読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

時効で書かれた話

2012-10-09 08:14:01 | 読書
これは、或る直木賞作家が時効だからと言って書いた話である。
野坂昭如氏がテレビの旅番組にレギュラー出演していたころ、その
企画で新潟へ行ったときの出来事だ。まだ上越新幹線のなかった
頃である。入港中のソ連船を訪ねた。その船長に、日本の作家が
挨拶をし、プレゼントを渡すと言う段取りでテレビカメラは回って
いた。ところが船長が、そのとき、大変な剣幕で怒り出したのである。
取材拒否に遭い、スタッフは引き上げざるを得なかった。野坂は
東京を出発したときからずっと酒に酔っていた。それでスタッフに
迷惑をかけたのだと思い、反省し永平寺へ行こうと言い出した。
そして、そこで頭を丸めてしまったのである。
永平寺の僧侶がたくさん居る前で「マリリンモンローノーリターン」を
絶唱したと言う。これもカメラは回っていたが本人の希望で放映は
されなかった。
ところでソ連船の船長が怒ったのは、「プレゼントを受け取る場面が
撮影され、それが日本のテレビで放映され、本国の偉い人に知られたら
ワイロを受け取ったとみなされ、クビを切られるではないか!」と言う
事で怒ったのだった。野坂が酔っぱらていた事とは関係が無かった
のである。


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