87 一姫二太郎、はどういう意味が正しい
「一姫二太郎」の意味 文化庁文化部国語課
>「昔から「一姫二太郎」と言うから,次は男の子がいいですね。」のように使われる「一姫二太郎」。「国語に関する世論調査」では,3割以上の人が「子供は女一人,男二人であるのが理想的だ」という意味であると答えました。本来はどのような意味の言葉でしょうか。
問1 「一姫二太郎」とは,本来どのような意味なのでしょうか。
答 一人目の子供は女,二人目の子供は男であるのが理想的だ,という意味です。
「一姫二太郎」を辞書で調べてみましょう。
「日本国語大辞典 第2版」(平成12~14年・小学館)
いち姫二太郎 子を産み育てるには,長子は女,次に男の子が生まれるのが理想的である,ということ。
「成語大辞苑」(平成7年・主婦と生活社)
一姫二太郎 最初に生まれる子は育てやすい女児,二人目は男児の順に授かるのが理想的だということ。
本来,「一姫二太郎」は,子供を授かるに当たっての理想的な順番を表す慣用句であり,人数を表すものではありません。「一姫」を「女の子一人」,「二太郎」を「男の子二人」という意味で使っているわけではないのです。日本国語大辞典に掲載されている例文を見てみましょう。
「其(それ)でも『一姫二太郎(いちヒメにタラウ)』といふし,外国にも,『幸運の者は初生児に娘を授かる ― The lucky man has a daughter for his first born 』といふ諺(ことわざ)のあるところを見ると」
(佐々木邦「珍太郎日記」大正10年)
この例文では,「一姫二太郎」を,「最初に女の子をもつ人は幸せ」という外国のことわざと同様のものとして考えています。
「一姫二太郎」が望まれた理由は,成語大辞苑にもあるとおり,一般的に女の子の方が育てやすいと言われることにあるようです。なお,日本国語大辞典には「一般に,女児のほうが育てやすいことをいい,また,男児を熱望したのに女児が生まれて失望する者への慰めのことばにも使われる。」とあり,「成語大辞苑」にはない説明がされています。
問2 「一姫二太郎」について訪ねた「国語に関する世論調査」の結果を教えてください。
答 本来の意味である「一人目の子供は女,二人目の子供は男であるのが理想的だ」を選んだ人の割合は6割である一方,本来の意味ではない「子供は女一人,男二人であるのが理想的だ」を選んだ人は3割台半ばという結果でした。
平成12年度の「国語に関する世論調査」で,「一姫二太郎」の意味を尋ねました。結果は次の通りです。
※下線を引いたものが本来の意味
〔全 体〕
(ア) 一人目の子供は女,二人目の子供は男であるのが理想的だ・・・・・・60.9%
(イ) 子供は女一人,男二人であるのが理想的だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33.7%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.4%
〔年代別グラフ,数字は%〕
「一姫二太郎」の意味
全体の調査結果を見ると,本来の意味である「一人目の子供は女,二人目の子供は男であるのが理想的だ」と回答した人が6割と多数である一方,3分の1ほどの人が本来の意味でない方を選んでいます。
年代別に見ると,本来の意味でない方の回答が最も多かったのが16~19歳の39.9%,次いで50代の39.2%で,これらの年代では約4割の人が本来の意味を知らないという結果になっており,他の年代に比べてその割合が高くなっています。
では,「一姫二太郎」の意味が誤解されやすいのはなぜでしょうか。「太郎」は,「太郎と花子」など,男の子の名前の代表的なものとして,また「桃太郎」「金太郎」など,男の子の名前の一部として,よく使われます。そのために,「太郎」を「男の子」と捉え,言葉の並びから,一人の姫(女の子)と二人の太郎(男の子)というように,人数を示す言葉として受け取ってしまうのかもしれません。本来,「太郎」は「長男」を意味する言葉として用いられてきました。「二太郎」の「太郎」を「長男」として理解できれば,「二番目が長男」ということが分かり,「子供は女一人,男二人であるのが理想的だ」と解釈することはないでしょう。
また,「一姫二太郎」とは飽くまでも子供を授かる順番を表しているものですから,たとえ子供が3人以上いたとしても,最初に女の子,次に男の子が生まれていれば「一姫二太郎」ということになります。
