夏目漱石、夢十夜、1908年の7月から8月にかけて朝日新聞紙上で10回連載されたそうだ。それを、現代によみがえらせる、小説本文は現代仮名遣いの岩波文庫版に準拠ということである。
夏目漱石「夢十夜」:7
第七夜
何(なん)でも
絶間(たえま)なく
煙(けぶり)
浪(なみ)を
行(ゆ)く
凄(すさま)じい
何処(どこ)
焼火箸(やけひばし)
挂(かか)っている
何時(いつ)
度(たんび)に
蒼(あお)い
蘇枋(すおう)
沸(わ)き返る
追掛(おっか)けて
追附(おっつ)かない
捕(つら)まえて
怪訝(けげん)な
何故(なぜ)
追懸(おっかけ)る
呵々(からから)と
果(はて)
本真(ほんま)か
御里(おさと)
楫枕(かじまくら)
囃(はや)し
舳(へさき)へ
大勢(おおぜい)
手繰(たぐ)って
何時(いつ)
陸(おか)へ
何処(どこ)へ
慥(たし)か
頗(すこぶ)る
際限(さいげん)
蒼(あお)く
周囲(まわり)だけ
何時(いつ)でも
真白(まっしろ)に
一層(いっそ)
投(なげ)て
乗合(のりあい)
欄(てすり)に
倚(よ)りかかっ
を拭(ふ)く
半巾(ハンケチ)
身体(からだ)
更紗(さらさ)のような
甲板(かんぱん)
詰(つま)らない
金牛宮(きんぎゅうきゅう)
頂(いただき)
七星(しちせい)
或時(あるとき)
這入(はい)ったら
派出(はで)な
衣裳(いしょう)
洋琴(ピアノ)
傍(そば)に
脊(せい)
唄(うた)って
頓着(とんじゃく)して
益(ますます)
刹那(せつな)に
惜(おし)くなった
厭(いや)でも応でも
判(わか)らない
夏目漱石「夢十夜」:7
第七夜
何(なん)でも
絶間(たえま)なく
煙(けぶり)
浪(なみ)を
行(ゆ)く
凄(すさま)じい
何処(どこ)
焼火箸(やけひばし)
挂(かか)っている
何時(いつ)
度(たんび)に
蒼(あお)い
蘇枋(すおう)
沸(わ)き返る
追掛(おっか)けて
追附(おっつ)かない
捕(つら)まえて
怪訝(けげん)な
何故(なぜ)
追懸(おっかけ)る
呵々(からから)と
果(はて)
本真(ほんま)か
御里(おさと)
楫枕(かじまくら)
囃(はや)し
舳(へさき)へ
大勢(おおぜい)
手繰(たぐ)って
何時(いつ)
陸(おか)へ
何処(どこ)へ
慥(たし)か
頗(すこぶ)る
際限(さいげん)
蒼(あお)く
周囲(まわり)だけ
何時(いつ)でも
真白(まっしろ)に
一層(いっそ)
投(なげ)て
乗合(のりあい)
欄(てすり)に
倚(よ)りかかっ
を拭(ふ)く
半巾(ハンケチ)
身体(からだ)
更紗(さらさ)のような
甲板(かんぱん)
詰(つま)らない
金牛宮(きんぎゅうきゅう)
頂(いただき)
七星(しちせい)
或時(あるとき)
這入(はい)ったら
派出(はで)な
衣裳(いしょう)
洋琴(ピアノ)
傍(そば)に
脊(せい)
唄(うた)って
頓着(とんじゃく)して
益(ますます)
刹那(せつな)に
惜(おし)くなった
厭(いや)でも応でも
判(わか)らない