし書かれている。でも軍略がすっごく天才。ほかの9割の人間とは違う論理で動いているのがよくわかる。だから高杉晋作も西郷隆盛も村田蔵六のことは「よくわからん」という印象を持った。

昨年末に歳月(江藤新平の話)を読んで、先日翔ぶが如くを読んですっかり幕末づいている。自分の中で何年かに一度起こる司馬遼祭り。四十を超えた今読むと味わいがまた違う。我が身が真っただ中にいる組織の話として興味深く読んでいる。口先だけのふわふわふわふわした志士的連中の観念論を大村益次郎の実務がぶっ飛ばす痛快さ。

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