「一姫二太郎」の意味 文化庁文化部国語課
>「昔から「一姫二太郎」と言うから,次は男の子がいいですね。」のように使われる「一姫二太郎」。「国語に関する世論調査」では,3割以上の人が「子供は女一人,男二人であるのが理想的だ」という意味であると答えました。本来はどのような意味の言葉でしょうか。
問1 「一姫二太郎」とは,本来どのような意味なのでしょうか。
答 一人目の子供は女,二人目の子供は男であるのが理想的だ,という意味です。
「一姫二太郎」を辞書で調べてみましょう。
「日本国語大辞典 第2版」(平成12~14年・小学館)
いち姫二太郎 子を産み育てるには,長子は女,次に男の子が生まれるのが理想的である,ということ。
「成語大辞苑」(平成7年・主婦と生活社)
一姫二太郎 最初に生まれる子は育てやすい女児,二人目は男児の順に授かるのが理想的だということ。
本来,「一姫二太郎」は,子供を授かるに当たっての理想的な順番を表す慣用句であり,人数を表すものではありません。「一姫」を「女の子一人」,「二太郎」を「男の子二人」という意味で使っているわけではないのです。日本国語大辞典に掲載されている例文を見てみましょう。
「其(それ)でも『一姫二太郎(いちヒメにタラウ)』といふし,外国にも,『幸運の者は初生児に娘を授かる ― The lucky man has a daughter for his first born 』といふ諺(ことわざ)のあるところを見ると」
(佐々木邦「珍太郎日記」大正10年)
この例文では,「一姫二太郎」を,「最初に女の子をもつ人は幸せ」という外国のことわざと同様のものとして考えています。
「一姫二太郎」が望まれた理由は,成語大辞苑にもあるとおり,一般的に女の子の方が育てやすいと言われることにあるようです。なお,日本国語大辞典には「一般に,女児のほうが育てやすいことをいい,また,男児を熱望したのに女児が生まれて失望する者への慰めのことばにも使われる。」とあり,「成語大辞苑」にはない説明がされています。
問2 「一姫二太郎」について訪ねた「国語に関する世論調査」の結果を教えてください。
答 本来の意味である「一人目の子供は女,二人目の子供は男であるのが理想的だ」を選んだ人の割合は6割である一方,本来の意味ではない「子供は女一人,男二人であるのが理想的だ」を選んだ人は3割台半ばという結果でした。
平成12年度の「国語に関する世論調査」で,「一姫二太郎」の意味を尋ねました。結果は次の通りです。
※下線を引いたものが本来の意味
〔全 体〕
(ア) 一人目の子供は女,二人目の子供は男であるのが理想的だ・・・・・・60.9%
(イ) 子供は女一人,男二人であるのが理想的だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33.7%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.4%
〔年代別グラフ,数字は%〕
「一姫二太郎」の意味
全体の調査結果を見ると,本来の意味である「一人目の子供は女,二人目の子供は男であるのが理想的だ」と回答した人が6割と多数である一方,3分の1ほどの人が本来の意味でない方を選んでいます。
年代別に見ると,本来の意味でない方の回答が最も多かったのが16~19歳の39.9%,次いで50代の39.2%で,これらの年代では約4割の人が本来の意味を知らないという結果になっており,他の年代に比べてその割合が高くなっています。
では,「一姫二太郎」の意味が誤解されやすいのはなぜでしょうか。「太郎」は,「太郎と花子」など,男の子の名前の代表的なものとして,また「桃太郎」「金太郎」など,男の子の名前の一部として,よく使われます。そのために,「太郎」を「男の子」と捉え,言葉の並びから,一人の姫(女の子)と二人の太郎(男の子)というように,人数を示す言葉として受け取ってしまうのかもしれません。本来,「太郎」は「長男」を意味する言葉として用いられてきました。「二太郎」の「太郎」を「長男」として理解できれば,「二番目が長男」ということが分かり,「子供は女一人,男二人であるのが理想的だ」と解釈することはないでしょう。
また,「一姫二太郎」とは飽くまでも子供を授かる順番を表しているものですから,たとえ子供が3人以上いたとしても,最初に女の子,次に男の子が生まれていれば「一姫二太郎」ということになります。