読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

電子書籍がベストセラーに,wsj日本版から

2011-04-22 20:35:13 | 読書
wsj日本版から
米国では、自己出版される安価な電子出版作品が読者から人気を得ており、大手出版社が価格面の大きな圧力に直面している。オンライン小売り大手、米アマゾン・ドット・コムの20日時点のベストセラーリストの上位50位にランクした電子出版作品のうち、15冊は5ドルないしそれ以下で販売されている。

 例えば、副業にスリラー小説を書いているケンタッキー州ルイビルのビジネスマン、ジョン・ロック氏の作品は7タイトルランクインしており、それらの価格は全て0.99ドル(約82円)だ。

 電子書籍専用端末、タブレット型端末、それに携帯電話の普及に後押しされて電子書籍の売り上げが急増するなか、出版社はかつて軽視していた自己出版市場を警戒的な目で見ている。

 自己出版の作家の作品と著名作家の作品を同じ棚に並べることがほとんど不可能だった5年前と違い、デジタル出版が低価格になり、ミニブログのツイッターなどのソーシャル・ネットワーキングツールの力も利用できるようになって、無名だった作家がかつてない速さで注目を集められるようになっている。

 ある出版社幹部は匿名を条件に、アマゾンの動きについて、「顧客を名の通った作家から遠ざけ、その代わりに自己出版の書籍に接する機会を作ろうとしている」と述べた。

 電子書籍の低価格攻勢はアマゾンが2007年11月に電子書籍端末「キンドル」を発売して以降、大きな問題になっている。キンドルは爆発的に売れた。ベストセラーの電子版がハードカバー版の発売当日に9.99ドルで入手できることが起爆剤となった。

 米国の大手出版6社は、電子書籍の低価格攻勢によって出版社の伝統的な事業形態が浸食されることに懸念を深め、いわゆる「エージェンシー・モデル(電子書籍の小売価格を出版社が設定するシステム)」を立ち上げた。これは、歓迎できない値引きを実質的に排除するモデルだった。

 大手出版社の中には電子書籍版の価格設定を実験している業者もあるが、そうした出版社がオファーするキンドル向けのベストセラーの大部分は11.99~14.99ドルだ。

 アマゾンはエージェンシー・モデルを採用している出版社の販売する電子書籍の部数が、アマゾンによる値引きが可能な電子書籍と同率では伸びていないとの調査結果を公表している。アマゾン担当者は「エージェンシー出版社とのわれわれの事業は増加しているが、アマゾンの全体的な伸びを下回っている。最も成長が大きい出版社は、われわれの側で価格設定している業者だ」と述べた。

 また書籍は、タブレット型端末を通じて容易にアクセスできる安価なデジタル上の娯楽との競争にも直面している。これらは電子書籍専用端末にはない選択肢だ。つまり、個人の自由時間をめぐる争いの中で、出版社は今、月額7.99ドルで映画やテレビ番組を無制限でネット配信するネットフリックスや、テレビ番組を放映1回につき最低0.99ドルでレンタルできるアップルの「iTunes(アイチューンズ)」とも直接対決している。

 これらの諸事情がすべて要因となって、自己出版のスリラー小説家ロック氏の書籍販売増加に寄与した。2年前、58歳のときに初のペーパーバックを出版したロック氏は、電子書籍の価格について調査した後、2010年3月にデジタル出版に切り替えることを決心した。

 「著名な作家が電子書籍に1冊9.99ドルの値段を付けているのを見て、もし自分がその10分の1の価格0.99ドルでも利益を出せるのなら、著名な作家ほど自分が素晴らしい作家であることを証明しなくても良くなると思った」、「むしろ著名な作家のほうが自分よりも10倍素晴らしいことを証明しなくてはならない」と同氏は語る。

 ロック氏は1冊0.99ドルのうち、0.35ドルを収入として得ている。3月の同氏の出版収入はアマゾンを通じてだけでも12万6000ドルになった。書籍をデジタル出版するための費用は約1000ドル。ただし、それ以外に編集者を雇うコストもかけている。

 アマゾンでの3月のロック氏の作品のダウンロード数は36万9000回で、1月の約7万5000回、昨年11月のわずか1300回から急増した。同氏の作品はコボ、バーンズ・アンド・ノーブル、それにアップルの電子書籍ストアでも購入できる。

 アマゾンは、同社の独立系出版サービスである「キンドル・ディレクト・パブリシング」を活用するすべての作家に対し、2.99ドル以下のデジタル出版物にはロイヤリティー(権利使用料)を35%、2.99-9.99ドルの電子書籍には70%支払っている。

 ロック氏は自分の作品の価格を2.99ドルに引き上げれば、35%ではなく70%のロイヤリティーを確保でき、1冊当たりの収入を2ドルに増やすこともできる。しかし、同氏はそうすることには興味がないという。同氏は「0.99ドルという価格で注目を集めたのだから」と述べた。同氏はまた、ニューヨークの大手出版社との契約には関心がないと述べた。

 しかし同氏は、映画化のオファーや国外での出版に興味を持つ海外の出版社に対応するため、文芸分野の代行会社に勤務するジェーン・ダイステル氏と契約を結んだ。ダイステル氏の会社はそのような契約に向けて数件交渉を行っているという。

 同氏は「この世界には、未開の荒野が広がっている」と同氏は語った。

記者: Jeffrey A. Trachtenberg

世界のすべての言語は、アフリカの「祖語」に遡る

2011-04-22 09:16:04 | 歴史
 現在、世界に6000前後の言語が存在するが、そのすべてが5万-7万年前にアフリカに存在した初期の人類が話していた祖語から枝分かれしたものである可能性が最新の調査で明らかになったと言う。

4月 14日発行の科学雑誌「サイエンス」が掲載したこの調査によれば、最初の話し言葉の発生や拡散の仕方についての解析に役立つ可能性があると言うことだ。ニュージーランド・オークランド大学の進化心理学者、クウェンティン・アトキンソン氏は、アフリカを離れた最初の人類が、彼らの言葉 ─ つまり人類の祖語 ─ を広める基礎を築いたことを発見した。

 アトキンソン氏の調査は音素(語の音声を構成する最小の単位)に基づき、さらに集団遺伝学からも「創始者効果」として知られるアイデアを借用している。これは、大きな人口を持つグループから一部が枝分かれした場合、分派の間で遺伝的な多様性や複雑性が緩やかに消失するという理論だ。

 音素にも創始者効果が認められれば、現代の言語コミュニケーションはアフリカ大陸で発生し、その後、ほかの大陸に広がったとの考え方が裏付けられる、とアトキンソン氏は考えた。

 アトキンソン氏は世界の504の言語を調査し、最も音素が多い言語はアフリカ、最も少ない言語は南米と太平洋諸島で話されていることを突き止めた。

 さらに、世界における音素の使用パターンが、人類の遺伝的多様性のパターンを映していることも調査で明らかになった。人類が各地に居住し始めると、遺伝的多様性も失われた。

 現在、人類が定住して数千年になるサハラ砂漠以南のアフリカ地域で話される言語は、後年になって人類が住み始めた地域で話される言語よりも音素ははるかに多い。