読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

スパイの語源

2010-11-25 09:33:54 | Weblog
スパイとは一般には、他人の『秘密』の情報を手に入れるために知恵を使
う人を言う。
従って、『公開の情報』をさぐる人はスパイとは言わない。公開の情報を「さぐる」
と言う言い方もしない。
このスパイという語は、スペクト(見る)が語源といわれている。
これから派生した言葉として、サスペクト(気がつく)、サスピション(疑惑)がある。
サスペクトは、サス(頭を上げる)とスペクト(見る)が合体して言葉である。
意味としては『頭をあげて、注意して見る』ことが原義。
つまり、『なにかおかしいと思って、注目する』ことを言う。
英語の古語では、エスピー(よく見る)がある。
これらが統合されて、スパイという言葉ができたのかも。
本来のスパイは、『よく見る』『くわしく見る』『注意して見る』の意味
だった。
現在のように『秘密の情報を人知れずにこっそりとのぞく』『非合法手段
を使った盗む』事を意味するものではなかった。

外交とスパイ
いつごろから、現在のような意味になったのか。
ヨーロッパで現在のような『外交』が始まるのは16、17世紀で
あるといわれている。
当然ながら、国と国との交渉は紀元前のはるか以前から存在していが、現在の『外交』に近いものは、北イタリアのヴェネチア等の都市国家の間で始まったようだ。
軍事とスパイは切り離せない密接な関係があるが、それは外交についても同様だ。
つまり、スパイも紀元前の昔からあった訳で、『近代的なスパイ』も、外交とともに始まったと言える。

ついでながら外交は英語ではディプロマシーと言う。
ディは数字の『二』、プロは『プリ』で『折ること』を意味している。
つまり、ディプロマシーは『二つ折りにしたもの』、具体的には外交文書
などの機密文書である。
その『二つ折りにした文書』が外交の基本であり、それが『外交』になっ
た。
一枚の紙に文章を書き、二つ折りにして封印すれば、誰にも読めなくしていた。
自国の君主、外交官が外国の君主に送る文書は、通常は機密扱いになっていた。
自国の利益のためには、外交では隠さなければならないことがたくさん有った。
それを知る必要が有る人たちが居た。それが『スパイ』である。


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